5月13日 ソラ対策作戦17
今回は文章量が多いです。俺の中で!ですが 。
長いのなんて見たくない!って言う人は飛ばしてもらって結構です。
今の時刻は18時、夕焼けが沈みかけている。ちょっと用事かあってこんな遅い時間になってしまった。こんな時間に帰宅したのがソラにバレると必ずと言ってもいいってほどに怒られる。しかし、人間は学習する生き物だ。俺も少なからず人間の端くれ……なので日々学習している成果を発揮しようと思う。そう、言うならば!
「operation 実は16時には帰ってました大作戦!」
「それはどんな作戦なんですか?……あと、オペレーションと大作戦って被ってますよ?」
隣から疑問が聞こえてきた……中学生にツッコミされたのは、心に刺さるが……ここは、作戦を教えてやろうじゃないか!
「ふふふ、この作戦はな、ソラの隙を……って、ナナちゃん!?なんでここに?」
「ナナちゃんです。どうかしたんですか?」
「え?な、なんでもないよ!?……な、なんでそんなこと聞くんだよ?」
んー、と考え込むナナちゃん。答えがでるまで長くなると思ったけどすぐに答えがでた。
「さっきから家の前で困ったように立ち尽くす姿を家族が目撃したので何か困ったことでもあったのかな、と心配なので見てきて欲しいって言われたから様子を見にきたんです」
「なるほど、でも大丈夫!困りごとなんてないから帰っていいよ」
そういい終わると、俺は歩み出した。それは玄関ではなく、リビングの窓の方に姿勢を低くしてなるべく音をたてないように神経を研ぎ澄ます。
目的地に到達すると同時にしゃがみこんでチラッとリビングを覗きこむと、ソラはソファーに寝転んで不機嫌そうにテレビを見ていた。
「状況は最悪か……」
間違いなく今帰ったらヤバいことになるだろう。機嫌が良かったら首閉められるぐらいで済むと思うが機嫌が悪い時には……腕一本で済めばいい方だと思う。
「なんか、面白くなってきましたね」
「……って、ナナちゃん!?なんでついてきてるの!?」
隣を見てみるとナナちゃんが横で姿勢を低くしてソラの様子をうかがっていた。
「しー!カイトさん、見つかりますよ?」
その言葉で冷静になり……というかどうやってもナナちゃんを振り払えないのが分かったので諦めた。
「で、どうするんですか?」
ナナちゃんが小声で聞いてくる。ソラに見つかる可能性を減らすためにそうしたのだろう。なので俺も小声で返答する。
「これから、operation 実は16時には帰ってきてました大作戦!を実行する」
「……いや、その内容を聞いてるんですけど……」
「しまった。ナナちゃんはこのoperationは初めてなのか……ソラ対策作戦17式!この作戦は、俺の帰りが遅くなった時に実は16時には帰って部屋にずっといたってことにすることだ。この作戦を実行するにはまず気づかれないように部屋に戻ることが大前提である。なので、今から俺の部屋に気づかれないように移動する。だから……手伝ってくれ」
手が勝手に動き、隣にいるナナちゃんの手を握ってしまう。ナナちゃんの手は小さくて柔らかくて綺麗だった。そして、ナナちゃんの方に顔を向け、直視する。初めはビックリし目を背けさっきから照らしている太陽が暑いせいか心なしか顔も赤かった気がするが、しばらくして恥ずかしそうに横目で俺の方を見てきた。
「そ、そんなに頼まれたらしょうがないてますね。何すればいいんですか?」
ナナちゃんが手伝ってくれるぞおおおおおおおおお!!やった!これで怒られる可能性が減る!
「ただソラと会話してくれるだけでいいから」
「え?それだけでいいんですか?」
「もちろん、それだけでも大助かりだから!」
「分かりました、行ってきます」
「よろしくー」
しかしナナちゃんは立とうともせず、一向に立とうともしない……その代わりに何やらもじもじとしだした。今日のナナちゃんの服装は子供らしい白色のワンピースなのでもじもじする度にスカートが少しずつめくれていって胸の鼓動が高鳴る。
そして、口をパクパクしだす。顔をみるとほっぺ、耳とほとんどの部分が赤色に染まっていた。ようやくパクパクしていた口から音が聞こえた。
「……か、カイトさん?あの……その……そ、そろそろ……手を……」
「……手?」
ナナちゃんに言われて手の方に目線を下げると、頼み込んだときに繋いでしまった手をまだ握ってしまっていた。
「あ、ごめん」
なんか、ギャルゲーの主人公みたいだな、と思いつつ握っていた手を話した。手を離すときにもっと握っていたいと思う自分がいた。
「い、いや、だいじょうぶですぅ……暖かかったですし……」
「え……今なんて?」
後半の部分が聞こえなかったので聞き返したが答えるはずもなく、はぐらかされた。
「では、行ってまいります!」
「ねぇ、行くってどこへ行くの?」
あれー、おっかしいなー!この声、どっかで聞いたことあるなー。毎日聞いていたような声ににてるなー。しかも、ガラガラとなんか開くような音したなー。なんで、テレビの音がハッキリと庭で聞こえるのかなー。
恐る恐る声のした方を見てみると真っ黒なオーラを纏ったソラが仁王立ちしていた。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
その姿だけで処刑されると直感した。もう、いっそ素直に謝った方が被害が少ないのだろうか?その可能性にかけてしまった方がいいのだろうか?
「すま……」
俺が謝ろうとした声がある声でかき消された。
「どこにって何言ってるんですか?カイトさん。ソラさんと会話して注意を引き付けてる内にカイトさんが部屋に行って、上手くソラさんを騙すんですよね?なので、ソラさんの注意を引き付けに行ってくるんですよ」
おおおおおおおおおおおおい!!本当に気づいてないの?声の高さで俺じゃないってわかって欲しいんだけど!!何もかも全てしゃべりやがってええええええええええええ!!
「なるほど、そう言うわけか……お兄ちゃん、素直に謝れば済んだのにね?……骨7本で……」
「そ、ソラさん!?私、もしかしてやっちゃいましたか?」
聞くまでもなくやっちゃいました。
「で、でも骨7本って冗談ですよね?」
冗談だと信じて聞き逃してたのにもう一度言わないで!!怖くなるんですけど!!
「そんな訳ないじゃない。正直に謝ってないんだから10本だよ」
「え、え!?いや、いやな?俺も謝ろうとしたんだよ?……で、でもな……」
必死に誤解を解こうとしようとしたものの言葉が上手く思い付かず、でるのは大量の汗がばかり。こうなったら1本でも少なく俺の骨を折らさないように努力するが……
ソラのボディーブローが飛んできて骨が折れる感触がする。
「あと、9本。」
どうやら、無駄な努力のようだったようですね。




