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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第十六話 雨の日の島海学園



ここは《島海学園》。


海に沈んだ世界で、島娘たちが暮らす海上拠点。


今日の海は珍しく荒れていた。


朝から厚い雲が空を覆い、冷たい雨が降り続いている。


ザーッ――。


雨粒が海面を叩く音が校舎中に響いていた。


九州は窓際の席に座りながら外を見ている。


「すごい雨……」


普段なら青い海が見える窓の外も、今日は灰色だった。


遠くの景色は雨でぼやけている。


西表島は机へ突っ伏していた。


「雨の日は眠い〜……」


「イリエちゃん、まだ一時間目始まってないよぅ……」


佐渡島が困ったように言う。


「だってぇ〜……」


猫の仮面を机へ置きながらごろごろしている。


九州は思わず笑ってしまった。


その時。


ガラッ。


教室の扉が開く。


先生だった。


「今日は海況悪化により実技授業を中止する」


教室から歓声が上がる。


「やったー!」


「助かったー!」


「雨の日の訓練嫌だったんだよね」


先生は軽くため息をついた。


「その代わり自習課題を増やす」


教室が静かになった。


「えぇぇぇぇ!?」


悲鳴が響く。


九州も少し苦笑した。


結局そうなるらしい。


午前中は座学になった。


海流理論。


マリンモンスター生態学。


航路計算。


九州は真面目にノートを取っていた。


だが。


「うぅ……」


難しい。


特に航路計算が苦手だった。


数字がいっぱい並んでいる。


すると隣から紙が滑ってくる。


『ここはこうだよ』


綺麗な字。


九州が顔を上げる。


直島だった。


「!」


九州は驚く。


直島は前を向いたまま。


特に何も言わない。


だが説明図は非常にわかりやすかった。


「ありがとうございます……!」


小声で言う。


直島は小さく頷くだけだった。


西表島がそれを見ていた。


「おぉ〜」


「?」


「なんでもない〜」


にやにやしている。


九州はなんだか恥ずかしくなった。


昼休み。


外へ出られないため食堂はいつも以上に賑やかだった。


窓の外では雨が降り続いている。


ザーッ。


ザーッ。


波も少し高い。


「今日は人多いね」


九州が言う。


「みんな外行けないからね〜」


西表島がパンを頬張る。


佐渡島は温かいスープを飲んでいた。


「雨の日の食堂、私は好き……」


「なんで?」


「なんか落ち着くから……」


確かにそうかもしれない。


雨音。


食器の音。


誰かの笑い声。


どこか穏やかな空気だった。


その時。


食堂の隅から歓声が上がる。


「勝ったー!」


「うわぁまた負けた!」


どうやら島娘たちが遊んでいるらしい。


西表島の目が輝いた。


「あっ!」


嫌な予感。


「九州ちゃん行こう!」


「えっ」


「ゲーム大会やってる!」


案の定だった。


数分後。


九州たちは食堂の空きスペースにいた。


机を囲んで島娘たちが集まっている。


遊んでいるのはカードゲームだった。


「ルールわかる?」


「たぶん!」


九州は少し不安だった。


だが。


十分後。


「勝ったぁ!」


九州が思わず立ち上がる。


「えぇっ!?」


周囲が驚く。


初参加なのに勝ってしまった。


「すごい!」


「新人なのに!」


西表島が机へ突っ伏した。


「負けた〜!」


「イリエちゃん弱い……」


佐渡島がぽつりと言う。


「ひどい!」


周囲から笑いが起きる。


九州も笑った。


こういう時間も楽しい。


戦いだけじゃない。


学園生活もある。


それが島海学園だった。


午後。


雨はさらに強くなった。


授業終了後。


九州は一人で廊下を歩いていた。


窓の外を眺めながら。


雨の海。


灰色の空。


どこか幻想的だった。


その時。


前方に人影が見えた。


直島だった。


窓際に立ち、海を見ている。


九州は少し迷う。


話しかけるべきか。


やめるべきか。


すると。


「九州」


先に呼ばれた。


「はい!?」


慌てて返事する。


直島は外を見たまま言う。


「最近、上達した」


「え?」


「水上機動」


九州は目を丸くした。


褒められた。


直島先輩に。


「ほ、本当ですか!?」


「うん」


短い言葉。


だけど。


九州は嬉しかった。


ものすごく。


「ありがとうございます!」


直島は少しだけ口元を緩めた。


「努力してるから」


それだけ言うと歩いて行ってしまう。


九州はしばらくその場に立っていた。


胸がぽかぽかする。


もっと頑張ろう。


もっと強くなろう。


そんな気持ちになる。


その頃。


深い海の底。


光の届かない闇の中。


巨大な影がゆっくりと動いていた。


以前、直島に致命傷を与えられた超大型マリンモンスター。


その裂けた傷口から黒い光が漏れている。


そして。


その周囲には。


新たな赤い目がいくつも開き始めていた。


まるで何かに呼び寄せられるように。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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