第14話 廃都情報局
「こちらっ、「「廃都情報局でございます!」」
「今週のお相手はYamatsuzi所属のメルトと」
「同じくYamatsuzi所属、アンラッキーガールでお送りしま〜っす!」
廃都情報局。
それはガブtube内にて運営される、非公式チャンネル。
基本プロゲーミングチームのYamatsuziメンバーが持ち回り、又は全員で企画に挑戦したり、廃都倶楽部の最新ニュースを発信する場所であった。
画面の端では、黒髪メガネの優男と黒髪ポニーテールの快活そうな女性がデフォルメされ、くるくると回っている。
「本日の企画は……アップデート来たので新Tier表を作ろ〜〜!」
「おお!」
パチパチパチ
Tier表、それは端的に言うとキャラクターのランキング表。
階層ごとに分かれており、大抵の場合ではアルファベットや一桁前半の数字でその強さが表される。
「結構コメント来てましたよね?」
「やっぱ、人気企画ですから!
それに今回はキャラ調整も来ましたから、良い機会ですしね!」
「今回はマネージャーさんから、大注目のドリクエカップに向けて初心者向けの解説も挟んで欲しいという要望も貰ってます」
「やっぱり影響力大きいよね〜、視聴者がめちゃくちゃ増えたし!
「確かにそれは感じるね。
我々にとっても界隈が盛り上がることは大歓迎です!
ベテランの人達は、復習も兼ねて見ていただければと思います!」
「では早速行きましょうか。
まずは、前回のランクを振り返っていきましょう!」
そうして画面に映し出されたのはバックが黒く、階層分けされた表。
そこにキャラの写真達が貼り付けられていた。
TierGod
・アイゼン
TierS
・伽羅子 ・餓鬼道
TierA
・セン ・一鉄 ・壱華、他……
TierB
・マグリス ・カリネロ ・黒羽、他……
「ちなみに左右差はあり、ですので左に行くほど強いという感じになっております」
「まあ、ぱっと見は今も変わらないかなって印象だね」
「では上から、まずは……アイゼン!
最前線役を担うタンクタイプのキャラ。
攻撃はまあまあ威力高いライフルで、そして何よりスペシャルが特徴だよね」
「そう、廃都最強と言われる大消費スペシャル、一夜城壁。
敵チームの攻撃は通らず、自陣営は通るバリケードを設置っていう、流石に満場一致の最強技」
「例えキルに繋がらなくても、カウント稼ぎが優秀すぎるね!
残り10カウントとかで、宝石を守られたらもう絶望するしかないよ、本当に」
画面には、肌が黒く白いパワードスーツを着た大男が拡大されて写っている。
そしてその下には、変更点が記載されていた。
「こちらはスペシャルに関しての調整で、耐久値が100下げられたみたいです。
実際、どんな感触だった?」
「う〜ん、まあ変わった……かも?ってぐらいかな」
「やっぱそんなもんか。
アイゼンの強いところは、別に耐久じゃないからね」
「とはいっても、そっちのシステム方向を弄ると途端に産廃になっちゃいそうだから、流石にノータッチかな?
……でもまあ、破り易くなったのは事実だし。
それで拾える勝ち試合はあるかもね?」
「って、ところかな。
じゃあ、TierGodからは?」
「落とさなくて良い、かな?
事前に視聴者アンケート取ったらしいけど、今も95%の人がTierGod級って言ってるみたいだしね〜」
「じゃあ、そのままという事で!」
「お次は、伽羅子!」
映っている画像は変わり、ボロ布で作った白いワンピースを身につけた女性になる。
先ほどの陽気な表情を浮かべていたアイゼンとは異なり、腰の辺りまで伸びた黒髪がその表情を隠してしまっており窺い知れない。
そんな、ジャパニーズホラーを体現した様なキャラであった。
「このキャラは、アサシンタイプと呼ばれる低耐久の代わりに高火力を持つキャラだね!
ナイフ……というか包丁キャラで、遠距離攻撃はないものの心臓か喉付近への攻撃は即死になるというのが強み。
そして銃を撃たないからこその圧倒的な、スペシャルの回転力!」
「このキャラは特別に2つスペシャルを持っていて、少消費の『私から逃げないで』は触れた相手を数秒金縛り。
1番の強みである大消費、『アナタの後ろにいるの、だぁれ?』で全キャラ唯一の、壁とオブジェクトを抜けられる、という神出鬼没なキャラとなってます!」
「うん、何回聞いても寒気がするぐらい恐ろしいスペックしてるわ、こいつ」
「ただ代わりに、チャンスが来た時失敗すると戦犯になるのは怖いけどね」
「まあ打開だとほぼ仕事なくなっちゃうからね、遠距離攻撃出来ないしさ」
「今回は調整無いみたいなんで、一旦現状維持でいこうか?」
「それで良いんじゃないかな」
「ではお次は餓鬼道!」
そのキャラは灰色のスーツを身につけており、口には葉巻を咥えていた。
「このキャラの分類はアタッカータイプ、アサシンよりは少しバランスが良いステータスを持ってます!
攻撃は抱えた、弾の多いサブマシンガンで」
「そして中消費のスペシャルは、代えの効く鉄砲玉!
本来長いはずのリロード時間を破棄して、倍の200発装填したものを今までの1.5倍の速度で発射するという能力になってます」
「シンプルなのに、これが強えのなんの」
「まともに喰らうと上位帯でも消し飛ぶからね、本当に。
まあ基本は弾幕で敵を寄せ付けずにカウントを稼いだり、アイゼンのバリアを溶かしたりって感じの運用かな」
「初心者の皆さんは、間違ってもリロード中に近づいてはダメですよ!
中級者、上級者の皆さんはスペシャルフェイク、にくれぐれもご注意を!」
スペシャルフェイク……それはスペシャルポイントの溜まる速度を調整し、相手の計算を狂わせる技。
仕組みは至極単純で、弾を撃ち続ける事で相手からしたら一見スペシャルが溜まってないように見せかける。
だが実際はコンマ一ミリで溜まるという状態を維持しているため、射撃をやめた瞬間にスペシャルが溜まってしまうのだ。
例え慎重派で、しっかりと画面上で溜まっているかどうかを確認しても、それは分からない。
もしまんまとIGLが騙されて指示を下してしまった場合は……なんとも悲惨な結果を招いてしまう事だろう。
そしてそんな技術を一番上手く活用できるのが、餓鬼道。
長く撃ち続けられるだけの弾数があり、返り討ちに遭わせるだけのスペシャル破壊力を持つためだ。
「そんな餓鬼道ですが、弱体化が入りました。
カチコミ中のダメージが一発20から19へ下げられ、発射速度が1.4倍へと下げられる、という感じです。
アンちゃんはどう?ランクの最高CP更新したキャラだけど」
「アイゼンと違って、こっちは結構明確に感じるね。
特にそのアイゼンのバリア壊す速度が遅くなっちゃったのは、気になるポイント。
キル性能は……まぁまぁまぁ、って感じ」
「そっか。確かに俺も触ったけど、ん?って思ったしな〜。
ちなみにTierは、どう?下げる?」
「いやこのままで良いんじゃないかな?
というか、餓鬼道いないとアイゼンのバリア壊せないしねぇ」
「じゃあ、一旦は現状維持って事で。
いやぁ、まさか餓鬼道が最初に三種の神器から落ちそうになるとはね。
初期からは、考えられないや」
「まあ初期は25ダメの2倍速度で、三百発ばら撒きだからね。
今思うと流石にイカれすぎっ」
「ジジイババアトークはこの辺で……」
「おい」
「餓鬼道の評価が落ちるなら、他の遠距離アタッカーにもチャンスが来るかもね?」
「……それはあるね!アサシンだけどセンとか……マグリス、とか。
「マグリス!なんか最近多いよね」
「前なんて某柑橘系の人しかほぼ遭わなかったけど、増えたね」
「じゃあ、マグリスの説明してもらって良い?」
「オッケー!
マグリスはアタッカータイプで、手に持った拳銃で攻撃。
そして1番の特徴が、ゲージ中消費のスペシャル……未来への弾丸。
最大五回壁を反射する弾丸を放つ、という能力で、もしヘッドショットになってしまったら一発デッド!」
「一応このゲームだと、理論上最強とは言われてるね。
まあ壁反射そんなに上手くいかないし、夢物語ではある……1人を除いて」
「調整はないけど、どう?最近のマグリスは?」
「いや、別に専門家ではないけどね。
ん〜、そうだなぁ……でも他の人も結構レベル上がってるね!」
「そうなんだよね!スペシャル、ヘッショじゃないとはいえ結構当ててくるの凄いわ」
「某プレイヤーの配信でレベルの向上には、なってそうだね」
「キャラランクは……どうしようか?ワンチャン上げてもいいけど」
「ただ、スペシャルがない時の物足りなさは変わらないかな。
もしこのまま餓鬼道が神器の一角落ちしたら、TierAにあげても良いかな?」
「じゃあ、そうしとこっか。
ちなみに、その某選手が使うマグリスならどのTier?」
「……まあSは硬いだろうね。
角待ちをケアならともかく、狩れるのは伽羅子とマグリスだけだし」
それは何とも悔しそうで、絞り出す様な声。
「ただ、どこまでいっても壱華がキツイからSより上は無理かも」
「ははっ、まあそうだね」
「ちょっと、何笑ってるの!!こっちは真剣なんですがっ!?」
「ごめん、ごめんってば!」
「じゃあ、次は……」
そうして番組は、続いていく。
評価やブックマーク等頂けますと執筆モチベーションに繋がりますので、よろしければぜひお願いします!




