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『婚約破棄された元社畜OL、推し顔の美少年を保護。コスメ錬金で貢いでたら最強ネフィリムに成長し極大の愛で溺愛されています』  作者: 月神世一


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迫る不穏な影。ポポロ村の危機と、愚かな元婚約者の悪意

迫る不穏な影。ポポロ村の危機と、愚かな元婚約者の悪意

ポポロ村での美容商会『ルナ・コスメティクス』の立ち上げから数週間。

私のオタ活ライフ……もとい、スローライフは、かつてないほどの充実と絶頂を迎えていた。

「セシリアさん、今日の分の『陽薬草』と『月見大根』、納品に来たよ」

「泥沼さん! いつもありがとうございます!」

私の露店に荷車を引いてやってきたのは、村のベテラン農家である泥沼源蔵さんだ。

彼と妻の恵さんは、高級魔性作物『メロロン』の栽培に手を出した結果、互いにメロロンと不倫(?)して家庭崩壊しかけたという強烈な過去を持つ『仮面夫婦』である。

だが、私が【至高のコスメ錬金】で彼らの育てた野菜を高値で買い取るようになってから、少しだけ夫婦仲が改善したらしい。

「いやぁ、セシリアさんが高値で買い取ってくれるおかげで、うちのメロロンたちもご機嫌でね。今朝なんて完熟クイーンメロロンが『いつも頑張ってる貴方にご褒美よ』って、俺の肩を揉んでくれ――痛てっ!?」

横から、妻の恵さんが源蔵さんの足を踏みつけた。

「あんた、またあの泥棒猫メロンにうつつを抜かして! セシリアさん、ごめんなさいね。この人は本当に、野菜の誘惑に弱くて……」

「あはは……。い、いえ、いつも高品質な素材をありがとうございます」

そんな村人たちとの平和なやり取りを終え、私は大量の素材を裏のテントに運び込もうとした。

「……貸せ。あんたには重い」

「あっ、キッドくん! ありがとう!」

いつの間にか私の背後に立っていたキッドくんが、軽々と木箱を持ち上げてくれた。

タローマンで買い与えた『白銀のアーマーベスト』と細身のシャツが、彼の手足の長さを強調していて最高に似合っている。

日々の美味しいご飯(主にロックバイソンの極厚ステーキ)のおかげか、拾った時よりも少しだけ背が伸び、体つきも男らしくなってきた気がする。

「ふふっ。キッドくん、本当に頼りになるわ。最強の助手ね」

「別に。これくらい普通だ。……それより、あんまり他の男に愛想よく笑うなよ」

「え?」

「……なんでもねぇ」

プイッとそっぽを向くキッドくん。

今日も推しが尊い。毎日こんな至近距離で推しの顔面を拝めるなんて、前世でどれだけ徳を積んだのだろうか。私、実は聖女だったのかもしれない。

「よし、じゃあキッドくん。悪いんだけど、タローマンに行って、予約していたポーション用の空き瓶を受け取ってきてくれる? 結構な量があるから、キッドくんの力じゃないと運べないの」

「わかった。……あんたは、ここで大人しく待ってろよ。どこか行くなら、マンミアに声かけとけ」

まるで小さな子供に言い聞かせるように、過保護な注意を残してキッドくんは広場を離れていった。

 ◇◇◇

キッドくんを見送り、私が一人でテントの中で素材の仕分けをしていた時だった。

「……セシリアさぁぁぁん!!」

ドタドタという慌ただしい足音と共に、自警団長のマンミアさんが血相を変えてテントに飛び込んできた。彼女の蹄が土を蹴り上げる。

「マンミアさん!? どうしたんですか、そんなに慌てて」

「た、大変です! 村の外れにある、陽薬草の栽培畑が……何者かに荒らされています!」

「えっ!?」

私は耳を疑った。

ポポロ村の畑は、村の命綱だ。しかも陽薬草は、私のポーションの主原料でもある。

「自警団の若い衆が止めに入ったんですが、相手はプロの傭兵か、裏稼業の暗殺者みたいで……。魔導武装をしていて、かなり手慣れています。今、村長にも報告を――」

「私が行きます!!」

「えっ、ダメですよ! セシリアさんはただの商人(村人)なんですから!」

「ただの商人じゃありません、限界オタクです! 推しの生活費(ポーションの素材)を奪う奴は、万死に値します!」

私はマンミアさんの制止を振り切り、テントを飛び出した。

 ◇◇◇

村の外れにある広大な陽薬草の畑。

そこに辿り着いた私は、目の前の惨状に息を呑んだ。

青々と茂っていたはずの陽薬草が、無残にも引き抜かれ、魔導バーナーのようなもので黒焦げに焼かれている。

泥沼源蔵さんたち農家の人々が必死に育て、毎朝大切に収穫してくれていた宝の山が、ただの灰の山に変わろうとしていた。

「あはははっ! 燃えろ燃えろぉ! 辺境の田舎者どもが、小賢しく商売なんてしてんじゃねぇよ!」

下品な笑い声を上げながら、畑を荒らしているのは十数人の男たちだった。

全員が黒ずくめの革鎧に身を包み、手には魔導クロスボウや、血の匂いが染み付いた剣を握っている。一見して、ただの野盗ではない。訓練された裏稼業のプロ(ゴロツキ)だ。

「ちょっと! なにやってるのよ!!」

私が思わず叫ぶと、男たちはピタリと手を止め、こちらを一斉に振り返った。

「おっ? 出た出た。お前が『セシリア』だな?」

リーダー格らしき、顔に大きな傷のある男が、下卑た笑みを浮かべて私に歩み寄ってくる。

「あんたたち、誰の差し金!? ドンガン帝国の密輸組織? それとも他の商会?」

「へっ。俺たちは王都から依頼されて来たんだよ。ある『高貴なお方』からな」

男の言葉に、私の脳裏に一人の愚かな男の顔が浮かんだ。

私に無実の罪を着せ、婚約破棄を突きつけた、あの高慢ちきな元婚約者だ。

「……あいつね。追放したくせに、今さら何の用よ」

私が冷たく睨みつけると、顔に傷のある男は、持っていた剣の腹でパンパンと自分の肩を叩きながら薄笑いを浮かべた。

「いやぁ、雇い主の旦那は相当お怒りだったぜ。『俺に捨てられた女が、辺境で俺より儲けて幸せに暮らしているなど、貴族の面子が潰れる』ってな。だから俺たちに依頼したのさ」

「依頼って……ただの嫌がらせのために、村の畑を焼いたって言うの!?」

「嫌がらせ? ハッ、冗談言うな。これはお前を『教育』するための下準備だよ」

男の目が、蛇のように粘り気のある光を帯びて私を舐め回した。

「雇い主からの命令はこうだ。お前の拠点を徹底的に破壊し、絶望させた上で……王都に生け捕りにして連れ帰れ。そして、薬を作る『奴隷』として一生地下牢でこき使ってやる、とな」

「っ……!」

「だがなぁ、雇い主は気前が良くてよ。道中、俺たちがお前を『どう扱ってもいい』って許可をもらってんだわ。へへっ、元貴族の令嬢サマを慰み者にできるなんて、最高の仕事だぜ。おい野郎ども、まずはこの女の手足を折って、逃げられねぇように――」

男たちが、下卑た笑い声を上げながら私を取り囲むように距離を詰めてくる。

殺気と、悪意と、暴力の気配。

本来なら、ただの令嬢であった私など、腰を抜かして泣き叫ぶしかない絶望的な状況だ。

彼らは私の恐怖の表情を期待して、じわじわと間合いを詰めてくる。

――だが。

「……はぁ」

私は、深々と、心底呆れたようなため息をついた。

「え……?」

「なんだこの女、怯えてねぇぞ?」

男たちが不思議そうに顔を見合わせる。

私は、彼らを憐れむような目で冷たく見据えた。

「あんたたち、本当に馬鹿ね。ただの田舎の村だと思って、ちゃんと下調べもせずに襲撃に来たわけ?」

「あぁん? 負け惜しみか? ここはルナミス帝国にも属さねぇ、軍隊すらいねぇただの辺境の村だろうが!」

「そうね。ただの辺境の村よ。……でもね」

私は、エプロンのポケットから、先ほどテントから持ち出してきた『ある物』を取り出した。

「ここには『タローマン』も『ルナキン』もあるし、最強の自警団もいるし……何より、私の『推し』がいるのよ。推しの生活圏(聖域)を荒らすような真似をして、タダで帰れると思わないことね」

「ハッ! 推しだか何だか知らねぇが、そんなもん、俺たちがまとめて串刺しにして――」

「来るわよ」

私がそう呟いた瞬間。

ドドドドドドドッ!! という、地鳴りのような凄まじい蹄の音が、村の奥から響き渡った。

「な、なんだ!?」

男たちが慌てて振り返る。

そこに現れたのは、巨大なパイルバンカー式シールド『アグニ』を構え、時速100キロを超える猛スピードで突進してくる自警団長・マンミアさんの姿だった。

「ポポロ村の平和を乱す不届き者ォォォッ!! 私の婚活の邪魔をするなァァァッ!!」

「はぁっ!? 馬の魔物ッ!?」

さらに、上空からは、爆音を響かせて『爆音天聖号』に乗ったリキ兄貴が、タバコをふかしながら降下してくる。

「おうおうおう! ワシの可愛い『姐さん』を囲んで、何の真似じゃい、ワレェ! 聖雷で消し炭にされたいんか!」

「な、なんだあのヤンキー!? 飛んでるぞ!?」

圧倒的な過剰戦力オーバースペックの登場に、ゴロツキたちの顔色が一瞬にして蒼白になる。

だが、私が本当に恐ろしいと思っているのは、彼らではない。

「……あいつらに触るな、マンミア。リキ兄貴」

ゾッ……。

広場の空気が、いや、世界そのものが凍りついたような錯覚に陥った。

ゴロツキたちの背後。

つい先程まで『タローマン』に行っていたはずのキッドくんが、音もなく立っていた。

彼の背中からは、白銀と漆黒の片翼が、夜の闇を覆い隠すように大きく広がっている。

左目の漆黒の瞳孔は爬虫類のように細く収縮し、右手には、ドス黒い魔気を纏った闇の剣『ノワール』が握られていた。

「俺のセシリアに、薄汚い殺気を向けたな」

静かで、冷たくて、絶対的な死を宣告する声。

それは、最愛の宝物を傷つけられそうになった猛獣が放つ、純度100%の『殺意』だった。

愚かな元婚約者の悪意は、絶対に触れてはいけないネフィリムの『逆鱗』に、見事に触れてしまったのである。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

「元婚約者、終わったな(確信)」

「推しの生活費を奪う奴は万死に値するww」

「キッドくん、完全にブチギレモード入りました!」

と少しでも胸熱になっていただけましたら、

ぜひページ下部の 【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】 にして評価をお願いいたします!

(※星をタップするだけで簡単に応援できます!)

皆様からの評価と 【ブックマーク】 が、セシリアのオタクパワーと、作者の執筆速度をブーストする最大のエネルギーになります!

次回、ヒロインもただじゃやられない!? 錬金術による抵抗と、キッドくんの圧倒的で冷徹な『蹂躙』が始まります!

最高にスカッとする展開をご用意しておりますので、引き続きお楽しみください!

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