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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第一話 潮風の転入生



ここは太平洋に存在する海上学園――《島海学園》。


世界各地の海を漂う船舶や海上都市から見れば、この場所は希望の象徴だった。


マリンモンスターと戦う少女たち、《島娘》。


その拠点こそが、この半水没学園である。


白い波が揺れる海面。


その中央に、巨大な校舎がそびえていた。


錆びた外壁。


海風に揺れる旗。


海水に浸かってなお崩れない巨大な建築。


海上に浮かぶ要塞のようなその姿を見上げ、一人の少女は目を輝かせていた。


「......ここが、島海学園......うん!行こう!」


少女は海上ゲートをくぐる。


その足元では、水が盛り上がるように流れを作り、少女の身体を滑らせる。


水面を走る。


それは島娘だけが持つ力。


少女の名は九州。


今日からこの島海学園へ配属される新人島娘だった。


「私は九州、今日からここに配属された島娘だ」


九州は胸元をぎゅっと握る。


緊張していた。


だが、それ以上に期待が大きかった。


「お姉ちゃんたちはもう活躍してるし、頑張らないと」


海風が髪を揺らす。


九州はそのまま海面を滑走し、学園へと近づいていく。


すると、その全貌が見えてきた。


「わぁ〜............半分沈んでるけど、おっきぃ〜!」


思わず声が漏れる。


島海学園は、まるで海そのものと融合していた。


一階部分は完全に海へ開放されており、波がそのまま校舎内へ流れ込んでいる。


巨大なゲートからは整備艇や輸送船が出入りし、海中には補強フレームが何本も沈んでいるのが見えた。


二階以上には透明な水路廊下が張り巡らされている。


床を一段低くして水を流し込み、島娘が高速移動できるよう改装されているのだ。


校舎の各所では島娘たちが水面を滑るように移動していた。


人間の整備士や職員たちはジェットシューズを装着し、水上を軽やかに移動している。


海上都市としても機能しているため、周囲には商店船や補給艦も多い。


活気があった。


世界が沈んだ後とは思えないほどに。


「すごいなぁ......」


九州はゆっくりと正門前へ降り立つ。


その瞬間、水流がふわりと消えた。


彼女は一歩踏み出す。


校舎の中へ。


するとすぐ、潮風の匂いが身体を包んだ。


天井から吊るされた古い案内板。


壁に残る校訓。


波音が響く廊下。


水面に反射する陽光。


普通の学校とはまるで違う。


なのに、どこか懐かしい場所だった。


「まずは......配属手続き、だよね」


九州は案内図を見つめる。


そこには《校長室・司令室》の文字。


「三階......かぁ」


彼女は水路へ足を入れた。


瞬間。


足元の水が渦を巻く。


島娘特有の潮流操作。


九州の身体はそのまま前方へ滑り出した。


「わっ――!?」


想像以上の速度に声が漏れる。


水しぶきが舞う。


廊下を駆け抜ける感覚。


窓の外には青い海。


他の島娘たちが高速で横切っていく。


「きゃっ!?」


横から通り過ぎた島娘の波で九州が少しふらつく。


「あ、ご、ごめんねー!」


遠くから謝罪が飛んできた。


「す、すごい......!」


ここではこれが日常なのだ。


九州は目を輝かせながら進む。


やがて三階へ到着すると、水路の流れは穏やかになった。


三階は比較的乾燥している。


それでも床には薄く水が流れ、潮の香りが漂っていた。


廊下を進んだ先。


《司令室》と書かれたプレート。


九州は深呼吸する。


「よしっ......!」


コンコン。


扉をノックする。


「失礼します!」


すると中から低い男性の声が聞こえた。


「入ってくれ」


九州は扉を開ける。


そこは古い校長室を改装した司令室だった。


巨大な海図。


レーダー。


無線機。


そして窓の向こうに広がる青い海。


中央には白髪混じりの男性が座っていた。


島海学園司令官。


人類側の現場責任者である。


「君が新しい配属の島娘か」


「は、はい!九州です!」


九州は勢いよく頭を下げた。


「本日付で島海学園へ配属されました!」


司令官は少し笑う。


「元気がいいな」


「えへへ......」


「緊張してるか?」


「ちょっとだけ......です」


「まあ、最初は皆そうだ」


司令官は書類へ目を通す。


「九州型島娘、近海制圧向き、高出力潮流適性あり......なるほど」


九州は姿勢を正した。


「よろしくお願いします!」


「こちらこそ歓迎する。この学園では島娘も人間も家族みたいなものだ。困ったことがあれば遠慮なく言え」


「はい!」


その時だった。


コンコン。


再び扉がノックされる。


「失礼します。司令官......おや、司令官、新人かい?」


入ってきたのは、一人の少女だった。


長い髪。


その毛先は床の水面へ触れ、さらさらと砂のように崩れ落ち、水へ溶けている。


まるで浜辺そのものが人の姿になったような、不思議な少女。


司令官が軽く手を上げる。


「あぁ、イリナ、遠征は終わったの?」


「あぁ、終わったとも」


少女は静かに笑った。


九州は慌てて頭を下げる。


「こ、こんにちは!私、九州です!」


少女はゆっくりと九州を見る。


その瞳は海辺の夕暮れみたいに穏やかだった。


「あぁ、私は入砂島、よろしくね」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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