大団円 5
その日、校門の前には以前にも増して、人垣が一重にも二重にも重なっていた。
警察の人や、テレビカメラや、どこかの放送局の中継車、黒いサングラスの人たちの物だろうか、黒い車が何台も止まっていて、消防車も何台もあった。
見学の人たちの中にも、この状況を配信しているのだろうか、携帯を掲げて学校を映していた。
僕たちはその中を黒いサングラスの男の人やお姉さんに周りを囲われ人垣を掻き分け、校門の前まで来ることが出来た。
校門の前で少し深呼吸をして、校門にある、学校の看板を触ってみた、ざらざらした感触がなぜだか心地よかった。
黒いサングラスのお姉さんが僕を呼び、タブレットの画面を見せた。
そこには伊藤総理大臣が映っていて、同時にイヤホンを手渡された。
ビデオ通話だ。
向こうでも、僕と回線が繋がったことを確認していたみたいで、何度かお互いモシモシを言い合っていた。
それがなんだかおかしくって、笑っていると。
松根さんと、百合川さんが『どうしたの。』と聞いてきた。
タブレットの画面を指すと、
『あ、総理―!』と画面に手を振っていた。
総理は。
『頑張ってくださいね、そこの、黒メガネの護衛の人も必要なら何か手伝わせてね。』
総理は協力してくれることを、言ってくれたけれど、
ぼくは、
『僕たちの学校は、昔、自分たちの手で建てていた。
そしてそれを誇りにしていた。
僕たちも同じ思いで、自分たちの手で実行再生していきたい。
きっと、今、同じ思いで全国の、各学校の正門に集まっている人たちも、そうだと思う。
ありがとう総理。』
そう言うと、
総理は何も言わずうんうんと頷いていた。
『怪我しないでくださいね。』
と総理は締めくくって、ビデオ通話は切れた。
学校を見上げ。
『さあ全国の学校の校門の錠を開けに行くぞ』
そう言って校門の門扉のところに駆け寄った。
もう一度、振り返ってみると、多分、宮竹さんのひいおばあちゃんだろうか、自撮り棒で、僕たちと、自身を交互に映しているようだ、きっと今、配信中なんだろう、宮竹さんがひいおばあちゃんの名前を連呼していた。
百合川さんのお母さんグループはすぐわかった、テレビや配信で見ない日は無いといった『プロジェクト№』シリーズのアイドルが揃って、こちらも生配信か何かだろうか、数人のスタッフと、周りのファンですごい塊になっていた。
松根さんの携帯が鳴り、暫くしゃべっていた、携帯を切り僕にお父さんが空港から、電話があった事。
『お父さんが、頑張れって。空港の待合ロビーでも、私たちの事が大型ビジョンで流れているし、ロビーの人たちはみな、それぞれの携帯で、この配信を見ているようだと言っていた。』
と、伝えてくれた。
校門の前には用意をして待っている。
佐保姫が。
『この光る鍵で、全国の小学校の正門は開くはずじゃ。』
全国皆で学校の花壇や公園の花壇にたくさんの、それは四季を感じる。
思いを繋ぐ。
ガチャンと、ひと際大きな音と共に大きな南京錠を光り輝く鍵で開けた。
作戦が終了した、数日後のある日。
南京錠を、光る鍵で開けた後の事を思い返していた。
あの時、全国四季化計画の作戦を鍵で錠前を開けたと同時に実行した。
用意した、スコップや鍬で、草花の種や苗を一斉に花壇や、枯れかけたり、何も植わっていない所を草花で一杯にしていった。
学校に残されていた空き花壇に、所狭しと草花や、苗を植えたりしていった。
そうすると、嘘のように結界が無くなり、みんなが今まで通り、学校や公園に出入りすることが出来るようになった。
今まで通り何不自由なく、入り行く事が出来るようになってきた。
とっても嬉しい事だったけど、今までずっと咲いていた、桜や、梅は季節が元通り進みだしたので、その花を散らし出した。
学校が元通りめぐり出したんだ、と思うのと一緒に、なんだか悲しくなってきた。
今まで桜と、梅の精とずっと一緒だったのに、と思って、見上げると花を散らしながら。
桜と梅の精も少し泣いていた。
『でも、またすぐに来る春には会えるわ』
と言って、散った花びらと共に白い影となって消えていった。
ぼくは、少し涙を拭って、残りの花壇を仕上げるため、手伝いに向かった。
そして一連の騒動も落ち着き。
めぐって来た春。
新しく。
僕たちは6年生になった。
今度5年生の後輩が新たに入部してくるらしい。
あの全国的な事件があってから入部希望が爆上がりらしく、サッカー部同様、入部制限があった位だった。
いま、僕たち先生を含め5人と佐保姫や、龍田姫が見守る中、新入部員を迎えるため花壇にウエルカムボードを立てることにした。
用意しているうちに、体育館と校舎の間の通路から、ワイワイガヤガヤと新入部員がやってくる物音、気配、足音が近付いてきた。
そして、同時にウエルカムボードを立て終えた。
そこには。
『我賀田小学校、園芸部にようこそ!』と大きく書いた。
拙作に目を通していただき、誠にありがとうございます。




