第三十八話 白き閃光
ここは《島海学園》。
海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。
島海学園防衛戦。
戦いは極限へ達していた。
超大型マリンモンスター。
群れの王。
死んだ仲間すら蘇らせる異常な能力。
そして、その圧倒的な戦闘力。
島娘たちは追い詰められていた。
しかし。
夜の海に新たな光が生まれる。
「まだ……終わってない」
傷だらけの身体。
血の流れる額。
破れた制服。
それでも直島は立ち上がった。
白い髪が海風になびく。
巨大な大剣を握り締める。
そして。
その身体から、今まで見たことのない輝きが溢れ始めていた。
「直島先輩……」
九州は目を見開く。
暖かい。
それでいて強い。
まるで夜明けのような光だった。
司令室では観測員たちが混乱していた。
『島核反応上昇!』
『出力三倍!』
『まだ上がる!?』
『こ、これ以上は計測できません!』
司令官が静かに呟く。
「ついに目覚めたか……」
沖縄本島も息を呑んでいた。
「直島……」
対馬も驚いている。
「本当に使えるようになったのか……」
種子島も目を細める。
「久しぶりに見る……」
新人たちは意味が分からない。
九州も西表島も佐渡島も、ただその光景を見つめていた。
そして。
超大型マリンモンスターが咆哮する。
キシャァァァァァァァァ!!
漆黒の光が口に集まる。
再び放たれる破壊の一撃。
だが。
直島は一歩前へ出た。
「……来い」
その瞬間。
漆黒の光線が放たれる。
海を裂く滅びの光。
しかし。
「斬る」
一閃。
ズバァァァァァァッ!!
信じられないことが起きた。
漆黒の光線そのものが真っ二つになった。
左右へ分かれた光が遠方で爆発する。
巨大な水柱。
誰も言葉を失った。
「え……」
九州の声が震える。
西表島の猫仮面がずれるほど驚いている。
佐渡島は口を開けたままだった。
沖縄本島が小さく笑う。
「やっぱり化け物だな」
対馬も苦笑する。
「島海学園最強は伊達じゃないか」
直島は止まらない。
海面を蹴る。
バシャァァァッ!!
加速。
いや。
もはや瞬間移動だった。
「消えた!?」
九州が叫ぶ。
次の瞬間。
超大型の頭上。
そこに直島がいた。
「終わり」
大剣が輝く。
ズドォォォォン!!
凄まじい衝撃。
超大型の頭部へ巨大な傷が刻まれる。
黒い血が噴き出した。
キシャァァァァァッ!!
初めて。
超大型が苦痛の咆哮を上げる。
戦場に歓声が広がった。
「効いてる!」
「やった!」
「直島先輩すごい!」
希望。
それが生まれた。
だが。
司令官の表情だけは険しかった。
「まだだ……」
その時。
超大型の全身を覆う黒い結晶。
それらが一斉に赤く輝く。
「なに?」
九州が不安そうに呟く。
次の瞬間。
戦場中に散らばる無数の死骸。
大型。
中型。
小型。
全てのマリンモンスターの亡骸が浮かび上がった。
「え?」
「うそ……」
島娘たちが凍り付く。
今まで復活していた敵。
それだけではなかった。
死骸すべてが空中へ浮かび始める。
そして。
ドロドロと溶け始めた。
「気持ち悪い……」
西表島が顔をしかめる。
佐渡島も震えていた。
溶ける肉。
黒い結晶。
それらが一つに集まり始める。
超大型の周囲へ。
そして。
誰もが絶句した。
巨大な六本腕。
三つの頭。
山のような身体。
さらに巨大化した怪物。
「そんな……」
九州の顔から血の気が引く。
超大型マリンモンスター。
いや。
もう別の存在だった。
その全高。
島海学園の校舎より大きい。
圧倒的な巨体。
司令室でも悲鳴が上がる。
『エネルギー反応急上昇!』
『超大型変異!』
『分類不能!』
観測員たちが叫ぶ。
司令官も初めて表情を変えた。
「まずい……」
沖縄本島が歯を食いしばる。
「冗談でしょ……」
対馬も青ざめる。
種子島が小さく呟く。
「怪物……」
そして。
変異した超大型が。
三つの頭を同時に空へ向けた。
キシャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!
凄まじい咆哮。
その声だけで海が荒れる。
空の雲が吹き飛ぶ。
夜空に月が現れる。
そして。
赤い光。
巨大な魔法陣のようなものが空へ広がった。
司令室。
観測員が震える声で叫ぶ。
『上空に高エネルギー反応!』
『落下してきます!!』
全員が空を見上げる。
赤い光。
無数。
流星群のように降り注いでくる。
しかし。
それは星ではない。
「うそ……」
九州は息を呑む。
空から降ってきていたのは。
新たなマリンモンスターの群れだった。
海だけではない。
空からも。
怪物たちの大軍勢が降り始めたのである。
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次回もお楽しみに




