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カナブン
カナブンの一寸の命夜に放つ
2022年抒情文芸冬季号佳作 選者 坪内稔典
カナブンを怖がる人もいます。でもカナブンは悪い虫じゃないのですよ。夏の夜、ふいに飛び込んでくるカナブン、女の人はキャーと叫んで逃げまどいます、まるでゴキブリを見たときの姿と同じです。カナブンは電気のコードなどにぶら下がったりします。そのたびに私は手でつかんでは夜の庭に離してあげます。幼い頃はカナブンは友達でした、幼い子でも捕まえることのできる虫なのです。捕まえてはしばらく手で触っては逃がしてやります。それは幼い子には楽しい遊びだったのです、兄と競争して捕まえていましたね。
都会の人の多くは地方からやってきた人たち、なのに都会に来ると自然を知らぬ都会の人のように虫を嫌い始めます。悲しいですね、草を刈れ、木を切れ、虫が湧く、鳥が来てうるさいと。人と他の生き物は共存してきたのです、でも人間が彼らの住む環境を壊してしまったのです。
人には命があります、虫や木や草、鳥にも命があります。それを思ったときの句です。




