大団円 3
そして、続けてこう言った。
『私は、この危機に古の和歌を思い出すの、
みんなも、その名前は知っているはず。
その人の名は小野小町。
そもそも、和歌は、詩的な意味はもちろんのこと、人や、物事、あらゆる事象、事柄に対する思いを綴るだけではなく、呪詛的な要素もあったの。
その昔、小野小町は旱魃と言う国の危機の時に、雨乞いの和歌を詠ったの。
『ことはりや 日の本なれば 照りもせめ さりとてはまた 天が下かは』と詠って雨を降らせたの、私はこの思いが・・・。』と、その和歌を詠い、話を続けようとして。
視線を佐保姫、龍田姫がいる方向に何気なく向けた。
その瞬間。
総理大臣は顔をこわばらせた、そして。
『いつの間に。あなた達は・・。』
すかさずモモちゃん先生が、
『総理、和歌の思いが今、見えている二人です。
彼女達は春と秋の女神。
彼女達の助けも必要です。』
『そ、そうなの、よろしくお願いするわ。』
それでも、顔はこわばったままだった。
周りの警護の人たちは、何のことだか不思議そうに、顔を見合わせるばかりだった。
首相は、そして話をつづけた。
『私はこの思いが、この時の小野小町の思いの様に、あなた方にお願いしたいの。』
お願いとは、日本全国の学校、公園が不思議な何らかの力で、入ることが出来なくなり。
何とか解決したい、との事だった。
そして、ソファに座っていた僕たち一人ひとりに、ギュッと手を握ってくれた。
それは、お母さんの様にとっても温かかった。
帰り際には、『必要な物、事があれば何でも言ってちょうだい。彼、彼女達も護衛に付けるから安心してね。』と言って、黒サングラスのお兄さんや、お姉さんが僕たちの警護に就くため、一緒に帰る事になった。
首相官邸から帰って来て、あれから、僕の部屋には佐保姫と龍田姫が居候している。
色々調べ物するのにちょうどいいらしい。
ずっと、調べ物をしている。
お母さんは、『あらあら、うちは女の子が増えてにぎやかで全然大丈夫、ウーンでもでも年上過ぎない?あ、お母さん彼女達、大好きだから。大丈夫。』
お母さん、また何言ってんの、日本全国が大変な時に、と。思っていた。
そして、帰って来てから少し変わったことがあった、黒いサングラスの黒い背広を着た男の人と、女の人が代わるがわる、家の前に立っている事。
僕たちの護衛に。
僕だけじゃない、松根さんや宮竹さん百合川さんそしてモモちゃん先生には同じ黒いサングラスをした黒い背広のお姉さんが護衛についていた。
その人たちと一度、お話しする事があって、聞いたことがある。
『あなた方、君たちは、日本の危機を救ってくれる人達なので、護衛を任されています。』
と言っていた。
今日は僕の部屋で作戦会議をすることになっていて、 モモちゃん先生、園芸部のみんな、当然、佐保姫、龍田姫も集まった。
ずっと僕たちの護衛についてくれている、黒サングラスのおにいさんや、お姉さんたちも、ここはたくさんの人の助けが必要だと思ったから、参加してもらうようにした。
僕は、みんなの前で僕なりに、これまでの事を整理して考えを纏めるたみんなの意見を出し合うようにした。
ぼくは、『入部の時に佐保姫に、光る鍵で園芸部の再興をお願いされた。』
佐保姫は『そう、パンデミック、流行り病で花壇が荒廃して四季が乱れ、パワースポットとしてのパワーバランスが崩れた。それを、元に戻すため。』
龍田姫『私は、佐保姫姉さんと仲良くしている、皆の仲間にいれてほしくて、少しだけ、少しだけよ!本当に少しだけいたずらと言うか、困らせたくって・・・。』
百合川さん『でも、思ってる以上に事が大きくなった。』
松根さん『ボールが一杯無くなった事や、桜や梅が咲きっぱなしになった事。』
宮竹さん『今回、学校に結界が張られたようになったことも。』
モモちゃん先生、『でも、バランスが崩れただけで、これだけの事が起こるって。なんだか。』
僕は『これは、何らかの意志があって、こんなことになったんじゃないかな。って思うようになったんだ。』
『意志?』
誰ともなく、繰り返した。
佐保姫は『わらわが調べたところ、長年人が使っていた物には魂が宿るとされてる。平安の昔よりそれは確かにあった。』
モモちゃん先生『あ。付喪神!』
佐保姫、龍田姫、同時に『そう、長年使用していた物には魂、強い霊力が宿るとされている。』
続けて、『つまり、学校そのものが明治時代の昔から人の思いを宿し蓄積され、やがて魂を宿した付喪神になった。
でも流行り病にあって、学校に人が来ることが無くなり、花壇が荒廃し四季が乱れ、パワーバランスが崩れた。
そこで、付喪神が人に悪さをするようになった。
昔、室町時代にかかれた『付喪神絵巻』には捨てられた、長年使われていた道具たちが人間に復讐する事が描かれてる。』
『じゃあ、捨てられたと思って、学校が復讐しだしたって事?』とモモちゃん先生。
『復讐と言うより、直接的な身体への危害は無いから、ちゃんとこっちを見て。と言った方が正確かも。それに、花壇と和歌は、その引き金だったと思う。』と、佐保姫。
『だからもう一度、僕たちの学校だけでなく、日本全国の学校の四季を取り戻せばいいはず。思いが人を動かすように、和歌が人の心を紡ぐ様に。』
僕は、そう皆に提案した。
拙作に目を通していただいて、とても感謝しております。お付き合い下さり、重ねて感謝申し上げます。




