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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第二十三話 島海交流祭の朝



ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために戦う海上拠点。


そして今日は――。


《島海交流祭》当日。


年に一度の特別な日だった。


朝。


まだ太陽が昇ったばかりだというのに、学園はすでに賑やかだった。


海上都市からの連絡船。


輸送艇。


ジェットシューズで訪れる来客たち。


普段は島娘たちが中心の学園も、今日はたくさんの人々で溢れている。


九州は教室の前で深呼吸した。


「よし……!」


緊張していた。


文化祭そのものが初めてなのだ。


展示室の入口には手作りの看板。


《ようこそ!海の博物館へ!》


西表島が描いた魚のイラストが大きく貼られている。


少し変な顔だった。


「なんか魚というより猫じゃない?」


九州が言う。


「芸術だよ!」


西表島が胸を張った。


「そうかなぁ……」


佐渡島が苦笑する。


その時。


廊下から歓声が聞こえた。


「わぁ!」


「すごーい!」


どうやら来場者が来たらしい。


九州たちは急いで持ち場につく。


開場。


次々と人が入ってくる。


子供たち。


家族連れ。


整備士。


船員。


海上都市の住民たち。


みんな興味深そうに展示を見ていた。


「これ本物?」


「綺麗な貝殻!」


「昔の地図だ!」


反応は上々だった。


九州も説明役として頑張る。


「こちらは沈没前の航路図です!」


「へぇー!」


「こっちは島海学園周辺で見つかった漂着物です!」


来場者たちは真剣に話を聞いてくれる。


それが嬉しかった。


すると。


「すみません」


小さな女の子が近付いてきた。


「はい?」


「この貝殻、なんて名前なの?」


九州は少し考える。


だが分からない。


困っていると。


後ろから声がした。


「サクラガイ」


振り返る。


屋久島だった。


「薄くて割れやすい」


「わぁ!」


女の子が目を輝かせる。


屋久島は少し照れながら説明を続けた。


どうやら海洋知識がかなり豊富らしい。


九州は尊敬の目で見ていた。


午前中は大盛況だった。


特に人気だったのは大型水槽。


色鮮やかな魚たちが泳いでいる。


子供たちはずっと張り付いていた。


「お魚だー!」


「かわいい!」


九州も嬉しくなる。


頑張って準備した甲斐があった。


その頃。


別の場所では西表島が大騒ぎしていた。


「こっちだよー!」


展示案内係らしい。


しかし。


なぜか途中から追いかけっこになっている。


「待てー!」


「捕まえてみろー!」


子供たちと一緒に走り回っていた。


案内係とは。


遠くから見ていた先生が頭を抱える。


「何やってるんだあいつは……」


昼頃。


九州たちは交代で休憩を取ることになった。


食堂も今日は特別仕様である。


屋台風メニュー。


焼き魚串。


海藻おにぎり。


魚介スープ。


文化祭らしい雰囲気だった。


「おいしい!」


九州が笑顔になる。


西表島はすでに三本目の魚串を食べていた。


「最高ー!」


「食べすぎじゃない?」


「まだいける!」


佐渡島が呆れている。


そんな時だった。


「やぁ」


聞き慣れない声。


振り返る。


そこには長身の少女が立っていた。


腰まである黒髪。


落ち着いた雰囲気。


「初めましてかな」


少女は微笑む。


「私は種子島」


九州が目を丸くする。


また新しい島娘だった。


「九州です!」


「話は聞いてるよ」


種子島は穏やかに笑う。


どうやら遠征続きで学園にいなかったらしい。


「文化祭どう?」


「楽しいです!」


九州が答える。


種子島は頷いた。


「それは良かった」


優しい先輩だった。


午後。


来場者はさらに増えた。


教室は大忙しになる。


説明。


案内。


展示管理。


休む暇もない。


だが九州は楽しかった。


誰かに喜んでもらえる。


それが嬉しい。


夕方。


閉会時間が近付いてくる。


来場者も少しずつ減っていた。


「終わっちゃうね」


九州が少し寂しそうに言う。


「だねー」


西表島も頷く。


その時。


入口から一人の少女が入ってきた。


白髪。


無表情。


直島だった。


「あ」


九州が気付く。


直島は展示室をゆっくり見て回る。


海図。


漂着物。


貝殻。


説明文。


最後に大型水槽の前で立ち止まった。


数秒。


静かに眺める。


そして。


九州の方を見る。


「良かった」


短い言葉。


それだけだった。


だが。


九州は嬉しかった。


「ありがとうございます!」


満面の笑顔になる。


直島は少しだけ口元を緩めた。


本当に少しだけ。


夕日が差し込む。


文化祭は成功だった。


みんなの頑張りが形になった一日。


島海学園は笑顔に包まれていた。


だが。


その夜。


学園から遠く離れた海域。


深海。


黒い結晶に覆われた超大型マリンモンスターが、ゆっくりと海面へ向かって浮上を始めていた。


その周囲には数え切れないほどのマリンモンスターたち。


まるで王を迎える軍勢のように。


静かに。


確実に。


脅威は島海学園へ近付いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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