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2ー5

 なんだかしらけた気持ちで工場に戻ってくると、手持ち無沙汰なザックと遭遇した。


「じゃ、俺はこれで。気が向いたら連絡してよ」


 イワガキは生意気にも自分の連絡先をわたくしに渡して去って行った。


「ロザリア様。今日はお友だちができたようですね」


 なにそれ。わたくし、あんな安っぽい店でたいしておいしくもない食事をして口説かれたんだけど。


 それを知ったら、貴方どうする?


「口説かれたわ。でも、友だちから始めましょうとも言われた」

「そうですか」

「反対しないの? 彼の素行調査とかしなくていいの?」

「ロザリア様がそれでよろしいのでしたら、わたくしが口をはさむ理由はありませんから」


 なに、言ってるのよっ。怒ってよ。あんなヤツと食事に行くなって、友だちになんかなるなって言ってようっ!!


 だけど、それ以上ザックは聞いてこない。だから、反撃したくなる。


「ザックは? あの女性のお弁当食べて、おいしきった?」

「味なんて。素っ気なかったですよ」


 嘘つき。なんならお昼も彼女と一緒だったんじゃないの?


 って、嫌だわ、わたくし。こんな嫉妬、エリオットの時にすごく嫌な人間になったことでもう嫉妬なんかしないって思っていたのに。


「彼女とは、連絡先を交換したの?」

「ええ。おまりしつこくせがむものでしたから。それに、ロザリア様に禁止されておりませんでしたし」


 だって、貴方を束縛したくなかったのよ?


 どうしてだろう。ザックのことが好きなだけなのに、どうしても嫌な自分しか出てこない。


「はぁ。お互いに友だちができたってことね。それでいいじゃない」

「よくはありません」

「どうして?」


 それからザックはまた黙ってしまった。


「さてと。午後からの仕事もがんばりましょうね」


 わたくしがザックに笑顔を浮かべると、ザックの頬が赤くなった。


「行かないでください」

「え?」

「イワガキってあの男、ジゴロで有名なんですって。ですから、ロザリア様を口説く権利はありませんよ。わたくしの方から断ってもいいです」


 なんで? どうして急にそんなことを言うの?


「今日半日、ロザリア様の側にいられなくて、とてもつらかったです。あの男が側に居たから」

「だから?」


 はっと我に返ったザックが苦笑いを浮かべる。


「なんでもありません。ロザリア様だって友だちが欲しいのですものね。わたくしが反対する資格なんてありません」


 反対してよ? どうしてそんな言い方するの? もっとわたくしを必要としてよ?


 これじゃわたくし、道化者みたいじゃない。


     つづく


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