第四十二話 受け継がれる光
ここは《島海学園》。
海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。
五十年前に世界を沈めた災厄。
深海王。
その圧倒的な力を前に、先代最強の島娘・北四島と現代最強の島娘・直島が並び立った。
「一緒に倒そう」
「うん」
二人は同時に海面を蹴る。
バシャァァァッ!!
二つの光。
白と青。
その軌跡が夜空を駆け抜ける。
キィィィィィィ!!
深海王が咆哮する。
無数の触腕。
数十本。
いや百本近い巨大な触腕が一斉に襲いかかる。
「多いね!」
北四島が笑う。
「……切る」
直島も加速する。
ズバァァァァァッ!!
光刀が舞う。
大剣が唸る。
触腕が次々と切断されていく。
だが。
ボコボコボコッ!
切り落とした先から再生する。
「再生してる!」
九州が叫ぶ。
西表島も驚く。
「うわぁ、気持ち悪いよ~!」
佐渡島は震えていた。
「どうすれば……」
司令室。
観測員たちも困惑していた。
『切断しても意味がありません!』
『再生速度が速すぎる!』
司令官は静かに深海王を見つめる。
「核があるはずだ」
「どこかに必ず」
その頃。
空中では激戦が続いていた。
ドゴォォォォン!!
巨大な触腕が直島を襲う。
しかし。
「遅い」
ズバァッ!
一刀両断。
さらに。
北四島が反対側から飛び込む。
「そこ!」
光刀が閃く。
だが。
ギィィィィッ!!
深海王の巨大な口から漆黒の光弾が放たれる。
「!」
北四島が防御する。
ドォォォン!!
爆発。
「北四島先輩!」
直島が叫ぶ。
煙の中。
「大丈夫」
北四島が出てくる。
しかし。
九州は気付いてしまった。
「血……」
北四島の肩。
そこから赤い血が流れている。
「怪我してる……」
沖縄本島も歯を食いしばる。
「無理しすぎだ……」
対馬も顔を曇らせる。
双核解放。
その反動は決して小さくない。
長時間の戦闘。
さらに深海王との戦い。
北四島の体力は限界に近づいていた。
しかし。
北四島は笑っていた。
「まだまだ」
「後輩の前で格好悪い姿見せられないしね」
直島が小さく言う。
「無理しないで」
「……先輩」
北四島は目を丸くした。
そして。
優しく微笑む。
「ふふ」
「ありがとう」
その時だった。
キィィィィィィィ!!
深海王の瞳が赤く輝く。
海面が震える。
「なに?」
九州が息を呑む。
次の瞬間。
海底。
そこから無数の光が浮かび上がる。
「また敵!?」
しかし違った。
「え?」
西表島が目を丸くする。
「綺麗……」
それは。
小さな光。
青い光。
白い光。
緑色。
黄色。
様々な色。
そして。
北四島が目を見開いた。
「この光……」
司令官も驚愕する。
「まさか……」
光たちはゆっくりと空へ昇る。
まるで星空のように。
そして。
九州たちの周りへ集まった。
九州の前。
西表島の前。
佐渡島の前。
沖縄本島。
対馬。
種子島。
屋久島。
奄美大島。
淡路島。
全ての島娘たちの前へ。
「これって……」
九州が手を伸ばす。
すると。
温かい。
懐かしい。
優しい感覚。
そして。
声が聞こえた。
『お願い』
『守って』
『みんなを』
『未来を』
九州は目を見開く。
「この声……」
司令官が震える声で呟く。
「島の魂……」
「沈んでいった島々の……」
五十年前。
世界の沈没で失われた無数の島々。
その魂。
消えたはずの願い。
それが。
今。
島娘たちへ力を託そうとしていた。
光が九州へ吸い込まれる。
西表島にも。
佐渡島にも。
沖縄本島にも。
そして。
直島と北四島にも。
ドォォォォォン!!
島核が共鳴する。
「これは……」
北四島が驚く。
直島も目を見開く。
「暖かい」
その瞬間。
九州の身体が光り始めた。
西表島も。
佐渡島も。
他の島娘たちも。
「え!?」
「なになに!?」
「体が光ってる!」
島娘たちの島核。
それら全てが共鳴していた。
そして。
司令室。
観測員が叫ぶ。
『島娘全員の出力が上昇しています!』
『二倍!』
『三倍!』
『まだ上がる!?』
司令官の目に涙が浮かぶ。
「そうか……」
「みんな……」
「今も見守ってくれていたんだな」
そして。
深海王。
初めて。
その巨大な瞳に焦りが浮かんだ。
キィィィィ……!
王が怯える。
初めて。
恐怖を見せた。
一方。
光に包まれる九州。
その胸の奥。
島核が今までにない輝きを放つ。
そして。
少女の脳裏に。
見たことのない景色が映し出される。
深海。
さらに深く。
誰も知らない場所。
そこに。
巨大な黒い繭があった。
そして。
その中で眠る。
もう一体の存在。
九州は息を呑む。
「うそ……」
「まだ……いるの……?」
そして。
その閉じられていた瞳が。
ゆっくりと開こうとしていた。
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次回もお楽しみに




