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島娘!!〜波間を駆ける少女たち〜  作者: れんP


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第十一話 迫る深海の影



ここは《島海学園》。


海へ沈んだ世界で、人類と島娘たちが生きる最後の海上拠点。


だが今、その平穏は大きく揺らごうとしていた。


ザァァァァッ――!!


九州たちは海面を全力で滑走していた。


背後では巨大な波が何度も立ち上がる。


超大型マリンモンスター。


それが動くだけで海そのものが暴れていた。


「速く!!」


先生の声が飛ぶ。


九州は必死だった。


潮流を操作し、水面を滑る。


息が苦しい。


心臓が痛いほど鳴っている。


後ろを振り返りそうになる。


だが怖くて見られなかった。


西表島が隣を走る。


「九州ちゃん大丈夫!?」


「だ、大丈夫……!」


本当は全然大丈夫じゃない。


あんな怪物、見たことがない。


直島やイリナたちがいても不安だった。


その時。


ゴォォォォッ!!


背後から巨大な水圧が押し寄せる。


「きゃっ!?」


九州の身体が大きく揺れた。


超大型が動いたのだ。


それだけで海流が変わる。


先生が即座に叫ぶ。


「姿勢維持!!流されるな!!」


島娘たちが一斉に潮流を安定させる。


だが新人たちは苦戦していた。


九州も必死に耐える。


すると隣から水流が流れ込んできた。


「落ち着いて」


低い声。


直島だった。


いつの間にか九州の横へ来ている。


「直島先輩……!」


直島は九州の周囲へ潮流を流し込む。


すると乱れていた水流が安定した。


「わっ……!」


身体が軽くなる。


「海に逆らわない」


直島は前を見たまま言う。


「流れを切るんじゃない。合わせる」


「は、はい!」


九州は必死に感覚を合わせる。


すると少しずつ姿勢が安定した。


「できた……!」


直島は小さく頷く。


それだけだった。


だが九州は少し嬉しくなった。


その時。


ドォォォォンッ!!!


後方で巨大な水柱が上がる。


イリナが叫ぶ。


「来るよ!!」


超大型の触手のような器官が海中から伸びていた。


巨大。


まるでビル。


それが海面を薙ぎ払う。


「散開!!」


島娘たちが一斉に左右へ跳ぶ。


ズガァァァン!!


海面が爆発した。


水柱が何十メートルも吹き上がる。


九州は必死に避ける。


「ひゃあっ!?」


「九州ちゃんこっち!!」


西表島が手を引く。


ギリギリで回避。


だが波が激しい。


佐渡島が苦しそうに息を切らす。


「はぁ……はぁ……」


さっきの金変成能力でかなり消耗している。


イリナが後方へ振り返った。


「直島」


「……うん」


二人の空気が変わる。


直島が大剣へ手をかけた。


「少し止める」


九州が目を見開く。


「えっ!?」


「先輩!?」


西表島も驚く。


だが直島は止まらない。


そのまま反転。


超大型へ向かって加速した。


バシュゥゥゥッ!!


白い波が一直線に伸びる。


速い。


やはり圧倒的だった。


イリナも続く。


「君たちは先に戻りな!」


「で、でも……!」


「早く!!」


先生も叫ぶ。


九州たちは止まれなかった。


後ろ髪を引かれながら、それでも島海学園へ向かう。


その背後。


ドォォォォォン!!!


巨大な衝撃音。


直島の斬撃が海を割った。


さらにイリナの潮流砲撃。


海面が爆発する。


超大型が咆哮する。


「ギシャァァァァァァァ!!!」


空気が震えた。


九州は思わず振り返る。


夕暮れの海。


巨大怪物。


それへ立ち向かう二人の先輩島娘。


その光景は、まるで神話みたいだった。


やがて前方に島海学園が見えてくる。


巨大な海上要塞。


水門が開き、迎撃態勢へ移行していた。


警報が鳴り響く。


《全戦闘員待機》


《外周警戒態勢へ移行》


《超大型反応接近中》


島海学園全体が慌ただしく動いている。


補給ドローン。


武装搬送機。


整備班。


次々と人が動いていた。


九州たちは水門内部へ滑り込む。


「戻りました!!」


先生が即座に報告へ向かう。


島娘たちも疲れた様子で息を整える。


九州はその場へ座り込みそうになる。


「はぁ……」


怖かった。


本当に。


手がまだ震えている。


西表島も珍しく真顔だった。


「……あんなの初めて見た」


佐渡島は静かに俯いている。


すると水門付近がざわついた。


「帰ってきた!」


九州が顔を上げる。


そこには海面を滑って戻ってくる二人の姿。


直島。


そしてイリナ。


二人とも無事だった。


九州がほっと息を吐く。


「よかった……!」


直島は静かに大剣を下ろす。


だが表情は険しいままだった。


司令官も急いで現れる。


「状況は」


イリナが珍しく真剣な声で答えた。


「あれは危険だねぇ」


「討伐可能か?」


少し沈黙。


そして直島が短く言った。


「……今の戦力じゃ無理」


その場の空気が凍った。


九州の背筋が冷える。


直島ほど強い島娘が、無理と言った。


つまりそれほどの怪物なのだ。


司令官の顔も険しくなる。


「総員、第一級警戒態勢へ移行する」


警報音が再び鳴り響く。


《島海学園 第一級警戒態勢》


《全島娘、待機命令》


海が荒れていた。


遠くの水平線。


夕闇の向こう。


そこにはまだ、“超大型”が存在している。


まるでこちらを見ているように。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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