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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第三十二話 水上レース決勝戦


ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。


ついにその日がやって来た。


学園対抗水上レース決勝当日。


朝早くから島海学園は賑わっていた。


参加選手たちは準備に追われ、観客たちは観戦場所を確保している。


九州も朝から緊張していた。


「うぅ……」


食堂で朝食を食べながら小さく唸る。


すると向かいに座る西表島が笑った。


「緊張してるー?」


「してるよ!」


即答だった。


佐渡島も隣で苦笑する。


「だ、大丈夫……」


「ありがとう」


九州は少し落ち着く。


その時。


「おはよう」


声がした。


対馬だった。


今日は競技用の装備を身に着けている。


「対馬さん!」


「今日は全力で行くぞ」


「はい!」


そこへ種子島もやって来る。


「負けないからね」


静かな闘志が感じられた。


さらに。


「みんな気合入ってるねぇ」


沖縄本島まで現れる。


会場の空気が一段と引き締まった。


やはり優勝候補筆頭である。


食事を終えた後、選手たちは大会会場へ向かった。


島海学園近海。


巨大な特設コース。


海上都市連合が設置した観戦席。


たくさんの船。


大勢の観客。


九州はその規模に驚いていた。


「すごい……」


まるでお祭りだった。


実況席ではアナウンサーたちが準備している。


大型モニターも設置されていた。


島娘たちの姿が映し出されるたび歓声が上がる。


やがて開会式が始まった。


各学園の代表選手たちが整列する。


島海学園代表。


沖縄本島。


対馬。


種子島。


奄美大島。


九州。


そして他の選手たち。


司会者が高らかに宣言した。


「これより学園対抗水上レース決勝戦を開始します!」


大歓声。


海上に拍手が響いた。


選手たちはスタート地点へ移動する。


九州は深呼吸した。


緊張する。


だが不思議と怖くはなかった。


ここまで頑張ってきた。


だから全力を出すだけだ。


スタートライン。


横には対馬。


反対側には種子島。


少し離れた位置には沖縄本島。


全員が海面へ足をつける。


「位置について!」


実況が響く。


観客席が静まる。


九州は集中した。


波の音が聞こえる。


風の流れを感じる。


「スタート!!」


バシャァァァァァッ!!


巨大な水柱が上がった。


選手たちが一斉に飛び出す。


九州も全力で加速した。


海面が流れる。


風が頬を叩く。


速い。


予選以上の速度だった。


観客たちの歓声が遠ざかる。


最初の直線区間。


沖縄本島が先頭へ出る。


やはり速い。


対馬も続く。


種子島も離れない。


九州はその後ろを必死に追いかけた。


「負けない……!」


第一障害区間。


海上に浮かぶ巨大ブイ群。


細かい旋回が要求される。


選手たちが次々と進む。


九州も集中する。


右。


左。


右。


左。


身体を傾ける。


ギリギリで抜ける。


成功だった。


「よし!」


少し自信が付く。


だが。


前を見る。


沖縄本島はさらに先へ進んでいた。


まるで海を飛んでいる。


観客席から歓声が上がる。


実況も興奮していた。


『沖縄本島選手速い!圧倒的です!』


その後もレースは続く。


急旋回区間。


ジャンプポイント。


波乗り区間。


様々な障害を越えていく。


九州は必死だった。


順位は四位。


だが悪くない。


むしろ大健闘だった。


やがて最終区間。


長い直線コース。


全員が最後の加速へ入る。


対馬が前へ出る。


種子島も追い上げる。


しかし。


その時だった。


ドォォォォン!!


遠くの海から重低音が響いた。


観客席がざわつく。


選手たちも驚いた。


「え?」


九州が振り向く。


遠く。


本当に遠く。


水平線付近。


何かが見えた。


黒い影。


巨大だった。


実況席も混乱している。


『な、何でしょうか!?』


すると。


大会運営本部から緊急通信が流れた。


『全選手直ちにレースを中断してください!』


会場が騒然となる。


『繰り返します!全選手直ちに帰還してください!』


その声は明らかに異常だった。


沖縄本島の表情が変わる。


対馬も海を見つめる。


種子島も無言だった。


九州は遠くを見た。


黒い影。


一つではない。


二つ。


三つ。


十。


二十。


数え切れない。


海面が黒く染まっている。


そして。


島海学園の方角からサイレンが鳴り響いた。


ビーッ!


ビーッ!


ビーッ!


聞いたことのない警報音だった。


会場中が静まり返る。


次の瞬間。


大型モニターへ緊急映像が映し出された。


そこにいたのは司令官だった。


険しい表情。


背後では赤い警告灯が回っている。


『全島娘へ緊急指令』


誰もが息を呑む。


『大規模マリンモンスター群を確認』


会場が凍り付く。


『群れの規模は過去最大』


九州の顔から血の気が引いた。


そして司令官は続ける。


『超大型マリンモンスター反応を確認』


その瞬間。


沖縄本島。


対馬。


種子島。


そして遠くで観戦していた直島までもが表情を変えた。


あの時逃げられた超大型。


ついに再び現れたのだ。


モニターの映像が切り替わる。


映し出されたのは観測映像。


海を埋め尽くす無数のマリンモンスター。


その中心。


黒い結晶を纏った巨大な怪物。


以前より遥かに巨大化した超大型マリンモンスターだった。


そして怪物はゆっくりと口を開く。


その咆哮が映像越しにも伝わってくる。


『キシャァァァァァァァァァァァッ!!!』


観客席の誰もが言葉を失った。


九州は震える手を握り締める。


平和だった日常。


笑い合った毎日。


それらを守るための戦いが。


今。


始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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