3.世界の理
朝食を取ってから暫くの間、俺は屋敷を出て領内をゆっくりと歩いた。
風が肌に触れ、鳥の鳴き声が耳に届く。
見慣れた景色の中で、親しんだ人たちと挨拶を交わした。
少しずつ、これが現実である事を実感していく。
一時間以上の時が過ぎて、ようやく俺は心を落ち着かせることが出来た。
過去に戻ったのは事実。
そこで疑問となるのは、なぜこうして俺とエリナが生きている五年前の過去に戻ることが出来たのかという事。
そもそもの話が、なぜ前世の記憶を持ったまま、この世界に俺はいるのだろう。
今までも不思議に思わなかったわけじゃない。
何度も考えた。
これは自然の理なのか。
それとも、誰かの意図によって俺はこの世界に導かれているのか。
幾度となく考え、訴えた。
だが——答えは得られなかった。
手を差し伸べる存在は現れなかった。
わかったのは、自分が今いる世界は現実で、その現実と向き合う以外の事は出来ないという事。
だから俺は、自分のやるべき事として、エリナを守る事にした。
しかし、それは叶わず、魔女となったエリナの命を自らの手で奪う結果になってしまった。
後悔ばかりが募った。
レクイエア湖の冷たい水を肌で感じながら、何度もやり直せたらと願っていた。
そして……願いは叶った。
過去に戻り、やり直すことが出来る。
これは、神が俺の願いを叶えてくれたという事なのだろうか。
それとも———




