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21,Qいいものがありましたか?Aありました。

 モクランさんに案内されてたどり着いた時計屋さんに入る。


「いらっしゃい」


 置いてあった時計の種類の多さに驚いていたら、おじいさんが奥から出てきた。

 店主さんかな?


「おやおやモクランかい。どうしたんだい?また壊したのか?」

「違うよ。今日は俺じゃなくてこの子の時計」

「ほう。モクランが女の子を連れてくるとはなぁ。それにこんなに可愛い子とは」

「言っとくけど依頼されて案内してるだけだから」


 どうやら仲が良いらしい。

 おじいちゃんと孫みたいに見える。

 ……ん?スルーしそうになったけど、モクランさん、私の時計って言った?

 なにそれ。聞いてないよ?


「なに固まってんの?」

「いや、私、時計、え?」

「そういや説明してなかったね」

「はい。聞いてないです」

「俺が受けたハーブさんからの依頼の内容は、あんたをここに案内すること。時計の代金はハーブさんから渡されてるから、好きなの選んでいいよ」


 ……なぜに?

 時計代渡して、わざわざ依頼までしてモクランさんに案内させたヒエンさんの考えが読めない。


「初級合格のお祝いだって言ってたよ」

「おお。なるほど、そういう事か。……あれ?モクランさん、なんで私の考えてること分かったんです?」

「顔に書いてある」


 さいですか。

 そんなに分かりやすかったですか。私。

 まあ、何はともあれありがたく選ばせていただこう。

 それにしても量が多いな〜目移りするな〜


 持ち歩きできるタイプがいいな〜と思って、小さな時計が置いてある一角に近づく。

 ……すげぇ。細かいな〜

 時計たちは、すべてに綺麗な飾りがついていたり、彫刻が施されていたりとかなり手間がかかっているようだ。

 色も様々で、なんだか南区にある髪飾りのお店を思い出した。


「キョロキョロし過ぎ。どんだけ目移りしてんの?」

「いや、こんなにあったらどこを見ていいか分かんなくなりません?」

「直感でいいでしょ。直感で」


 そんなに第六感に頼っていいのだろうか。

 ……でも確かに、私も髪飾り選ぶとき勘だったな。


「ちなみにモクランさんはどんなの使ってるんですか?」

「俺?……今はこれ」


 見せて貰ったのは雪の結晶が細かく彫られた銀色の時計。

 ……綺麗。すごく綺麗。


「どうやって選びましたか?」

「……直感?」


 なるほど、体験から直感を進めてきていたわけだ。

 確かに説得力あるな。直感。

 ならば私も直感でいこう。



 直感でいこうと決めてから30分経過。

 まだ時計は決まっていない。

 直感でいいと思うのがなかなか見つからない。

 コガネちゃんの髪飾りを選んだときのあの感じがないのだ。

 ……うーむ。決まらない。

 どれだけ時間をかけてもモクランさんが怒らないのをいい事に、私はこの30分間ずっと唸っていた。


 なんというか、目移りする。

 置いてある時計置いてある時計全部綺麗なのだから仕方ないだろう。

 そんなわけで、決まらない。


「うーん……うーーん……うーーーん……」

「うるさいぞ」

「うーー……あ、すいません」


 モクランさんは出されたお茶をすすりながらリラックスモードに入っていた。

 おじいさんはモクランさんの時計の調整をすると言って店の奥に行った。


 うむ。こりゃだめだ。

 とりあえず他のところも見てみよう。


 ずっと見ていた一角から、別の一角へ移動する。

 そのままのんびり上を見たり下を見たりしていると、1つの時計が目に止まる。

 気になって手に取ると、思ったより小さく、手のひらにすっぽり収まった。

 色は銀に少し青を混ぜたような色。

 蓋に花と鳥があしらってある。

 開けてみると、細い針にも彫刻が施されている。


「……おお」


 いいな。これ。


「決まった?」

「はい!これにします!」


 言いながら振り返ると、ちょうどおじいさんも戻ってきていた。


「ほっほっほっ。決まったかい」

「はい!」

「そんなわけだから、会計お願い」


 モクランさんは私の手から時計を取って(渡してはいない)カウンターに持っていく。

 あんまりにも自然な手つきだったので普通に渡してしまった。


 そのままモクランさんが支払いをして、購入済のそれを渡してくれる。

 お礼を言って受け取り、開けたり閉じたりする。

 うむ。何度見てもどの角度から見ても綺麗だ。


「えへへ〜」

「よかったね」


 お店から出て歩きながらニヤニヤしていたら、モクランさんに首根っこを掴まれた。


「きゅ!?」

「前見て歩きなよ」


 言われて前を見ると、通りが合流していた。

 それなりに人通りがあるので危ないと判断されたのだろう。

 でも首締まるから首根っこ掴まないでほしい。

 それでも放置はしないんですね。


「……モクランさん、お兄ちゃんみたい……」


 思わずつぶやくと、頭をパコンッと叩かれた。


「痛い!」

「君が妙なこと言うからでしょ」

「そんなに変なことは言ってないです……」

「まあ、君より年上だけどね」


 ……ん?

 モクランさん、私の年齢間違えてない?


「あ、言っとくけど俺、今年で25だから」

「……え?!」

「君、16くらいでしょ?」

「……え!?」

「なに?」

「いや、いつも、幼く、見られるので」

「確かに童顔だよね」

「あうっ!」


 心の傷をえぐられた。

 結構デリケートなところですよ?そこ。


「ちなみに私は17です。16じゃないです」

「細かいなぁ。いいじゃん。1歳くらい」

「よくないんです。デリケートなところなんです」

「変わんないって。それに見た目年齢はどうにもならないでしょ。童顔なんだし」

「あうっ!」


 話しながら列車の停留所に向かう。


「でも、モクランさんの方が童顔ですよね」

「俺のこれは童顔じゃないよ」

「いや、童顔ですよね」

「ちがうよ。そもそも俺人間じゃないし」

「……え!?」


 今日一番の驚き。


「俺、ハーフエルフなんだよね」

「ハーフ……エルフ……!?」


 なんだって!?

 ハーフエルフと言えば、私が密かに製作した、会いたい種類リストの内の1種族ではないですか!

 へぇ、本当に見た目は人間なのか。

 ハーフエルフだなんて全然気付かなかった。


「ほら。列車きたよ。……見過ぎ」


 ガン見していたかペチンッと額を叩かれた。

 痛い……

 モクランさん、いちいち威力が強いんだよな……


 そんなこんなで列車に乗り、目指すは南区、エキナセアだ。

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