実力
俺と蒼井は人が多い場所へきた。本当にこんなところに妖精使いがいるのだろうか。そんな疑問はあったが指示通りに俺たちは動く。
少し歩くと人が少ない裏路地に着いた。ここなら妖精使いがいる可能性はあるがそれでもこんな場所で爆発を起こしたら周りの人に気づかれるはずだ。
「いるんでしょう、妖精使い」
蒼井が突然話出した。敵に気付いたのだろうか。
「気配は消してたはずなんだけどな。さすが蒼い鳥コードナンバー003」
俺たちの死角から男が一人出てきた。俺たちと同じくらいの歳だろう。
「妖精の腕の人かしら?」
「その呼び方、辞めてもらえるかな。嫌いなんだよねその組織名」
「私は悪くないと思うけどね。人間の一部が妖精、じゃなくて妖精の一部が人間っていう意味だっけ」
そういえば組織名の由来は聞いたことがなかった。そんなこと考えもしなかった。
「で、目的は何なの?」
「教えると思うか?」
「まぁ、そうなるよね」
男の表情が変わった。あれは本気の顔だ。
攻撃がくる!そう思った。
「はやて、少しひいて、前は私の仕事」
「わかった」
俺は5歩くらい後退する。代わりに蒼井は前進する。
「俺は妖精の腕コードナンバー013横山恭だ」
横山と名乗った男はそういうといきなり手を光らせてきた。その直後蒼井がいる場所に爆発が起きた。
周りが騒がしい。爆発音が外に漏れたのだろう。
「はやめに決めるよ、はやて」
「わかってる」
蒼井は後ろに下がって爆発を回避していた。そこで
「はやて君、蒼井ちゃん聞こえる?」
「聞こえます」
「大丈夫です」
由紀さんが無線機を通して話しかけてきた。
「外のほうはばっちり誘導してる。派手にやっても大丈夫だよ」
「わかりました」
蒼井はそういうと敵の横山のほうを一瞬見て、すぐさま距離を縮めに行った。由紀さんと同じような動きだ。
そして敵との距離が1mくらいになった途端蒼井は手を光らせた。
「残念だけどここで終わりだよ」
「それはどうかな」
横山はそういうと上に飛んだ。かなりのジャンプ力だ。男が飛んだあとすぐさま爆発が起きた。男はその爆風を利用してかなり高くまで飛ぶ。数字にすると5mくらいも飛んでいる。
「はやて、打ちなさい!」
蒼井にそう言われ俺は横山に狙いを定め蒼い光を放った。
「なんだよそれ!?」
横山はそういいながらも空中でわずかに体をそらす。そうすることによって大きなダメージを防ごうという作戦だろう。
横山の作戦どおり直撃は避けられ、大ダメージは与えられなかった。だがダメージは与えられた。
「蒼い光か・・・」
横山は空中に浮いたままつぶやくように言った。
その直後、横山はかなりの速度で落下してきた。重力のせいではない。意図的にだ。落下地点には蒼井がいる。勢いで倒すつもりだろう。
蒼井はそこから何歩か退く。それだけの行動で回避できるような動きだった。
だが横山は地上に下りる前に手を光らせた。爆発を起こすつもりだろう。至近距離からの発光によってすこし目が眩む。
刹那、爆発は蒼井に直撃した。だが横山の攻撃はそれだけではなかった。俺たちの目が眩んだところをついて蒼井に拳をぶつけてきた。蒼井は後ろに吹っ飛ぶ。
「蒼井!」
俺は半ば反射的に蒼井に近寄った。
「大丈夫か?」
俺は蒼井に問いかけるが返事がない。だが死んだわけではない。ちゃんと脈はある。気を失ってるのだろう。だが俺はそれによって横山への敵意が膨れ上がった。
「そんな怖い顔するなよ。そいつが油断しただけだろうが」
「うるせぇよ」
「面白そうだな、お前は」
横山はわずかに笑う。
それと同時に俺は蒼い光を横山に向けて放つ。横山はそれに対して横に回避した。横山はそのまま俺との距離を縮めにくる。そして俺との距離がほぼゼロになった途端、手を光らせた。さっき蒼井に対して使用した攻撃方法だ。俺は即座にそれを判断し、右方向へ回避する。爆発によって少しダメージを受けたが大きなダメージはない。俺はすぐに横山に殴りかかる。光を放つよりこっちのほうが速いと判断したからだ。
だがそのパンチも回避され、横山はそのまま返すように俺に殴りかかってきた。この攻撃は回避できず、直撃してしまった。
それを見た横山はすぐに爆発を起こし、さらなるダメージを与えにきた。それも避けることができず直撃した。
「もう終わりか?」
「まだまだやれる!」
俺は蒼い光を放つ。当然のように横山は避ける。そして横山はすぐに光を発する。直後、大きな爆発が起きた。俺はそれをもろにくらう。
激痛が俺の体にはしる。体全体がやけどしたような感覚がある。いや、本当にやけどしているのかもしれない。
横山が俺に近づいてくる。とどめをさすつもりだろう。俺はそれに刃向かうように蒼い光を放とうとした。だが俺の手から蒼い光が出てこない。
「なんでこんなときに出ないんだよ!」
俺はもう一度試すがまたもや失敗する。だがここで俺は違和感を覚えた。横山が一向に攻撃を繰り出してこないのだ。
「お前・・まさか妖精に飲まれてるのかよ」
横山が俺を見て何か言っている。俺は自分の体を見てみる。
そうすると俺の体に起こっている異変に気付いた。俺の体全身が蒼い光で包まれていた。
全身に力がみなぎる感覚がある。これならいける!そう俺は思った。
横山はまだ戸惑った様子を見せる。これがそんなの珍しいことなのだろうか?
だがそんなことはどうでもいい。俺は手の中で蒼い光を構成する。そして横山に向けて放った。
並のスピードとは比べものにならないスピードでその光は進んでいった。
さすがの横山もこれには反応できず直撃した。
これによって横山は気を失ったようだ。




