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ユイニャンのドレスを期日までに完成させるために、ここ最近徹夜みたいなことになってる。
工場長もここで寝泊まりしてもいいって許可を出してくれたことだし、わたくしは疲れた身体に鞭打って、それでもドレスを縫いつづける。
「ロザリア様、夕飯の準備ができました」
それでもこうしてザックが付き合ってくれる。
他の人たちは時間になるとそそくさと帰ってしまうから、緊張感がないんじゃないかしら?
わたくしはユイニャンのドレスを縫っているけど、ミカリン・アールグレイのドレスは彼女たちが制作しているの。
数に物を言わせて分担作業しているから、わたくしより先にドレスが完成するんじゃないかと思ったけど、なかなか手こずっているみたい。
ちなみにジェインと結婚する侍女長のリリーは、ロイヤルミルクティ国の王妃だったジュリアおば様のドレスをリメイクしているのですって。ちょっと焼けるわ。
だって、わたくしだけが置いてきぼりにされちゃった気分なんだもの。
「ありがとう。すぐ食堂に行くわ」
この工場の便利なところは、厨房と食堂ぎ完備されていること。
厨房も好きに使っていいことになっているから、ザックはここでわたくしのご飯を作ってくれているの。
「ねぇ、久しぶりに一緒に食べない?」
「ですが、それですと――」
「ですがはナシ! だって一人で食べるの心細いんですもの」
そういうことでしたら、はい。そのように準備します」
やった!! ザックとご飯が食べられる!
だけど。ご飯を目の前にして、わたくしは呆然とした。
だって、見たことのない茶色な煮物があるんだもの。
「コレはなに?」
「フカヒレと言って、サメの尻尾です。コラーゲンが豊富に含まれていますから、徹夜続きでもお肌がつやつやになることでしょう」
「そうなんだ? それで? どうしてザックはフカヒレじゃなくて焼き魚なの?」
てっきりおなじものを食べるのだと思っていたからびっくりしたわ。
「フカヒレは栄養がある分、値がはりますからね。わたくし風情は焼き魚で充分ごちそうです」
フカヒレって高いんだ。わたくしも自給自足の生活に慣れてきたけれど、まだお金の管理まではきちんとしてないから気をつけなくちゃ。
「そんなに高いものじゃなくていいのよ? なんならわたくしが焼き魚をたべようかしら?」
「わたくしの肌がつやつやになったところで誰もよろこびませんから」
つれないなぁ、ザック。本当にわずかな隙もないんだから。
もうエリオットの時のような無茶はしないけど。でも覚えておきなさい。貴方はわたくしのことを好きにさせてみせるんだから。
つづく




