領地へ再出発
「ここまで来れば大丈夫だろ。」
盗賊のところからしばらく移動してきたところで、エリオット様が口を開いた。
「…そうですね…」
「ん?どうした?」
「あの…そろそろ降ろして頂いてもよろしいでしょうか…いや、ここまで運んでくださったのは非常にありがたいのですが…」
そう、私は今エリオット様にお姫様抱っこされている。確かに森の中を走っていくのはかなり大変だっただろうからありがたいはありがたいんだけど、さすがに恥ずかしい。
「ああ、すまんすまん。」
……
そう言いながらも、降ろしてくれる気配がない。
「あの…」
ギュッ…
「!?」
突然、エリオット様が私を離すどころかさらに抱きしめてきた。
「あの…?」
「…怪我が無くて良かったよ。」
「……!」
そういえばさっきから、結構私の事心配してくれてたな…
「さてとっ!」
やっとエリオット様が降ろしてくれた。
「じゃあ、戻ろうか。」
「…はい。」
――――
野営テントの所まで戻ると、何やら騎士団の方達が騒がしかった。
「あ、副団長!!」
その中の1人が私たちに気がついて近寄ってきた。
「どうした?見張り以外は寝てたはずだろ?」
「それが、見てください!不思議な檻の中に熊が入っていたんです!」
「それって、もしかして…」
その騎士の方が指さす方を見ると、私が設置したトラップに見事にかかった熊の姿があった。
「まじかよ、ほんとに捕まりやがった…」
エリオット様が若干引き気味に言う。
「明日は熊鍋ですね!」
――――――
チュンチュンッ!
「…眠い。」
盗賊との1件から一夜、私はテントの中で目覚めた。
あの後、他の騎士の方達が熊を捌いたり盗賊を探しに行ったりしてくださったので、私は早々に寝てしまった。盗賊捕まったかな…
私は身支度をしてから、テントの外に出る。
「おはようシェリー、眠そうだな。」
早速エリオット様に声をかけられる。
「はい…さすがに昨日は疲れました…」
「ハハッ、だろうな。まあお前は荷馬車の中で寝とけばいいさ。」
「はい、そうさせて貰います…。ところで、盗賊はどうなりましたか?」
「それが、あの場所に探しに行ったら1人だけまだ気絶してたから捕虜にしたんだが、残りが行方不明でな…」
「なるほど…ちなみに、その1人って私が最初に捕まった人とは別の人ですか?」
「ああそうだが…何かまずかったか?」
「いえ、むしろ好都合です。」
「…まさか、捕まったときに何か仕掛けてたのか?」
「よくお気づきで。相手がここからどの方向・どのくらいの距離にいるかが分かるようになる魔導具を、捕まっているときに付けておきました。自作なのでちゃんと動くか心配でしたが、問題無さそうです。」
私は、盗賊の方向と距離が針によって示されているコンパスのような魔導具を取り出しエリオット様に見せる。
「ほんと、色々すげーよお前…」
「では、盗賊探しをしつつ辺境伯の領地へ向かいましょうか。」




