脱出
「あ…!」
ふとスカートのポケットに手を入れると、そこには定期巡回に出る前にポケットに入れた針金が2本入っていた。
これは使えるかも!
「どうしたシェリー、何か思いついたか?」
「はい、鍵を開けられるかもしれません!」
私はエリオット様に2本の針金を見せる。
「針金…?そんなもんでどうするんだ?」
「ピッキングです。」
「ピッキング…ってああ、針金で鍵穴ガチャガチャやって開けるやつか!」
そう、針金が2本あればピッキングができるとどこかの本で見たことがある。
「そうです。…先程盗賊が使っていた鍵を見た限り特別複雑な鍵ではないようですし、ざっくりした鍵穴の構造は知っているのでできると思います。」
そう言いながら私は立ち上がり、鍵穴に針金をさしてピッキングを試みる。
カチャカチャ…
「あの状況で鍵の形状とか確認してたのか…流石だな。」
カチャカチャ…ガチャッ!!
「開きました。」
「早いな!?」
「さて、じゃあ行きましょうか、エリオット様。」
「…そうだな!」
――――――
私たちは牢屋を出て、地下から逃げようとしていた。
すると、階段を登った先に光が見えてきた。
「あそこが出口みたいだな。」
「そうですね。」
そのまま私たちは階段を駆け上がって外に出る。
「な!?」
すると、案の定盗賊のうち3人組が外に待ち構えていた。
「てめぇら、どうやって抜け出した!!」
「んー、魔法かな?」
エリオット様が茶化すように言う。
「そんなわけがあるか!!」
「とにかく、再戦といこうぜ!」
さて、3人はエリオット様がどうにかするだろうから、残りの1人を探さなきゃいけないんだけど…
ダダダッ!!
…階段の下から来てる!私は急いで振り返る。
今度は魔法がある、さっきの二の舞にはならないはず。
私は出口の足元の部分に魔法陣を展開する。
魔力が高くないから展開に時間がかかるけど、まだ敵が来るまで猶予があるから大丈夫。
ギリギリまで引き付けてから、魔法を発動する!
「ファイアウォール!」
ゴォォォ!!!
「ヒッ!?」
突然火が出て驚いたのか、盗賊はバランスを崩して階段から落ちてしまった。そんなに高くないから死んでは無いはず。
入所テストの準備のときにルーカスお兄様から使い方のコツを教わった魔法がここで役に立つとは…
あ、そう言えばエリオット様はどうなった…?
「エリオット様!」
勢いよく後ろを振り返ると、エリオット様の顔がドアップで視界に入ってきた。
「わっ!?」
「おおシェリー見てたぞ、やるじゃねえか!」
「見てたぞって、そっちの3人はどうし…!?」
エリオット様の後ろを見ると、土人形に殴り飛ばされたり、土の柱で高いところまで押し上げられ気絶したりしている盗賊たちの姿があった。多分全員瞬殺だったんだろう。
「さ、さすがですね…」
「ま、これが俺の本業だしな!さて、剣も回収できたし、こいつらが起きる前に戻ろうぜ!」
「はい…!」
他に考えることも色々あっただろうに、"なんでこんなに魔法が強いのに剣使ってるの…?" などと思ってしまった私であった。




