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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第二十八話 休日の水上商店街



ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点だ。


遠征報告会から数日後。


今日は珍しく授業がなかった。


島娘たちに与えられた休日である。


朝。


女子寮。


九州は窓から差し込む光で目を覚ました。


「んん……」


ゆっくり身体を起こす。


外を見ると青い海が広がっていた。


波も穏やかだ。


絶好の休日だった。


コンコン。


部屋の扉が叩かれる。


「九州ー!」


聞き慣れた声だった。


扉を開ける。


そこには西表島と佐渡島がいた。


「おはよう!」


「お、おはよう……」


九州も笑顔になる。


「どうしたの?」


すると西表島が嬉しそうに言った。


「今日は水上商店街へ行こう!」


「水上商店街?」


九州は首を傾げた。


名前は聞いたことがある。


島海学園近くにある海上都市の商業区画だ。


だが行ったことはない。


「行ってみたい!」


九州は即答した。


そして数十分後。


三人は海上を滑っていた。


島娘特有の移動能力。


海面を蹴るたびに水飛沫が舞う。


遠くには巨大な海上都市が見えてきた。


九州は目を輝かせる。


「大きい!」


文化祭の時にも来たが、じっくり見るのは初めてだった。


海上都市は巨大な浮体構造物の集合体でできている。


住宅区。


港湾区。


整備区。


そして商業区。


人々が忙しく行き交っていた。


「着いたよー!」


西表島が先頭を走る。


やがて三人は商店街へ到着した。


「わぁ……!」


九州は思わず声を上げる。


賑やかだった。


魚屋。


雑貨屋。


洋服屋。


工具店。


露店。


様々な店が並んでいる。


人も多い。


島娘の姿もちらほら見えた。


「すごいね……」


「楽しいよー!」


西表島はすでに走り出していた。


「あっ、待って!」


九州も慌てて追いかける。


最初に入ったのは雑貨屋だった。


貝殻を加工したアクセサリー。


海洋ガラス。


古い地図を使ったしおり。


可愛い小物がたくさん並んでいる。


「かわいい……」


九州が見入る。


その横では佐渡島も真剣だった。


「これ……綺麗」


青いガラス細工を手に取る。


光を受けて海のように輝いていた。


「似合いそう!」


九州が言う。


佐渡島は少し照れていた。


その後も三人は店を回る。


食べ歩きもした。


焼き魚串。


海藻まんじゅう。


魚介コロッケ。


西表島は相変わらずよく食べる。


「おいしいー!」


「何本目?」


九州が聞く。


「六本目!」


「食べすぎ!」


笑い声が響く。


するとその時だった。


「おや?」


後ろから声が聞こえた。


振り返る。


そこにいたのは沖縄本島だった。


「あっ!」


「久しぶりだね」


沖縄本島は笑う。


今日は私服姿だった。


遠征時とは少し雰囲気が違う。


「買い物ですか?」


九州が聞く。


「そうそう」


沖縄本島は袋を持ち上げる。


中には大量の保存食。


どうやら遠征準備らしい。


「また遠征?」


「明日からね」


その言葉に九州は少し憧れを抱く。


遠征。


まだ自分には遠い場所。


だがいつか行きたい。


そんな気持ちが強くなる。


「頑張ります!」


思わず言う。


沖縄本島は笑った。


「その調子」


そして別れた。


昼頃。


商店街中央広場。


多くの人で賑わっていた。


そこで何やらイベントが開かれている。


「何だろう?」


九州たちは近付く。


看板が見えた。


《巨大マグロ解体ショー》


「おぉー!」


西表島の目が輝く。


完全に食べ物目当てだった。


会場では巨大な魚が運び込まれている。


職人たちが手際よく解体していく。


見事な包丁さばき。


観客たちから拍手が起きる。


九州も思わず見入った。


その時。


「あれ?」


九州は人混みの中に見覚えのある顔を見つけた。


白髪。


無表情。


直島だった。


「直島先輩!」


声をかける。


直島はこちらを見る。


「九州」


少し驚いているようだった。


「直島先輩も休日ですか?」


「うん」


短い返事。


だが以前より話しやすい。


「買い物?」


九州が聞く。


直島は少し考えた。


そして袋を見せる。


中には大量の魚缶詰。


「非常食」


実に直島らしかった。


九州は思わず笑ってしまう。


午後。


さらに商店街を散策する。


古書店へ入ったり。


展望デッキへ行ったり。


休日を満喫した。


やがて夕方。


海がオレンジ色に染まり始める。


帰る時間だった。


「楽しかったー!」


西表島が両手を上げる。


「また来たいね」


九州も笑う。


佐渡島も頷いた。


「うん」


三人は海上を滑りながら学園へ帰る。


夕焼けの海はとても綺麗だった。


穏やかな風。


静かな波。


平和な時間。


九州は胸の中で思う。


こんな日々がずっと続けばいい。


だが。


その願いとは裏腹に。


その夜。


司令室では緊急会議が開かれていた。


巨大な海図の上。


複数の赤い光点。


大型マリンモンスター群。


さらに。


超大型マリンモンスターの反応。


司令官は険しい表情で報告書を見つめる。


「予想より早いな……」


誰にも聞こえない声。


窓の外では穏やかな海が広がっている。


しかしその海の遥か彼方で。


巨大な脅威は確実に島海学園へ近付いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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