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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第二十九話 学園対抗水上レース



ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。


休日の水上商店街から数日後。


朝のホームルーム。


先生が教室へ入ってきた瞬間、何やら紙を机へ置いた。


「今日はお知らせがある」


みんなが先生を見る。


西表島はすでに机へ突っ伏していた。


「寝るな」


ぺしっ。


教科書で叩かれる。


「いたいー!」


教室に笑い声が広がった。


先生はため息を吐きながら紙を持ち上げる。


「今月末に学園対抗水上レースが開催される」


教室がざわついた。


「水上レース?」


九州が首を傾げる。


「海上都市連合主催の競技だ」


先生が説明を始める。


この世界には島海学園以外にも様々な教育施設や訓練拠点が存在している。


その交流行事のひとつが水上レースだった。


島娘だけでなく、ジェットシューズを装備した人間たちも参加するらしい。


「優勝校には大量の補給物資が支給される」


その瞬間。


西表島が復活した。


「出る!」


「単純だな」


先生が呆れる。


だが教室内の多くが興味を示していた。


島娘たちは海上移動が得意だ。


競技との相性も良い。


「参加希望者は放課後に訓練施設へ来い」


そうして授業は始まった。


放課後。


訓練施設。


予想以上に多くの島娘が集まっていた。


九州。


西表島。


佐渡島。


淡路島。


対馬。


奄美大島。


種子島。


さらには他の学年の島娘たちまでいる。


先生が腕を組む。


「まずは予選だ」


海上コースが設置されていた。


浮き輪で区切られた長いルート。


途中には障害物まである。


「難しそう……」


九州が呟く。


その時だった。


「おー!」


聞き慣れた声。


振り向く。


そこには沖縄本島がいた。


「沖縄本島さん!」


「久しぶり」


どうやら遠征から戻ったばかりらしい。


先生が説明する。


「今回は沖縄本島も参加する」


その瞬間。


周囲がざわついた。


かなり有名な先輩だからだ。


「優勝候補じゃん……」


淡路島が呟く。


誰も否定しなかった。


そして予選開始。


最初の組。


海面を蹴る。


バシャァッ!


島娘たちが一斉に飛び出した。


速い。


あっという間に遠ざかっていく。


九州は思わず見入った。


島娘によって走り方も違う。


真っ直ぐ進む者。


細かく加速する者。


波を利用する者。


見ていて面白い。


数組が終わり。


ついに九州たちの番が来た。


「が、頑張る!」


九州は緊張していた。


隣には西表島。


さらに佐渡島。


そして対馬までいる。


強敵ばかりだった。


「位置について!」


先生の声。


全員が構える。


「スタート!」


バシャァァァッ!!


海面が爆発したように水飛沫が上がる。


九州も全力で飛び出した。


速い。


風が顔を打つ。


海面が流れていく。


しかし。


対馬が速い。


ぐんぐん前へ進む。


西表島も意外と速かった。


「負けない!」


九州は加速する。


障害物を避ける。


浮きを飛び越える。


コーナーを曲がる。


必死だった。


そしてゴール。


結果は。


対馬。


九州。


西表島。


佐渡島。


その順番だった。


「やった!」


九州は思わず笑顔になる。


予選通過である。


「惜しかったー!」


西表島も悔しそうだが楽しそうだった。


予選は続く。


その中で圧倒的だったのが沖縄本島だった。


速い。


とにかく速い。


海を滑るというより飛んでいる。


誰も追い付けない。


「すごい……」


九州は見惚れていた。


その後。


決勝進出者が決定する。


沖縄本島。


対馬。


種子島。


奄美大島。


九州。


そして数名の上級生たち。


決勝は翌週となった。


その日はそこで解散。


九州たちは食堂へ向かった。


「疲れたー!」


西表島が机へ突っ伏す。


「頑張ったもんね」


九州が笑う。


「決勝行きたかった……」


「惜しかったね」


佐渡島が慰める。


するとその時。


食堂のテレビ画面が切り替わった。


ニュースだった。


海上都市連合放送。


普段は漁獲情報や天候情報が流れる。


だが今日は違った。


『各海域にて大型海洋生物の異常行動が確認されています』


食堂が少し静かになる。


『現在調査中ですが、航行中の船舶は注意してください』


画面には荒れる海が映っていた。


九州は何となく嫌な予感を覚える。


だが。


すぐにニュースは終わった。


「なんだろうね」


西表島が言う。


「さぁ……」


誰も詳しくは知らなかった。


夕方。


九州は寮へ戻る途中、海を見た。


夕焼けが広がっている。


美しい景色。


穏やかな波。


変わらない日常。


しかし。


その遥か沖合。


人の目が届かない深海では。


黒い結晶に覆われた超大型マリンモンスターが、ゆっくりと進路を変えていた。


その先にあるのは。


島海学園。


そして巨大な怪物の周囲には、これまでで最大規模となる群れが集まり始めていた。


静かに。


確実に。


大きな嵐が近付いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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