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悪役令嬢の為に  作者: ハジ
一章

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7.異空の庭3

 橋の上を駆けながら緊張感をより高める。


 拘束はされていないようだな。


 少なくとも、リーシャは魔法を使って戦うことが可能なようだ。


 すでに戦闘が行われている以上、下手な策は無用。


 正面突破以外に切り抜ける方法はない。


 俺は城に辿り着くと鞘から剣を抜き、門を通って城内の広間へと突き進んだ。


 広間は大聖堂のように天井が高く、頭上をステンドグラスが覆っていた。


 更に奥には、仮面をつけた一人の男と、俺に背を向けて男と対峙する二人の少女の姿が——


 言うまでもなく、二人の少女はエリナとリーシャ。


 二人は俺に気付くと、


「お兄様!」


「ルーク先輩!」


 警戒を強めたまま声を上げた。


「すまない、遅くなった」


 言いながら周囲を見渡す。


 この場にいるのは、俺を含んだ三人——エリナとリーシャを除けば、仮面の男がいるのみ。


 他に人がいる気配は感じられない。


 違和感は最初から感じていた。


 見晴らしのいい広い橋。


 四角のない城の建物。


 隠れる場所などなく、正面から切り込んだのにも関わらず、ここに来るまで誰とも接触しなかった。


 まさか、単独でエリナとリーシャを異空の庭(アナザー・ゲート)に……。


 だとするなら、仮面の男は一人で学園に所属する教師たち全員を凌ぐ力を持った魔術師ということになる。


 おそらく、この推測は間違っていない。


 現に、教師たちにも引けを取らないエリナとリーシャは髪が乱れ、服が損傷し、息を切らせている。


 露出している肌には傷も見られる。


 衣服の下にも見えていない傷が無数にあるだろう。


 対して仮面の男は、それらの状態が一切見られない。


 何も無かったかのように佇(たた)ずみ、俺たちを見据えている。


 帯剣している剣ですら、刃が鞘に収まったままだ。


 二人が全く相手にならなかった証拠だ。


 こんな奴が誰にも知られることなく、セレナ王国に息を潜めていたのか……。


 俺は歩を進め、エリナたちの前に出た。


 剣先を仮面の男に向け、エリナたちに告げる。


「俺が動きを止める。好機だと感じたら躊躇せず魔法を放つんだ」

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