第四十話 帰還せし双核の島娘
ここは《島海学園》。
海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。
三つの口から放たれた漆黒の光線。
海。
空。
そして島海学園。
絶望的な一撃。
誰も止められない。
そう思われた。
しかし。
「ただいま、島海学園」
月明かりの海。
そこに立つ一人の少女。
長い黒髪。
黒い軍服。
腰の二刀。
そして。
左右で異なる色を放つ二つの島核。
「二つ……?」
九州は息を呑む。
西表島も猫仮面の下で目を丸くしていた。
「ふぇ?」
佐渡島も信じられないという顔になる。
その時。
沖縄本島が叫んだ。
「みんな下がれ!」
対馬も頷く。
「彼女に任せろ!」
九州は驚く。
直島先輩ですら苦戦している敵。
それを一人に?
しかし。
次の瞬間。
少女が刀を抜く。
「《双界斬》」
静かな声。
そして。
シュン。
彼女の姿が消えた。
「え?」
九州の目では追えない。
一瞬後。
三本の漆黒の光線。
その前に少女がいた。
「斬れないものなんてないよ」
ズバァァァァァッ!!
三本の光線。
それら全てが切断された。
大爆発。
海が揺れる。
空が裂ける。
だが学園への被害はない。
「うそ……」
西表島が呆然とする。
佐渡島も声が出ない。
そして。
変異した超大型。
三つの頭が初めて少女を見る。
ギロリ。
赤い瞳。
「君が王なんだね」
少女は笑う。
「じゃあ」
「私が狩るよ」
バシャァァァァッ!!
爆発的な速度。
瞬間移動。
いや。
それ以上。
次の瞬間。
変異超大型の左腕。
ズバァァッ!!
巨大な腕が宙を舞った。
キシャァァァァァァ!?
悲鳴。
怪物が悲鳴を上げる。
戦場が静まり返る。
「腕を……」
「切った……?」
屋久島が目を見開く。
奄美大島も絶句する。
直島でさえ驚いていた。
司令室。
観測員たちが悲鳴を上げる。
『高エネルギー反応!』
『誰なんですか、あの人!?』
司令官が静かに答える。
「元島海学園所属」
「零番隊隊長」
「初代最強の島娘」
「択捉島と国後島」
「二つの島核を持つ唯一の存在」
「双核の島娘」
「北四島」
九州たちは目を見開く。
「北四島……?」
知らない。
聞いたことがない。
しかし。
沖縄本島。
対馬。
種子島。
そして直島。
全員が憧れる伝説の島娘。
それが彼女だった。
北四島は苦笑した。
「そんな顔しないでよ」
「私だって苦戦する時はあるから」
その時。
直島が近付いてくる。
「……先輩」
「久しぶり」
北四島は微笑む。
「強くなったね、直島」
直島は少しだけ嬉しそうだった。
「……まだ、足りない」
「ふふ」
「十分すぎるよ」
その瞬間。
変異超大型が激怒する。
キシャァァァァァァ!!
六本の腕。
三つの口。
全てから攻撃が放たれる。
だが。
北四島は笑っていた。
「元気だね」
二つの島核。
青と白。
その光が重なる。
「《双核解放》」
ドォォォォォォォ!!
戦場を包む光。
あまりの眩しさに九州たちは目を閉じる。
そして。
光が収まった時。
そこにいたのは。
白と黒の装束。
六枚の光の羽。
二本の光刀。
まるで神話の戦士。
変貌した北四島だった。
「なっ……」
沖縄本島も驚く。
対馬も言葉を失う。
種子島も息を呑む。
そして直島。
「……綺麗」
珍しく素直に呟く。
北四島は笑う。
「ありがと」
そして。
巨大な怪物を見上げる。
「さぁ」
「第二ラウンドだ」
その瞬間だった。
司令室。
観測員が悲鳴を上げる。
『司令官!』
『超大型の下から新たな反応!』
全員が海を見る。
ゴゴゴゴゴ……
海面が割れる。
さらに深く。
深海の闇の中。
何かがいる。
そして。
ゆっくりと。
巨大な瞳が開いた。
変異超大型。
そのさらに下。
誰も知らなかった。
真の王が。
深海から目覚めようとしていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




