5月12日 ソラの料理
はあ、遂にこの時がやってきてしまった。
俺は、自宅のドアの前で立っていた。『ソラが夕食作るのを忘れていて外で食べてきちゃった作戦』も考えたんだが、そうなると兄………一人の男として最低だと思う。この際、腹をくくって「おいしいおいしい」と言って食べてやろう。
ドンッ!と、勢いよくドアが開かれる。
「おっそーーーーいっ!!もう、今何時だと思ってるの?」
現れたのはもちろん我妹のソラちゃんである。
現実逃避したくて、ところどころ寄り道したが、そんなに遅くなったつもりはない。まだお日様だって上っている。そう思いながら念のため、スマホの電源をいれ時計を確認する。
「6時のどこが遅いんだよ!!」
「日が沈む前に帰りましょう」
「俺は、小学生か!!!!」
精神年齢はそうでしょ、と、ソラはため息を吐き出した。
「もう、かわいい妹を待たせるとはいけないんだぞっ!」
「おまえ、どんなキャラ狙ってるの?」
「いいから早く入るー」
「へーい」
誰が聞いても生返事と分かる返事をしながら靴を脱ぎすて、リビングへと向かう。リビングの戸を開けソファーに座ろうと向かっている途中、普段、キッチンにあるはずのないものを目にしてしまった。
「なあ、ソラ」
「なぁに、お兄ちゃんっ!妹の手作り料理食べれるからってこーふんしたらだめだぞっ」
「料理の味見とかしたか?」
「なにそれー!これから作るんだからしてるわけないよー」
え、え!?じゃあ、どうしてこんなにおかしくなったんだよ!どうして、ソラがこんなになったんだよ!こんなこと誰が教えたんだよ!
まあ、今はそんなことは些細なことだ。今は、俺の身の方が大事だ!
「今日のご飯はなに?」
「え?いつも作ってるお兄ちゃんなら材料見て分かるでしょ?」
エプロンをつけキッチンに向かいながら答えた。キッチンの上には、パプリカ、マグロの切り身、白菜、鶏肉、カップ焼そばがおいてあるが料理に統一感がなく何度考えても思い付く料理がない。
「ふーふふふーふーふふーふ!」
鼻歌を歌いながら料理をしていくソラ。包丁が切る音がまばらに聞こえる。俺にとってその音は恐怖でしかなかった。
ーー30分後ーー
「………さん………きて」
「お兄ちゃん起きてーっ!」
「ぐはっ!」
いつの間にか寝てたようだ。どうやら料理もできたらしく俺を起こしにきたようだ。ここだけ聞くと羨ましいーやら、シスコンは死ねだの、ロリコンだぁー!!とか言われるだろう。だが、現実はそんなに甘くはない。
起こすために俺のボディに肘をいれてきたのだ。この小さい体にどうしてこれだけの破壊力があるのか人類の不思議である。
「よし、カイトさんもご飯を起きたことだしご飯を食べましょー!」
「って、ナナちゃんいつの間に家に!?」
「細かいことはいいですから、今はソラさんのご飯を食べましょう」
また、不法侵入しやがったな。
「じゃじゃーん!今日のご飯は………」
寝ていた時に何をしていたのか分からない分、不安が高まる。いったいあの材料で何を作ったのか。想像すればするほど最悪の方に転がっていく。ソラが作るんだからこの世にない物質とかに決まっている。
「カップ焼きそばだよっ!」
「じゃあ、あのキッチンにあった材料はどこにいったんだよ!絶対いらないものあったよな!?」
ソラが作ったカップ焼きそばを持ってこっちにやってきた。中身は見れないが美味しそうに湯気がたち消えていく。
「お兄ちゃんが好きなソラ特製トッピングいりだよっ!」
そのトッピングがなければソラの料理、好きになれると思う。
「凄いですね!ソラさん、どんなもの入れたんですか?」
ナナちゃんがソラの作ったカップ焼きそばを覗きこむ。
「………美味しそうです……ね…」
なんで、一瞬固まったの?なんでで、ゴミを見るような目で見てるの?なんで、後ずさるの?
「私、用事あるので帰りますね」
このタイミングで帰ろうとしてるって絶対、ソラの料理のせいだよね!?普通のカップ焼きそばじゃないよね!?
「えー、ナナの分も作ったから食べていきなよ!今回は自信作なんだよ!」
「え………でも、流石にご飯を貰うなんて悪いですし………何しろ、それは………」
「食べるよね?」
「はい」
ソラってこんなに怖かったっけ?
出てきた料理は、沸かしたリンゴジュースをカップ焼きそばに注ぎ、そこにマグロ切り身をいれ白菜のちぎったものを入れ、パプリカが何を手を加えずに入っており、鶏肉がミキサーをかけたみたいにクチャクチャになっていた。(※これを制作し何らかのトラブルがあっても当小説は一切責任をとりません)
あの包丁の音はいったい何だったんだろうか?




