第8話 初見殺し
『BlueサイドスピネオンvsRedサイド百鬼夜光、勝利は果たしてどちらへ!』
Ready Go!
そうして互いのキャラが、自陣のリスポーン地点から勢い良く飛び出ていく。
『では、互いの構成を確認していきましょう!』
『といっても、3キャラは同じですね。
やはりアイゼン、伽羅子、餓鬼道の3種の神器は健在かっ!』
『そして違いが出ているのは、互いの1キャラ。
スピネオンチームは沙倉風音選手操る『マグリス』、対する百鬼夜光チームは火車旅人選手操る一鉄。
この2人の働きが、鍵を握る事になるでしょうか!』
「一鉄構成か〜」
Yametai先生
・一鉄ってどんなキャラなん?ちな、エアプ
「一鉄は、いわゆる……スモークキャラかな」
一鉄……見た目は、ねじりハチマキを頭に巻いて半被を羽織った、オールバックにされた白髪で肌の浅黒い老人である。
設定上は花火職人らしい。
廃都倶楽部という戦場では、敵へ花火を撃ち込むという攻撃を用いる。
そしてSP中量消費で使えるスペシャルでは、その場へ白煙を持続発生させるものを撃ち込むのだ。
「っとそんな訳で構成的には、どちらかと言うとカウント重視の守備的な感じかな。
アイゼンぐらいとはいかないけど、煙で相手の打開を牽制できるからさ」
マグリスまでは行かないけども、中々上級者向けのキャラ。
少なくとも初心者向けでは無いため、使おうとするとコメ欄なんかで止められそうだけど……別ゲー出身で自信がある、とかかな?
『先に突っ込みます?』
『いや、もう少しSP貯めたいかなぁ〜』
『どうやら、互いに様子を窺っている様だ!
……ちなみにこのゲームは、銃を撃たない時間に必殺技であるスペシャルのポイントが貯まっていく仕組みとなっております』
ここはニュルレン街道。
$の様な形の中央太め、自陣から見て右ルートが迂回して中央へ行ける、といった練習でも使ったあのステージ。
そんな場所で互いにコンテナなどのオブジェクトに身を隠し、中央で燦然と輝くケースの中の宝石を覗く様子が神視点カメラには映っていた。
もう距離的には数秒かからず手が届くぐらいだけど、今行ったら蜂の巣確定だ。
ホットチョコ
・なんか、このゲーム地味?
「大丈夫。 こっから……一気に激しくなるから」
画面の動きは確かにない。
だけどもこれは、嵐の前の静けさに過ぎないのだから。
『スペ貯まった!』
『こっちも、いつでも行けるよ!』
そんな報告のボイスチャットが、両チームから連鎖していく。
画面上に表示されたキャラのランプは、スペシャルが貯まった事を示す様に光り輝く。
『どうやら互いに準備は出来ている様だっ!口火を切るのは、一体誰なのかっ!?』
『私、行っても良いですか?』
『おけ』
『おっけー! 決めちゃって!』
『やってしまえ……沙倉』
するりとコンテナの上で立ち上がる、一体のキャラ。
そんな男は直後に、クルクルと拳銃を回しながら腰のホルダーへの収納を果たす。
そして構えられた指から放たれた跳弾はそう、
『マグリス、スペシャルッッ!!』
マグリスのスペシャル……未来への弾丸。
一直線に向かうはコンテナに貼られたポスターの女性。
その右の瞳を撃ち抜き、次はドラム缶を、コンテナをと反射していく弾丸。
マグリスとまともに戦った事がなければ、その弾道など予測不可能。
そしてそんな必殺の一撃は、
『あ、やばっ……』
『redアイゼン』が『blueマグリス』によって倒されました
容赦なく敵を貫くのだった。
『サドニクス選手がデッド! まさかのマグリスがっ、ファーストキル!?』
「おぉ、決まった!」
楽土
・うぉおおおおお!!!
ゴールドから抜け出し隊
・風音ネ申様、キタ━(゜∀゜)━!!!!!
パンパンジー
・えっ、人間卒業!?
メリーっち
・バケモンなってて草
最大反射の五回を経て、それは物陰に隠れていたはずのアイゼンを狩ったのだ。
もちろんこれは偶然ではないが……アドリブでもない。
アンラッキーガール
・これ、私も喰らいました(怒)
粘々ギブアップ
・親の顔より見た初見殺し
このステージ用に俺が独自で編み出した、初見殺し固定撃ちルートであった。




