どうでもいいことの大切さ
俺は由紀さんや満から様々な説明を受けていた。
はっきり言うと飽きた。すごく長い説明だし、全然理解できない。
と、そこで話が一通り終わったのか
「何か、質問はある?」
由紀さんが俺に問いかけてきた。
「あの・・あの人は誰なんですか?」
そういって俺は誠一さんの事を知っている男のほうをチラッと見た。
このことは最初から気になっていたことでもある。
「あの人はブルーバード、コードナンバー001の一條零斗よ」
「一條・・・」
「一條」俺はこの苗字に聞き覚えがあった。
俺を襲ってきた妖精使い。たしかフェアリーアームのコードナンバー007とか言ってたな。
「そう、フェアリーアーム、コードナンバー007の一條蓮の実の兄よ」
「そうなんですか・・」
「ええ、他には何かある?」
「コードナンバーって何ですか?」
これも最初から気になっていたことだ。一條も蒼井も自分のことをコードナンバー007とか、コードナンバー003とか言ってた。それは何なのだろう?
「コードナンバー、それはすなわち組織内の順位のことよ」
「じゃあ、蒼井の場合はブルーバードの中で3位って事ですか?」
「そうね。でも今は4位よ」
「えっ」
でも、蒼井は確かに「003」と言ったはずだ。だったらなぜ?
「あなた、自分の存在を忘れてる?」
「あっ」
俺はさっき零斗さんに「コードナンバー002の称号を与える。」って言われた。それはすなわち、俺はブルーバードで2番目に強いことになる。
「でも俺の力ってそんなに強いんですか?」
「今の時点では100%の力をフルに使えないけどね。」
まぁそれはそうだろうな。俺はそう思った。まず、まだ自分の意志で自由に力を使えない。というか使い方がわからない。それなのにブルーバードの中で2番目なんて高すぎる順位だ。それは俺の現時点での力の強さなのか、それとも俺の潜在能力を見込んでの順位なのか、由紀さんに聞きたいことはかなりある。
「はやて君、他にはある?」
聞きたいことはたくさんある。だが俺は・・・
「すいません、今日はもう帰ります」
「そう。でもとりあえず携帯の番号だけ教えてくれるかな」
「あっ、わかりました」
そう言って俺は由紀さんに番号を口頭で教えた。
「それじゃあ、また」
俺はそう言って部屋を出た。そして玄関で靴を履いたときに
「おい、はやて、これ持っておけ」
突然零斗さんが俺に何かを投げてきた。俺はそれをキャッチして、それを確かめた。それは何かの鍵だった。何の鍵だろう。そう思い、俺が鍵を観察していると、
「この家の鍵だ。この家は対妖精用に造られている。何かあったらここんい逃げ込め」
「わかりました」
これはかなり大切そうだ。今後、いつ持っていることにしよう。
「はやて、私もついていって良い?」
零斗さんに続いて蒼井も部屋から出てきた。
「でもお前、けがしてるじゃん」
「で、でも」
「はやて君、蒼井ちゃんははやて君と一緒にいたいのよ」
笑いながら由紀さんまで部屋から出てきた。蒼井は由紀さんの言葉でかなり顔が赤くなっている。
「ちょっと、由紀さん!」
蒼井は怒ったように言う。だが、俺はそんな蒼井に
「いいぞ、蒼井、ついてこいよ」
「えっ、いいの?」
「ああ」
俺がそう言うと蒼井の表情がすごく明るくなった。今日、何度目かわからないが今回も蒼井の顔に見惚れてしまった。
「それじゃあ、失礼します」
そう言って俺と蒼井はブルーバードの本部を出た。
「なぁ、蒼井、お前は・・いじめられてたのか?」
俺は帰り道、不本意にそんなことを蒼井に聞いてしまった。一條が襲ってくる前に実樹から聞いたことだ。
「誰から・・聞いたの?そんなこと」
やっぱりまずかったか。俺は後悔した。謝らないとな。
「ゴメン。言いたくないよな。そんなこと」
「いいよ。はやては私のこと調べたのかな?」
「いや、俺じゃなくて、俺にはそういうのを調べるのが好きな幼なじみがいてな。そいつが調べたんだよ」
実は実樹は人の個人情報などを調べる。という悪趣味を持っている。今回の件もその趣味のひとつだろう。
「そうなんだ。でもゴメン、話したくない・・かな」
「そうか。ホントゴメンな」
なんか俺の不本意な質問で帰り道が気まずくなってしまった。すると蒼井が
「はやてってなんか好きな食べ物とかある?」
蒼井もこの気まずさに耐えられなくなったのか、話題を変えてきた。
「そうだな・・強いて言うなら焼き鮭とかかな。」
「しょぼ!」
蒼井は爆笑し始めた。よっぽど面白かったのだろう。俺は真面目に答えたつもりだったのだが・・・
「ごめん、ごめん」
「別に良いよ」
蒼井が話題を変えてくれたおかげで雰囲気が良くなった。こいつ、こういうのうまいんだな。
その後も色々などうでもいいことを蒼井と話した。俺が孤児院にいたころはこんなことを話す相手もいなかった。転入する前の蒼井もそんな感じなのだろう。
蒼井と話しながら15分くらい歩いた。そうすると俺の部屋があるアパートがある。さっきブルーバードの本部に行くときも15分程度かかった。
「じゃあな」
「うん」
そう言って俺と蒼井は別れた。
そういえばさっき一條は俺の部屋の前で倒れてたはずだが、そんな疑問があったがなぜがそこに一條はいなかった。だが、普通に考えたら一條が気を取り戻して帰った。という答えが出てきた。
その後、俺は自分の部屋に入って、簡単に夕飯をすませて、着替えずにベットに入ってしまった。学校から帰ってきてから少し寝た。といってもなんだか今日は色々なことがあったので今もかなり眠かった。
時計は「PM10:30」と表示されていた。俺はいつも11時に寝ているのでいつもと就寝時間はあまり変わらない。
案の定、ベットに入って1分もしないうちに睡魔が襲ってきた。
「ねぇ君、如月はやて!」
どこからともなく透き通った声が聞こえてくる。予想していたことだ。妖精のリアだ。俺に力を与えた相手、その点は憎むべき相手だ。俺を殺し合いの世界に巻き込んだ張本人だからだ。
だが感謝すべき相手でもある。こいつがいなかったら蒼井は一條に殺されていた。というのもあるがこいつがいなかったら俺は蒼井とは話せなかっただろう。
「リアか」
「僕の力は役に立ったよね」
リアがどんな表情で俺と話しているのかはわからないがなんとなく何を思っているのかがわかるような気がする。おそらく今は自慢しているのだろ。
「ああ、ありがとう。そしてふざけるな」
「面白いこと言うね」
リアは笑っているのだろう。確かに俺が言ったことはおかしいことかもしれない。感謝の言葉とその逆の言葉を同時に言ったのだから。
「どれ、じゃあそろそろ本題に入らせてもらおうかな」
「何だ?」
リアの情報は基本的に正確だ。そう思っている俺にとってはリアの話は結構役に立つのだ。
「平井誠一のこと知りたい?」
「お前まで誠一さんを知っているのか・・・」
「うん。僕はもともと誠一に力を与えていたからね」
「なんだと・・」
誠一さんの妖精だと・・
「お前が・・誠一さんを妖精の世界に巻き込んだのか?」
「誠一は自ら妖精の世界に入ってきたよ」
「うそだろ・・」
うそだ。誠一さんが自ら殺し合いの世界に入ってきたなんて。絶対うそだ。
「誠一は守るりたいものがあったらしいよ」
リアが話を再開させた。
「それは人か?」
「うん。名前は真白蒼井だよ」
リアは俺が知っている人の名前を言った。俺は驚いてしまって言葉が出なかった。
「正確には平井蒼井って言うんだけどね」
「あいつも・・偽名を使っているのか?それに平井って・・・」
ようやく声が出た。だが俺は平井と言う苗字にまた驚いた。俺や誠一さんと同じ苗字だからだ。
「真白蒼井・・もとい平井蒼井は誠一の実の娘だよ」
「それは何の冗談だよ」
蒼井が誠一さんの娘だと。笑えない冗談だな。リアはギャグセンスが低すぎる。
「冗談じゃないよ。本当に実の娘」
「じゃあなら何で俺とあいつは合ったことがないんだよ!俺は5、6歳の頃から誠一さんと同居してたのに蒼井と合うのは今日が初めてだぞ!」
「君は何で誠一に拾われたかわかってないんだね。誠一は君を平井蒼井に重ねてたんだよ」
そういえば聞いたこと無かった。なぜ俺のことを拾ってくれたのか。ただの親切で子どもを育てる気にはならないだろう。
「誠一は蒼井を1人にした。それが一番安全だと思ったからね。だけどそれによって誠一は守る物がなくなった。だから君を拾った。戦う理由を作るために」
そうか俺は蒼井の代わりなのか。
「ところで誠一さんの奥さんはどうしたんだよ」
誠一さんに娘がいるならその母もいるはずだ。
「殺された。誠一の妻は妖精使いだったからね。だから殺された。誠一の妻が妖精使いならばもちろんその家族も狙われる。だからそれに抵抗するために・・いや平井蒼井を守るために誠一は妖精使いになった」
「そうか」
と、ここで俺の頭の中にとある疑問が出てきた。誠一さんの妻が殺されて、誠一さんも行方不明、もしくはもう既に死んでいる。ならその2人の娘である蒼井はどうやって暮らしているんだ?
「平井蒼井はちゃんと生活しているから心配しなくていいよ」
「お前は俺の心の中も読めるのか・・・」
「ちがうよ。君のことを僕はずっと見ていたからね。君が5、6歳の頃から。そんなに見てたら君が思うことはなんとなくわかるよ」
そうかリアはずっと俺の事を見ていたのか。
「どれ、とりあえず君が知らないといけない最低限の情報は教えたから、おしゃべりはおしまいね」
「わかった」
リアがそういうと目覚まし時計がなった。俺が昨日設定した時刻が時計に表示さていた。昨日のように寝坊しないように設定したのだ。
「蒼井に聞かなくちゃいけないことが増えたな」
そう思い俺は支度した。俺が起きてから30分程度してから俺のアパートの前に実樹が来た。そうして俺は実樹と学校に向かった。




