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1ー2

 ドレスの裾の始末をしたわたくしは、ザックが淹れてくれた紅茶を飲む。ほんのりと味わい深い香りがたまらない。


 やっぱりザックが淹れてくれた紅茶はおいしいわ。


「ありがとう、ザック。今日もお茶がおいしいわ」

「お褒めにあずかり光栄です。わたくしはお嬢様のサポートしかできませんから」


 そうは言っても、わたくしのスケジュール管理に三食の食事とおやつ、それに衣装までも決めてくれるなんて、とてもじゃないけど一人じゃまかないきれないでしょうに。


「もうくらげ島じゃないんだから、そのお嬢様って呼び方変えてくれない?」


 思い切ってお願いしてみれば」

「そうですか。では、これからはロザリア様とお呼びしましょう」


 なんて、さらに溝が深くなるような言い方をするのよね。


 ザックってなんでもできて、頭もいいけど、ちょっとだけ融通がきかないのよね。


「なら、それでいいわ」


 一応名前で呼んでくれるのだもの。それ以上は今は求めない。


 だけど。


「ねぇ、ザック。もし、わたくしが結婚することになったら、誰に花嫁衣装を頼めばいいのかしら?」


 さりげなく聞いてみる。


 だって最近のわたくしは、ザックのことが気になって仕方がないのですもの。


「それは、ロザリア様ご自身で作られたらどうですか?」


 つれないのね。相手は誰、とか聞いてくれないの。


 もっとも、わたくしが長い間エリオットに片想いしていたことは、くらげ島の住人はみんな知っていることだけれど。


 今はもう、過去の話。


 そりゃ、ユイニャンなんて出てきた時は腸が煮えくり返るほど悔しかったけれど。


 エリオットが自分で選んだ女性だから、自然と癇癪がおさまったわ。


 だけど、癇癪がおさまった理由はそれだけじゃない。


 ザックの存在があったから。

 

 だから、エリオットをあきらめることができた。


 このわたくしがあきらめたのよ?


 だから、エリオットにはしあわせになって欲しいものだわ。


 できれば、わたくしもザックとしあわせになりたいところだけれど……。


 皇室制度が無くなったのだから、身分差なんてないわよね?


 だって、エリオットもジョシュアも一般人と結婚するのだから。


 わたくしだけがしあわせになれない、なんてことないわよね?


 もし、わたくしのことが嫌いだったら。


 ザックはここまでしてくれないわよね?


 ねぇ、ザック。あなたはわたくしのことをどう思っているの?


     つづく



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