↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溺愛ハッピーエンドが欲しくて頑張ったのに、なぜか彼氏はヤンデレ化した  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/145

誘った男の、最初の一手

待ち合わせ場所に、朝の光が満ちていた。


石畳に反射する陽射しが眩しくて、

カレンは何度も瞬きをする。


(……夏だなぁ)


風が軽く、

胸の奥まで透き通るような空気。


そこへ――


「待たせたか?」


聞き慣れた声。


振り返った瞬間、

カレンの表情がぱっと明るくなる。


「ううん!ぜんぜん!」


声まで弾んでいた。


ベルンハルトは一瞬、

その笑顔を真正面から受け止めて、

小さく息を吸う。


(……眩しいな)


今日は学園のローブもなく、

ただの“休日”の装い。


飾り気はないのに、

彼女は周囲の光を集めているみたいだった。


「……行こうか」


そう言って、

自然な流れで手を差し出す。


カレンは一拍も迷わず、

その手を取った。


指が触れた瞬間、

ぎゅっと握り返される。


「今日はね、すごく楽しみにしてたの!」


歩き出しながら、

カレンはそう言って笑う。


「誘ってくれたの、嬉しかったから」


ベルンハルトは、

その言葉を聞いてから、

歩調をほんの少しだけゆっくりにした。


(……そうか)


彼女は、

自分から誘われることを、

ちゃんと大事にしている。


それが分かっただけで、

胸の奥が静かに熱を持つ。


人の多い通りでは、

彼はさりげなく位置を入れ替え、

彼女が内側を歩くようにした。


言葉にしない配慮。

でも、確かな意思。


カレンはそれに気づいて、

何も言わず、ただ嬉しそうに歩く。


「ベルン、今日はどこに行くの?」


「……内緒だ」


「えー!」


笑い声が弾む。


その反応を見て、

ベルンハルトは目を細めた。


(……最初の一手は、上出来だな)


無理に引き寄せない。

でも、離れさせない。


彼女が笑っていられる距離で、

確実に隣にいる。


夏の陽射しの中、

二人の影が並んで伸びていく。


カレンは終始、

楽しそうで、

嬉しそうで、

その笑顔が一度も曇らない。


それを横で見ながら、

ベルンハルトは静かに思う。


(……この夏は、

 俺が連れていく)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。