第16話 VSトマトパーティー
「それでは準決勝第一試合、Aブロック1位通過Blueサイド、スピネオンvsBブロック2位通過Redサイド、トマトパーティー……始めていきましょう!」
Ready Go!
画面中央にデカデカと表示された合図と共に、キャラ達は中央へと駆け出していく。
「ではアンさん、編成の方をお願いします」
「はい!スピネオン側は予選から変わらず、三種の神器プラスのマグリス……アタッカー二枚構成ですね。
対するトマトパーティーは……予選から変えて来ましたか」
「神器とセン構成から、伽羅子を抜いてカリネロ、ですか。
カリネロは、今大会初登場です!」
画面にアップして映されているのは、アイゼン程に分厚い装甲を身につけた男。
その真っ黒に染め上げられた武装と物々しいガスマスク、時折プシューと謎の気体が漏れ出る音が恐怖をかき立てる。
だが、銃や剣といった戦える様な装備は表に見えない。
「アンさん、カリネロについて説明お願い出来ますか?」
「はい、カリネロはタイプとしては見た目通りタンクでHPが非常に高いです。
アイゼンよりも上で、なんと廃都倶楽部最大HP。
そして武器は……」
もちろん丸腰で戦場に立つ訳がなかった。
画面のカリネロが手に握ったのは、銃や剣などの武器ではなく──背中のタンクから伸びたホース、その先端の金属部分。
「敵を炙って倒す、火炎放射器ですね」
カリネロの手元から噴き出した真っ赤な炎が、通路を焼き尽くしていく。
それは画面越しでもチカチカとする程に眩い光。
ランラン
・カリネロw
しゅばっち
・トマパ尾張屋根
焼き豚ハムハム
・カリネロ、お前……やれるのか?
キンショー
・えっ、カリネロって弱いの!?
Pan
・レンレン、伽羅子の印象しかないけど
「コメント欄は、カリネロ採用に賛否両論……いや否の方が若干多いでしょうか。
アンさんは、どう考えまていますか?」
「え〜、そうですね……。
正直評価はそこまで高くないです、アイゼンと伽羅子には悪くないですが。
高HPですけど、餓鬼道を始めとする遠距離アタッカーを相手にした際には、何も出来ずに溶かされてしまうんですよね……」
それは少し言葉を考える様な言い回し。
声のトーンを聞いただけでも、観戦勢にはあまり強くない事が分かってしまう程に。
「ただ複数同時攻撃出来るタンクは、唯一無二。
角待ちは最強格ですし、餓鬼道弱体後の今なら──ワンチャンありますね」
『今頃あっち盛り上がってるかな!』
『まあカリネロ出たら盛り上がるだろ……良くも悪くも』
『そんな弱いかなぁ?カリネロ』
『……でもレンレン、練習して来たんでしょ?』
『もちろんだよぅ!伽羅子よりは自信あるんだからっ!』
『それは、なんとも楽しみだ』
『みんな舐めてるだろうから、その内にいっぱい燃やしちゃうよ〜!!』
「……どうやら、練習してきているみたいですね」
「あははっ、そうですね!この配信では、各ライバーの通話を聴ける様になっていますから。
もちろん、遅延は入っていますのでご安心を!」
アフトゥン
・レンレン、バレバレで草
Saria
・アホがバレたな()
ポックル
・手首回転させてくれ〜
ぼとぅモチ
・カリネロWin!レンレンWin!
「スピネオン側はどんな会話をしてますかね?」
「では、少し聞いてみましょう」
スイッチャーによる、音声の切り替え。
それによって会話が混戦しすぎない様に、配信では上手く調整されていた。
……戦闘となった場合は入り乱れてしまうが。
『カリネロはアタシと風音で倒そっ!』
『了解!』
『オレ達は、近づかない様にしとくか』
『ういうい〜』
「おお〜……こちらは随分冷静か?作戦を話しながら中央で睨み合っています!」
「どうやら対応は事前に決めていた様ですね。
事前のキャラ対策がしっかりしてます」
予選から隠していたはずのトマトパーティー、その構成。
だが彼らスピネオンは、動揺を相手が聞いていない場所でも見せない。
それこそが心の余裕の証拠であり、事前準備の賜物であった。
事前準備をしっかりした事による、心の余裕とも言うかもしれない。
「なるほど、では……トマトパーティーの奇襲が刺さるか、それともスピネオンのキャラ対策が上回るかの勝負ですね!
さあ、どちらが先に動くのでしょうか? 瞬き厳禁ですよ!」
『いいね、この狙撃ポイント』
そんなステージで、狩人は息を潜める。
来るべき一瞬の隙、そこへ向けて。




