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溺愛ハッピーエンドが欲しくて頑張ったのに、なぜか彼氏はヤンデレ化した  作者: ChaCha


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幸せが多すぎる

夏の空は、どうしてこんなに高いんだろう。


見上げるたび、胸の奥がふわっと軽くなる。

まるで、今日という一日そのものみたいに。


「……暑い?」


隣を歩くベルンハルトが、こちらを気遣うように声をかけてくる。

その声だけで、もう元気が出てしまうのだから単純だ。


「ううん、大丈夫!」


笑顔で返すと、彼は少しだけ目を細めた。

その表情が、やけに優しくて。


(……あ)


だめだ。

これは完全に、幸せ過多だ。


ちらり、と視線を向ける。


夏だから、ラフな装い。

薄手のシャツに、動きやすそうな服装。


ローブに隠れていない分、

肩のラインや、腕の輪郭がはっきりわかる。


しなやかで、無駄がなくて、

きちんと鍛えられている身体。


(……まぶしい)


いや、文字通り。


夏の光を受けて、

ベルンハルトの姿がきらきらして見える。


首筋に落ちる影。

シャツの下で自然に動く筋肉。


(これ……)


全力で脳内スクショ案件。


無意識に視線が吸い寄せられているのを、

読まれたら本当に恥ずかしい。


(読まれたら……死ねる)


でも、やめられない。


だって。


(私の彼氏、かっこよすぎない?)


そんなことを考えていたら、

ふっと腰に、やさしく手が回された。


引き寄せるほど強くはない。

でも、離れない距離。


「人が多いな」


さりげない一言。

さりげない行動。


でも、それが――

私を求めているって、ちゃんと伝わってくる。


(……ああ、もう)


胸がいっぱいになる。


以前より、言葉が増えた。

行動も、少しだけ大胆になった。


でも、押しつけがましくない。

ちゃんと、私の反応を見てくれている。


歩く速度を合わせてくれること。

影になる位置を自然に選ぶこと。

何もないようで、全部が優しい。


時々、ほんの少しだけ距離が縮まる。


唇を、耳元に近づけて。


「……心待ちにしていた」


低く、落ち着いた声。

それだけで、心臓が跳ねる。


「君を返さない日がきて、嬉しいよ」


(……それ、ずるい)


返さない、なんて言葉。

重いはずなのに、不思議と怖くない。


むしろ――

嬉しい。


安心する。


「……気に入ったか?」


そう言って、ベルンハルトは少しからかうように笑う。

目を細めて、こちらを覗き込む。


「……もう!」


思わず、ぽかっと腕を叩いてしまう。


でも、

その距離は変わらない。


離れない。


「ははは」


軽やかな笑い声。

夏の空気に溶けるような声。


(……全部)


ひとつひとつが、

幸せすぎる。


手を取られること。

腰に触れられること。

名前を呼ばれること。


ベルンハルトの身体は、

強くて、しなやかで、安心できて。


(ああ……)


筋肉が好き、なんて理由から始まった推し心。

それが、今では。


この人に溺愛されるなら、

悪くない――

どころか、最高だ。


そんなことを考えながら歩いていたら、

また、視線が彼に戻ってしまう。


(……だめだ、今日の私は浮かれすぎ)


でも。


幸せが多すぎる日は、

きっと、こういうものなんだ。


夏の光の中で、

私は今日も、笑っていた。



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