大団円 2
フカフカなソファに僕たちは座っている。
大人の人用なのか、体が沈み込んで眼の前のテーブルに置いてある、ジュースの入ったコップに手を伸ばしても届かない位。
となりに座っている、松根さん、百合川さん、宮竹さん、そしてモモちゃん先生、先生以外は僕と同じ様に、ソファに沈み込んでいる状態。傍には佐保姫や、龍田姫もいる。
広い部屋に、掛け時計の時を刻む音が静かに響いていた。
その人は、僕たちのソファと、テーブルを挟んだもう一つソファの、その向こう側に。
それは、それは、大きな木のデスクの、まだその向こう側の椅子に座っていた。
デスクの上には電話とか事務で使うようなものが、僕たちの低い位置からでも所狭しと、並んでいるのが見える。
そのデスクには、これも木でできた卓上の名札があって、毛筆で書かれたような、肩書と名前が彫ってあった。
デスクの向こう側で受話器を持って何やら話している、髪が長い、ポニーテールの、モモちゃん先生と同じくらいの女の人が、受話器の向こう側の人としゃべっていた。
この人、どこかで見た事あるな、って思いながら見ていた。
僕は、隣に座っている松根さんに聞いてみた。
複数人掛けのソファに、隙間なく座っていたから、びっくりするくらい彼女の顔が近くにあって、目を合わすことが出来ずに、自分の顔が真っ赤になるのが自身で分かった。
『あの、女の人、見た事ある?』
松根さんは
『知らないの、あの人はね・・・。』
と、言葉を続けようとした時、
話をしていた女の人は受話器を置いた。
そこで、松根さんは口をつぐんでしまったので、続きは聞けなかった。
そしてまた、女の人は、受話器を取り誰かと話し出した。
僕たちの座っているソファ、その横には、あの、黒いサングラスをした、黒い背広を着た女の人や、男の人が壁際に並んでジッとしていた。
再び、置時計の時を刻む音が、部屋一杯になった。
数時間前、僕たちは、ヘリコプターの中にいた。
その中で、龍田姫は、やっぱり、こんな事態を引き起こした原因が自分にあると、落ち込んでいるようだった、そこで百合川さんが『大丈夫、龍田姫の所為じゃないと思う、だって、こんな全国に影響を与えるなんて考えられない。』
佐保姫も、
『きっと、他に原因があるはずじゃ、きっと探して見せる。』と繰り返し励ましていた。
ぼくは、何の根拠もないけれど『大丈夫、大丈夫きっと大丈夫』とお母さんの口癖を言っていた。
で、
いま、僕たちはフカフカなソファに沈みながら座っている。
デスクの向こうで、受話器の向こうと何か話している、髪の長い女の人は、やっと話が終わったのか、受話器を置き、僕たちの目の前のソファにゆっくり歩いてきて座った。
そして、頭を下げて謝り出した『急に連れてきてごめんなさい、この国日本の一大事、なんとか助けて欲しいの。』
そして、続けて、『今まで調査した結果、君たちの通っている小学校、そしてその中でも君たちが、この事件の中心にいることを突き止めたの。だから、何とか助けて欲しい。』と繰り返した。
僕たちは目を合わせた、そして周りの大人たちには見えないそこに立っている佐保姫、龍田姫とも。
その女の人は続けて。
『あなた方が、なぜか全国各地の小学校に出没して、学校に残された人々を救出したことが、決定的な証拠。
救出された人々は男の子と、女の子と、大人の女性が一緒だったと証言しているの。
加えて、首相官邸直轄内閣調査室分室《しゅしょうかんていちょっかつないかくちょうさしつぶんしつ》の報告と照合して、これはあなた達という事も、判明したの。』
そして、各地の学校で、閉じ込められた人々を学校の中から救出している、バッチリ僕たちが映っている画像が、テーブルに置いてあるタブレットから流れた。
暫くして、そして僕は、気が付いた。
眼の前にいる、この人は。
『紹介が遅れたわ、私はこの国の総理大臣、そしてこの国の憲政史上初めての女性総理大臣、伊藤博子。どうか助けて欲しいの。』
と深々と頭を下げた。
拙作に目を通していただき、いつもありがとうございます。




