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「取締役、本日、宇月グループへ行って春川本部長にアポイント取ってきます」
「よろしく頼む」
YNMTのNnシリーズを佐川グループのブライダル部門に使えるようにお願いする事になっている。
こちらも本部長を行かせた。
宇月グループは現在、会長は名前だけ残して、孫の春川優真社長、湊本部長が実質動いている。
2人ともかなりのやり手なのですんなりとはいかないかもしれない。
「今日の会食で、春川社長もいらっしゃるかもしれません。」
「俺の方でも何とか接触してみるよ」
寧々から晩御飯を祖父母の家で食べると連絡が入った。
俺が調べた時に孤児だと聞いたが、俺の祖父母から、寧々の祖父母は生きているといわれた。しかも祖父が若い時に凄くお世話になった相手だそうだ。
事情があり中々会いにも行ってないみたいだったのといつも家の事を頑張ってくれていたので、ゆっくりしてきて貰いたかった。
俺も会食で遅くなるので、【ゆっくりして来たらいいよ】とLINEの返事をした。
今日の会食は佐川グループ、宇月グループ、四宮グループの大手3社が集まっていた。
四宮グループは社長と秘書、佐川グループは俺と颯、宇月グループは副社長と社長秘書が来ていた。
早速、宇月グループに今日本部長とアポイントを取った件で話をした。
「東堂副社長、お久しぶりです。今日は弊社の佐藤が春川本部長とお話させて頂きありがとうございました。」
東堂翔太29歳、既婚者、子供1人。愛妻家てしても有名だ。
「いえいえ。佐川取締役、わざわざありがとうございます。社長の春川より、御社には良い返事が出来るようにデザイナーNnと検討します。との事でした。今日は春川が外せない予定が入ってしまい欠席となりすみません。」
「いえいえ、こちらこそ検討頂けて嬉しく思います。と伝えて下さい。」
本部長が、頑張ってくれたのかいい返事が貰えそうだ。
会食は和やかな雰囲気で進んだ。
話題が俺の結婚の話になった。
「佐川取締役、ご結婚されたと聞きましたが、奥様はどのような方ですか?」
東堂副社長が聞いてきた。
「私も気になっていました。ご両親を早くに亡くされたとか?」
四宮奏27歳、既婚者、現在夫人が妊娠中だ。そして春川社長と幼なじみだ。
「そうなんです。でもとても明るく、心の優しい人です。いつも毎日、私も癒されてます。」
寧々の事を考えると顔が綻んでしまう。
「その笑顔を見ると仲良しみたいですね」
四宮社長が言う。
「春川の方がお祝いを贈りたいと申しております。奥様の方にも……。奥さまの好きな物はなんでしょうか?」
俺は考えてから言う。
「春川社長から、お祝いを頂けるなんて光栄です。妻は御社のNnシリーズの四季コレクションが好きだと言っていましたのでそちらでもよろしいでしょうか?」
「承知しました。春川に伝えておきます」
外で酔いを冷ましていると、四宮社長が電話をしていた。
相手の名前はわからなかったが、寧々ちゃん、コレクションの、ワードが聞こえてきた。
「寧々?俺の寧々の事か?でも四宮社長と寧々に接点なんてないよな?」
俺は聞き間違いだとおもった。
「優真、お前の妹の旦那、本当に妹の事好きじゃないないのか?あの顔はかなり惚れてると、思うぞ。」
「探ってくれ」
「へいへい。いい加減、妹離れしないと妹ちゃんに嫌われるぞ……。」
「うるさい」
「じゃあな」
四宮社長が戻ってきた。
「佐川さん、ちょっとお聞きしたいんですが、奥さんのどこが好きですか?」
「そうですね……。笑顔が可愛い、料理が上手いところ、優しい所ですかね」
「へぇ……。ラブラブですね。」
「そうですね。確かにラブラブですね。」
東堂副社長も話に入ってきた。
「不躾ですが、夜の回数は何回ですか?ちなみにうちは週4です。」
「うちは妻が妊娠中なんで週1ですが、妊娠する前は1日おきにしてましたよ。」
「さすが、奏くん。」
「可愛い奥さんの風呂上がり姿見たら止まります?無理でしょ?本当は毎日でも出来ますけど、それは勘弁してくれって言うから1日おきなんですよ。」
「佐川さんは?」
「うちは毎日してます。一度に最低でも3回はしてますね。」
「元気だね~俺も結婚当初は確かに毎日してたな。子供できて、奥さん育児に疲れて拒まれてるからなぁ。なるべく家事、育児もするようにしてるけど奥さんの方が上手いから疲れちゃうんだろな……」
「優真が言ってたけど、翔太さんの奥さん、凄く感謝してるって夫人に言ってたらしいですよ。」
「それ本当に?良かった。最近冷たいような気がしてたんだよね」
「奥さんに嫌われたら生きていけないですよね。」
2人とも愛妻家みたいだ。
俺も確かに寧々に拒まれたら生きていけないかもしれない。
もっと寧々を大事にしようと心に決めた。
「佐川さん、新婚の今ですよ!奥さんを独り占め出来るのは……子供できたらやっぱり子供優先になるから」
「肝に命じます。妻に嫌われたら生きていけないですね。流石に……」
「そういうば佐川さんは初恋の女の子が今でも好きだって噂がありましたが……」
四宮社長が聞いてきた。
華蓮だと勘違いされてた件か……。
「その初恋の女の子が妻です。」
「「え?!」」
2人が驚いて声をあげる。
「7歳の時に出会ったんですが、その後から会えなくて、たまたま佐川グループにいる事が分かってプロポーズしたんです。」
「へぇ?そうだったんですね。」
「確か、噂になってましたよね?後、佐川さんも遊んでましたよね?」
「あの時は……反省してます。噂になった女も長かっただけで遊び相手でした。」
俺は今までの自分のした事を恥ずかしく思っていた。
いくら今、寧々に本気だっていっても過去、遊んでいた事は消せない。
寧々に似合う人になれるように俺も精進していこう。
会食がお開きになる頃には皆、下の名前で呼び合うほど打ち解けていた。
「またプライベートでも飲みに行こう!紫苑くん。」
「こちらこそ!楽しみにしてます。翔太くん、奏くん。」
颯の運転する車に乗って家に帰る。
こんなに気持ちよく飲んだ会食は初めてだった。
家に着いて車を降りようとしたら抱き合っている男女を見かけた。
目を凝らしてみると……
え?
寧々だった。
俺の体の血液が一気に引いていった。
近くにいた颯に言う。
「あの男は誰だ??」
「あれは、春川本部長だよ。宇月グループの……」
「なんで、春川本部長と寧々が一緒にいるんだ?」
拳を強く握り過ぎてて手のひらから血が出てきた。
寧々が浮気?
そんな訳ないって思いたいのに2人の親密な雰囲気が俺の思考を悪い方に進ませる。
しかも、満面の笑顔……。
嫉妬で狂った。
あの笑顔は俺だけの物だろ。
ドロドロしたものが溢れていく。
家に入ってから俺は止まらなかった。
泣き叫ぶ寧々を無理やり抱いてしまった。
「なんで!他の男と抱き合ってるんだ、あの男とはどういう関係なんだ!」
「ごめんなさい。今は話せないけど、いつか話すから。でも、私は紫苑くんを裏切ってないからそれだけは信じて欲しい。」
「分かった。激しくしてごめん……。俺の事嫌いにならないで」
「嫌いにならないよ。大好きだよ♡」
「寧々……」
もう一度した。今度はやさしく包み込むようにエッチした。




