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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第三十一話 決勝前日の特訓


ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。


流星群観測会の翌日。


九州はいつもより早く目を覚ました。


窓の外には朝日が広がっている。


穏やかな海。


静かな波。


しかし九州の心は少し落ち着かなかった。


理由は一つ。


明日はいよいよ水上レース決勝なのだ。


予選を突破した九州にとって初めての大舞台だった。


「頑張らないと……」


小さく呟く。


そして制服へ着替え、教室へ向かった。


教室ではすでに西表島と佐渡島が来ていた。


「おはよー!」


西表島が元気に手を振る。


「おはよう」


九州も席へ座る。


すると佐渡島が小さく微笑んだ。


「明日……決勝だね」


「うん!」


九州は頷く。


少し緊張していた。


だが楽しみでもある。


すると西表島が机へ身を乗り出した。


「優勝したら海鮮パフェおごって!」


「なんで!?」


「友達だから!」


意味が分からなかった。


教室が笑いに包まれる。


そんなやり取りをしていると先生が入ってきた。


「席につけ」


ホームルームが始まる。


先生は出席確認を終えると九州たちを見る。


「決勝進出者は放課後に特別訓練だ」


「はい!」


九州は元気よく返事をした。


授業は普段通り進んでいく。


歴史。


戦術基礎。


海洋学。


島娘たちの授業内容は普通の学校とは少し違う。


特に海洋学は重要だった。


海を知ることは生き残ることに繋がるからだ。


そして放課後。


訓練施設。


決勝進出者たちが集まっていた。


九州。


対馬。


種子島。


奄美大島。


数名の上級生。


そして沖縄本島。


先生が海上コースを指差した。


「今日は実戦形式だ」


ただ速く走るだけではない。


障害物。


急旋回。


加速区間。


複雑なコースが設置されている。


「始めるぞ」


訓練開始。


バシャァァッ!


一斉に飛び出す。


九州も全力だった。


海面を蹴る。


身体を前傾させる。


風を切る。


以前より速くなっている実感があった。


だが。


まだ足りない。


対馬が前にいる。


種子島もいる。


そして。


沖縄本島。


圧倒的だった。


まるで海と一体化しているかのような走り。


波を利用して加速している。


無駄が一切ない。


「すごい……」


九州は見惚れそうになる。


しかし今は訓練中だ。


集中する。


コーナーへ入る。


身体を傾ける。


ギリギリで曲がる。


成功。


少し嬉しい。


だが次の瞬間。


バランスを崩した。


「きゃっ!」


ドボーン!


海へ落ちた。


周囲から笑い声が聞こえる。


「九州ー!」


西表島だった。


いつの間にか見学に来ている。


「頑張れー!」


「うぅ……」


少し恥ずかしい。


それでも九州は立ち上がる。


何度でも挑戦する。


それが今の目標だった。


訓練は夕方まで続いた。


全身が疲れている。


だが充実感もあった。


訓練終了後。


九州は海辺に座って休憩していた。


夕焼けが広がっている。


すると。


誰かが近付いてきた。


直島だった。


「直島先輩」


九州は慌てて立ち上がる。


直島は首を横に振った。


「座ってていい」


そして隣へ腰を下ろした。


少し沈黙。


波の音だけが聞こえる。


やがて直島が口を開いた。


「頑張ってる」


九州は驚いた。


「え?」


「前より速い」


短い言葉。


だが嬉しかった。


憧れの先輩に認められる。


それだけで力が湧いてくる。


「ありがとうございます!」


直島は小さく頷く。


「無理しない」


それだけ言うと立ち上がった。


そして去っていく。


九州はその背中を見送った。


もっと強くなりたい。


もっと成長したい。


その気持ちは変わらない。


だが焦る必要もない。


少しずつ進めばいい。


直島の言葉が胸に残っていた。


夜。


食堂。


夕食の時間。


決勝進出者たちは自然と同じテーブルへ集まっていた。


対馬。


種子島。


奄美大島。


九州。


みんな明日に向けて話している。


「勝つぞ」


対馬が言う。


「負けない」


種子島も静かに答える。


九州も気合が入る。


すると。


突然。


西表島が現れた。


「応援するよ!」


「ありがとう」


「でも優勝したら海鮮パフェ!」


まだ言っていた。


みんな笑う。


平和な時間だった。


しかし。


その頃。


島海学園司令室。


緊急通信が届いていた。


観測網からの報告。


大型マリンモンスター群。


進路継続。


速度上昇。


そして。


超大型個体の反応増大。


司令官の表情が険しくなる。


「間に合わないかもしれんな……」


静かな呟き。


誰にも聞こえなかった。


その夜。


穏やかな海の下で。


巨大な脅威は確実に島海学園へ近付き続けていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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