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異世界に転生しちゃったのでロボット作ってみた  作者: 羽越世雌
第3章:空への憧れと、波乱の試作機編
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第10話:隣国からの抗議文と、量産化の哲学

「いやぁ、まさか前回の合体キメラロボの爆風の余波が、あんな遠くの隣国まで届いていたとはなぁ」


ガレージの作業台にもたれかかり、ツヨシはマグカップのコーヒーを傾けながら頭をかいた。

あれから数日、アストライア村は空飛ぶ要塞を撃退した英雄的偉業(?)の余韻に浸っていたが、平和の代償は意外なところからやってきた。つい先ほど、村長の家に隣国の王国使節団が顔面蒼白で駆け込んできたのだ。


その手には、震える文字で書かれた抗議文がしっかりと握られていた。

『我が国の誇る北部ロイヤル牧場の上空において、突如飛来した謎の多関節キメラ鉄巨人が盛大に爆発を起こし、敷地内の牧草地が直径五十メートルにわたって綺麗に丸焦げになりました。さらに、そこにいた高級乳牛たちが恐怖のあまり全員ひっくり返り、現在は一滴もミルクが出なくなるという大惨事が発生しております。つきましては、その怪しげな鉄の塊の製作者に出頭と厳重な抗議を……!』


「……とのことだ、ツヨシさんよ」

村長は青い顔で抗議文を突きつけ、深々とため息をついた。「頼むから、次はもうちょっと着陸地点の計算をしてくれよ……隣国との戦争になっちまうよ」

「いやぁ、すまんすまん。ゲッターばりの合体ロマンに夢中で、推進力のベクトル調整がちょいと甘かったらしい」


反省の色を(微かに)浮かべつつも、ツヨシはすぐに「お詫び行脚の旅」へと出かけることになった。

手土産はもちろん、ガルドの工房で作ってもらった特製の頑丈な鉄製クワや、村特製の干し芋の詰め合わせである。隣国の牧場主のオヤジのところへ赴き、「いやあ、うちのキメラがご迷惑をおかけして……」と頭を下げ、さらに焦がした牧草地の代わりに、一晩で自動草刈りロボ(名付けて『モウモウ・カッター1号』)を即席で組み立ててプレゼントしたところ、牧場主は「なんだこの妙に働き者の変な機械は……だが便利だな!」と妙に納得してしまい、抗議はあっさりと取り下げられたのだった。


だが、この一件でツヨシの頭の中には、新たなエンジニア的ジレンマが芽生えていた。


「ふむ……今回は空中要塞を運良く(?)ゲッター合体で撃退できたが、いつまでも一機限りの特注スーパーロボットだけで防衛するのはリスクが高すぎる。いざというとき、物量が足りん」


ガレージに戻ってきたツヨシは、マグカップを置き、作業台に新たな模造紙を広げた。

「戦争ってのはなぁ、個人の英雄的活躍や、一品ものの超高性能機だけで勝てるほど甘いもんじゃないのさ。必要なのは、コストパフォーマンスに優れ、誰でも簡単に整備できて、前線で数を持てる『泥臭い量産型ロボット』の哲学だ……!」


ツヨシの脳裏に、かつて一年戦争の泥沼を駆け抜けた、あの緑色の量産機のシルエットが鮮やかに蘇る。

そう、スーパーロボットの時代から、次は「リアルロボット(風の量産型)」の時代への移行である。


「よし、決まった! 次のプロジェクトは、村の防衛網を固めるための『量産型ロボット小隊計画』だ!」


さっそく、ツヨシの超高速ビルドが始まった。

「スーパーロボットみたいな大層な頭脳や、高価な月光力結晶は必要ない! 動力炉はそこらへんの魔石の破片を流用し、駆動系はシンプルに、装甲は村の鍛冶屋で余ったトタン板を叩き出した『ツヨシウム合金』で覆う!」


カツカツカツ、とものすごい勢いで溶接の火花を散らしながら、ツヨシは次々と小型の機体を組み上げていく。

高さは二メートルほど。ずんぐりとした体型だが、頭部にはなぜか妙にスマートな「一本のブレードアンテナ(古い農具の柄を削ったもの)」がピキッと突き出している。そしてカラーリングは、泥臭い戦場を生き抜くための無骨な灰色……ではなく、なぜかガレージのペンキの在庫の関係で、全体がくすんだカーキ色に仕上がっていた。


「よし、名付けて……『ザクっぽい何か・量産型』だ!」


「名前が相変わらず適当すぎるだろ!」

ガレージの隅で見ていた村の少年が、あまりのネーミングの投げやりさに思わずツッコミを入れるが、ツヨシは聞こえないふりをして作業に没頭する。


「おっさん、こんなの作って、またどこかと戦うのか?」

「いや、戦うためじゃない。平和を維持するための『抑止力』さ。数こそが正義、物量こそがロマンなのさ!」


隣国への謝罪行脚を経て、ツヨシがたどり着いた「量産化の哲学」。

それは、のどかなアストライア村の片隅で、着々とシュールで泥臭い軍拡(?)への第一歩を踏み出していた。次なる波乱が訪れたとき、この量産型小隊がどんな珍プレーを見せるのか――それはまだ、誰も知らない。

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