表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/46

第二十話 島海学園文化祭準備会議



ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らし、人々を守るために学ぶ海上拠点。


今日も海は穏やかだった。


青空の下、学園の水路には朝日が反射してきらきらと輝いている。


九州は教室へ向かいながら大きく伸びをした。


「今日もいい天気だなぁ」


ここへ来たばかりの頃は緊張していた。


けれど最近は違う。


西表島や佐渡島、淡路島とも仲良くなった。


直島とも少しだけ話せるようになった。


島海学園が少しずつ自分の居場所になっている気がする。


そんなことを考えながら教室へ入ると。


なぜかみんながざわざわしていた。


「どうしたの?」


九州が席へ着きながら聞く。


すると西表島が勢いよく振り向いた。


「九州ちゃん聞いた!?」


「何を?」


「文化祭!」


「文化祭?」


九州は目を丸くした。


島海学園で文化祭。


あまり結びつかない言葉だった。


その時、先生が教室へ入ってくる。


ガラッ。


「静かにしろー」


教室が落ち着く。


先生は資料を机へ置いた。


「毎年恒例の島海学園交流祭を来月開催する」


その瞬間。


教室が歓声に包まれた。


「やったー!」


「今年もか!」


「楽しみ!」


九州は少し驚く。


どうやら本当にあるらしい。


先生は説明を続ける。


「海上都市との交流を目的とした行事だ」


「一般市民も来る」


「各クラスで出し物を決めろ」


九州の目が輝いた。


普通の学校みたいだ。


少しわくわくする。


授業が終わると同時に会議が始まった。


「何やる!?」


「喫茶店!」


「展示!」


「屋台!」


意見が飛び交う。


西表島は元気よく手を上げた。


「お化け屋敷!」


「なんで!?」


九州が即座に突っ込む。


「面白そうだから!」


「絶対騒ぐだけだよね!?」


「ばれた!」


佐渡島が小さく笑った。


その後も色々な案が出る。


だがなかなか決まらない。


すると教室後方から声が上がった。


「水族館は?」


みんなが振り返る。


発言したのは屋久島だった。


長い黒髪の落ち着いた少女である。


遠征任務が多く教室にいることが少ない先輩だった。


「水族館?」


九州が聞き返す。


屋久島は頷く。


「島海学園らしい」


確かに。


海の学園らしい案だった。


「おぉー!」


「いいかも!」


教室の空気が変わる。


「じゃあ展示用の魚集める?」


「水槽作る?」


「海洋生物解説も置こう!」


どんどん話が進む。


西表島が少し不満そうだった。


「お化け屋敷……」


「諦めて」


九州が笑う。


結局。


出し物は《小さな海の博物館》に決定した。


放課後。


早速準備が始まる。


九州たちは倉庫へ向かっていた。


展示に使えそうな物を探すためだ。


「なんか宝探しみたい!」


西表島が楽しそうに言う。


「本当にありそうだよね」


九州も周囲を見回す。


島海学園は元々廃校だった建物だ。


古い物もたくさん残っている。


倉庫の中には昔の机や椅子。


使われなくなった航海機器。


古びた地図。


色々な物が置かれていた。


「あっ」


佐渡島が何かを見つける。


木箱だった。


開けてみる。


中には大量の貝殻。


しかも色とりどりだった。


「綺麗……」


九州が目を輝かせる。


「展示できそう」


「うん……」


さらに探索を続ける。


西表島はなぜか古いヘルメットを発見していた。


「見て見てー!」


頭へ被る。


だがサイズが合わない。


ずるっと前へ落ちて顔が見えなくなる。


「前見えない!」


「何してるの……」


みんなが笑った。


そんな時。


倉庫の入口が開く。


振り返ると直島だった。


「何してるの」


「文化祭準備です!」


九州が答える。


直島は少し周囲を見る。


そして棚の上を指差した。


「あそこ」


「?」


九州たちが見る。


高い棚の奥に大きな木箱があった。


西表島が登って回収する。


開けてみると。


中には古い海図が大量に入っていた。


「すごい!」


「昔の地図だ!」


どうやら沈没前の世界地図らしい。


貴重な資料だった。


九州は目を輝かせる。


「展示にぴったりだね!」


直島は小さく頷いた。


「役立つならよかった」


それだけ言うと帰ろうとする。


だが。


「直島先輩!」


九州が呼び止めた。


直島が振り返る。


「文化祭、来ますか?」


少し沈黙。


そして。


「多分」


短い返事。


だけど。


ほんの少しだけ口元が緩んでいた。


夕方。


準備を終えた九州たちは外周デッキへ出た。


夕焼けが海を赤く染めている。


潮風が気持ちいい。


「文化祭楽しみだね」


九州が言う。


「うん!」


「楽しみ……」


三人は笑い合った。


戦いばかりじゃない。


こういう特別な行事もある。


島海学園の日常は今日も続いていく。


だがその頃。


誰もいない司令室では、一通の緊急報告書が端末へ送られていた。


《北方海域にて未知の大型反応を複数確認》


《マリンモンスター活動活発化の兆候あり》


その警告に気付く者は、まだ誰もいなかった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ