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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第三十話 深夜の流星群観測会


ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。


水上レース予選から数日後。


平和な日常は相変わらず続いていた。


ある日の夕方。


授業が終わり、九州たちが教室で帰り支度をしていると、先生が何かの紙を持って入ってきた。


「連絡だ」


みんなが顔を上げる。


「今夜、流星群が見えるらしい」


教室が少しざわついた。


「流星群?」


九州が聞く。


先生は頷く。


「数年ぶりの規模らしい」


その瞬間。


西表島が机を叩いた。


「見たい!」


「まだ何も言ってないよ?」


九州が苦笑する。


だが教室のあちこちからも賛成の声が上がっていた。


「見たい!」


「面白そう!」


「久しぶりだね」


先生はため息を吐く。


どうやらこうなることを予想していたらしい。


「希望者だけだ」


「夜九時に屋上集合」


その一言で決定した。


夜。


島海学園屋上。


普段はあまり使われない場所だが、今日は多くの島娘が集まっていた。


九州。


西表島。


佐渡島。


淡路島。


対馬。


種子島。


奄美大島。


さらに他の島娘たちもいる。


海風が心地良い。


空には無数の星が輝いていた。


「綺麗……」


九州は思わず呟く。


海に囲まれた世界だからこそ、空もよく見える。


人工の灯りが少ない。


だから星が近く感じた。


「まだかなー?」


西表島は寝転がっていた。


落ちそうで怖い。


「落ちないでね」


九州が言う。


「大丈夫ー!」


全然大丈夫に見えなかった。


その時。


屋上の扉が開いた。


現れたのは沖縄本島だった。


「こんばんは」


「沖縄本島さん!」


どうやら遠征前の自由時間らしい。


その後ろから屋久島もやって来た。


静かな先輩たちだった。


そして。


最後に現れたのは直島だった。


相変わらず無表情。


しかし今日は訓練服ではなく私服だった。


少し新鮮である。


九州は少しだけ驚いた。


「直島先輩も来たんですね」


「うん」


短い返事。


だが以前より会話が増えていた。


みんなで夜空を見上げる。


穏やかな時間。


波の音だけが聞こえる。


やがて。


「あっ」


誰かが声を上げた。


空を一本の光が横切る。


流れ星だった。


続いて二本。


三本。


五本。


無数の光が夜空を流れていく。


「わぁぁぁ!」


歓声が上がった。


九州も思わず立ち上がる。


綺麗だった。


まるで空から光の雨が降っているようだった。


「すごい……」


佐渡島も見入っている。


種子島は静かに空を眺めていた。


奄美大島も珍しく感嘆の声を漏らしている。


その時。


西表島が目を閉じた。


「お願い事しなきゃ!」


「何お願いするの?」


淡路島が聞く。


西表島は元気よく答えた。


「毎日おやつが増えますように!」


みんな笑った。


「もっと他にあるでしょ」


九州が言う。


「大事だよ!」


真顔だった。


その後も流星群は続く。


九州は静かに夜空を見上げた。


願い事。


何を願うだろう。


少し考える。


そして。


もっと強くなれますように。


自然とそう願っていた。


いつか先輩たちのように。


誰かを守れる存在になりたい。


その想いは日に日に強くなっている。


ふと横を見る。


直島も空を見上げていた。


珍しく穏やかな表情だった。


「綺麗ですね」


九州が言う。


直島は少しだけ頷く。


「うん」


短い返事。


しかしそれだけで十分だった。


夜は更けていく。


流星群はしばらく続いた。


みんなでお菓子を食べたり。


話をしたり。


笑ったり。


久しぶりに何も考えない時間だった。


平和な夜。


穏やかな日常。


九州は改めて思う。


島海学園は大切な場所だ。


最初は知らない人ばかりだった。


不安もあった。


けれど今は違う。


仲間がいる。


先輩がいる。


守りたい居場所がある。


やがて解散時間になった。


島娘たちはそれぞれ寮へ戻っていく。


九州も佐渡島や西表島と一緒に屋上を後にした。


誰も気付かなかった。


その夜。


流星群が流れる空の下。


島海学園から遠く離れた海域で。


一隻の観測船との通信が突然途絶えたことを。


そして。


その海域で観測された最後の映像には。


黒い結晶に覆われた超大型マリンモンスターと、その周囲を埋め尽くすほどの大群が映っていたことを。


静かだった海は。


もうすぐ牙を剥こうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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