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もやもやした気持ちを抱えたままじゃ、ドレス作りに身が入らない。
わたくしとしたことが、うっかりミスしちゃって、イワガキに何度もフォローされてしまった。
イワガキなんて、側に来なくてよかったのに。
あの女はなぜか、ザックに手伝わせているし。
「もういいわ。わたくし一人で作った方が集中できるもの」
おもわずそう口走ってしまったけれど。
「ですがロザリアさん、工場ではみんなで協力するものですよ」
なんてあたりまえなことをイワガキに説教されてしまった。
をたくしのメンタルはすでに限界を超えてしまっている。
それもこれも、あの女とイワガキのせいよ。あと、つまらない食事をしたせいだわ。
「わたくし……」
わたくしみたいな人間には、工場なんてあわないのかもしれない。
お城でのんびりドレスを縫っていた頃が懐かしい。
不覚にも、涙が出そうになったその時、ザックに手をつかまれた。
「お嬢様、こちらへ」
え? ザックまたわたくしのことをお嬢様って呼んでいるわよ?
こちらへって、どちらへ?
連れて行かれたのは食堂。
ザックは冷蔵庫の中から、プリンアラモードを取り出した。
「休み時間に作っておきました。これを食べて、元気をつけてください」
「……ザック」
やっぱり優しい。
「わたくしは、ザックのことが好きなの」
「はい。わたくしはお嬢様のことを愛しております」
「そうよ、愛よ。わたくしもザックをあいしているわ。だからお願いっ」
「どうか、他の男の人と友だちになるのを辞めてください」
ザック……。わたくしに恥をかかせまいと、そこまで言ってくれるなんて。
「はい、そうします。だからザックも」
「わたくしも他の女性と仲良くなんてしたくありません。そのうち独立して工場を作りましょう。そこで二人で作業できるよう、今はお金をたくわえております」
ザック……。
「好き。ザック、好きよ」
「ありがたきお言葉。ロザリア様、これからもどうかよろしくお願いします」
「ええ。ええ、ザック」
こうして、ユイニャンのドレスは無事期日内に完成させることができたの。
次はわたくしの結婚式だわね。
うっふふふふふっ。
おしまい




