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フェアリーワールド  作者: 志木遊葉
第1章 妖精使い達の世界
6/7

実戦

マックを出た俺は実樹と家に帰った。慎は俺たちとは家が逆の方向なのでそこで別れたが俺が一條と話している間に実樹と仲良くなったらしくかなり上機嫌だった。

帰る途中は特に何もなく、普通に帰った。

「それじゃあ、また明日。」

「ああ、じゃあな。」

俺の部屋があるアパートの前で俺は実樹とも別れた。

その後、部屋に入り、暇なので携帯電話をいじろうとしたら1つ着信がきていた。なぜ気づかなかったのだろうか?そう思いながら俺に電話をかけてきたのが誰なのかを調べる。そこには「音無由紀」という名前が表示されていた。

「急な用事じゃないといいんだがな・・・」

そう思いながら俺は由紀さんに電話をかける。由紀さんはかなり早く電話に出た。

「あ、もしもし、はやてです。」

「あ、はやて君?どうしたの?電話に出ないなんて?襲われてたりしてないよね?」

「大丈夫ですよ。それより何ですか?」

「まだ戦い方とか教えてないから教えようかな〜って思ったんだけど今日って暇かな?」

「はい。特に予定は無いですよ。」

「それじゃあ、本部に来てね。」

「わかりました。」

電話を切ったあと俺はすぐに部屋を出た。そこから15分程度歩いて本部に向かう。外はかなり暗くなってきた。少し寒い感じもする。もう春も終盤になってきたというのに今日はやけに寒いような気がする。

本部についた俺はインターホンを鳴らす。するとと中から由紀さんが出てきた。

「結構はやいね。さぁ入った入った」

由紀さんは俺を手招きして部屋に入った。そこには零斗さんと蒼井がいた。蒼井はテレビで音楽関係のテレビ番組を見ている。

零斗さんは机に置いてあるPCをいじっていた。

「ようやく来たか」

零斗さんがPCの作業を中断して俺のほうを向いてきた。

「もう出来たんですか?」

「当たり前だ」

由紀さんの問いに零斗さんは即答する。何が出来たのかは俺にはわからないが・・・

「さて、さっそくだけどはやて君、その椅子に座って」

「わかりました」

俺は指示されるままに動く。昨日のように何かされるような気もしたが俺は特に警戒しなかった。

昨日と同じく由紀さんは俺にヘッドホンのような物を差し出してきた。俺はそれを受け取り、すぐにつける。なぜかわからないが由紀さんが俺がつけているのと同じようなヘッドホンをつけている。

「よし、それじゃあそこのパソコンのSTARTってところをクリックして」

「わかりました」

俺は目の前にあるPCのSTARTをクリックした。そのPCの画面にはシミレーションとか書いてあったがこれはなんなのだろう。

と、その時俺の視界が真っ白になった。

「瞬間移動だと・・・」

俺はそう推測した。さっきまでいたところとは全く違うのだ。あたり一面が真っ白な何も無いという殺風景な場所に俺は瞬間移動したのだと思った。

だが・・・

「全然違うよ。これはただ意識を全てPC画面の中に集中させてるだけだよ」

何もなかった場所に由紀さんがいつのまにか立っていた。

「そんなことできるんですか。じゃあこのプログラムは何なんですか?」

「シミレーションゲーム。といってもかなり実戦に近いタイプだから慣れないうちはかなり恐いと思うよ」

「はぁ。つまり今ここで俺は由紀さんとゲームをプレイするということですね」

由紀さんは俺の問いに対して頷いた。

「で、操作の仕方とかはどうすればいいんですか?」

「さっきも言ったけど、このゲームはかなり実戦に近いから操作方法は実戦と同じだよ。だから、戦い方を覚えるのには最適なんだよ」

戦い方、これについては昨日説明を受けた。妖精の力を使うにはそれを頭の中で想像(イメージ)することが大切らしい。また、妖精との関係も大切らしい。妖精使いという人間は体の約25%を妖精に預けているという。つまり妖精使いは体の25%を完全に妖精にあたえているのだ。これは妖精と人間の世界との唯一の接点だ。

「さて、さっそく始めようか」

「わかりました」

由紀さんは少し伸びをすると何かを言い始めた。

「大地を司る妖精よ。汝の力をここに放て!」

由紀さんが唱えたのは五大元素系特有のものだ。五大元素系の妖精の力を使うにはこのように詠唱しなければならない。ちなみに由紀さんは「地」を司る妖精を宿している

「じゃあ、いくよ」

地面が強く揺れる。俺は必死にバランスを崩さないように耐えるが揺れが激しすぎたせいで俺はバランス崩した。由紀さんはそこを見逃さず、俺との距離をほぼゼロ距離にしていた。

「さすがにまだ戦うのは難しいか」

そういいながらも由紀さんは俺の腹にグーで握った拳をぶつけてきた。その瞬間俺の体は後ろへと吹っ飛ぶ。

俺は壁にぶつかった。だが痛みは特に感じない。ゲームだからなのだろう。

「まだやれるかな?」

「やれますよ」

「恐くないの?」

「まぁ少しは恐いですけど、大丈夫ですよ」

「そう。じゃあいかせてもらうよ」

俺はとりあえず構える。

「大地を司る妖精よ、汝の力をここに放て!」

地面が揺れる。だが俺はこの瞬間に空中へ飛ぶ。そしてここで想像(イメージ)する。リアの力を。俺が想像(イメージ)した瞬間俺の手が蒼く光るそしてその光は由紀さんのところへとかなりのスピードで直進して行く。

それに対して由紀さんは

「大地よ、我の盾となれ!」

由紀さんがそう言うと地面から3メートルくらいの山が瞬時に作られる。その山に俺が放った光が直撃する。光は山にめり込んだ。そして山を貫通させたが勢いがほとんど山に吸収されたため由紀さんには楽によけられてしまった。

「空中なら地震は意味ないということね」

「そうですね、それが地を司る妖精の欠点と予想しました」

「あなたは戦闘に向いているわね」

「これで・・終わりですか?」

「まだやりたいの?」

「はい」

「そう、じゃあ続けようか」

由紀さんは一度深呼吸する。そして

「大地を司る妖精よ、汝の力をここに放て!」

地震が起きる。ここまではさっきと全く同じだ。なので俺はさっきと同じく飛んだ。だがここで由紀さんはさっきとは違う行動にでた。

「大地よ、刃となれ!」

由紀さんがそう言うと今回は俺の真下から山が出てきた。その山が俺に直撃する。俺の体は山の勢いで高くまで飛ぶ。

このゲームの中では痛みは感じない。だがこの高さだとさすがに恐怖を感じる。

俺はそのまま落下する。そして地面に激突する。

「さすがに今のは恐かったんじゃない?」

由紀さんが俺の方へ歩みよってくる。

「そろそろ疲れたからやめようかな」

「そうですね。さすがに疲れました」

「それじゃあ、やめるよ。フィニッシュ!」

どうやらこのゲームの終了の仕方は今のように「フィニッシュ」と言わなくてはならないらしい。

由紀さんがそれを言うと、真っ白だった世界から一瞬にして色のある世界に戻る。

ゲームを始める前とほとんど同じ風景だ。

「結構長かったけど、はやてはこういうの好きなの?」

「いや、好きではないな。だけどできるだけはやく慣れといたほうがいいと思ったから長めにやってもらった」

「意外とまじめに考えてるんだね」

「1回襲われたからな」

蒼井となんとなく会話しているとテーブルに置いてあった黒い携帯電話が鳴った。その携帯電話が誰のものかわからない。だが零斗さんがその着信に応じたのでおそらく零斗さんのものだろう。

零斗さんはその電話の相手と2分程度話すと俺たちのほうを向いて話しかけてきた。

「妖精使いが出たらしい。蒼い鳥(ブルーバード)はこの妖精使いを対処する。今回は蒼井とはやてに対処してもらう」

「その妖精使いはどういうタイプの妖精使いですか?」

「爆発系だ。そして妖精使いは複数ではないらしい」

複数ではない。つまり1人ということだろう。1人に対して2人で戦うというのはかなりいい対処法だと思える。

「はやては後ろで蒼井の援護をしていろ。さすがにまだ前で戦わせるのは危険だからな」

「わかりました」

「それじゃあ現場に向かってくれ」

俺と蒼井はそう言われてすぐに玄関へ向かった。その時に由紀さんから無線機を受け取った。その無線機にはイヤホンのようなものがついていた。俺はそれを着けて本部を出た。


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