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「おーい赤ちゃん!早く出ておいで!僕が遊んだあげりゅよー」
潤也くんと美沙さんが遊びに来ていた。
潤也くんは会ったらこうやってお腹に向かって話しかけてくれる。
「潤くん、会いたいのは分かるけどまだ産まれるには早いからね」
「はーい!分かったよ!ママ~」
美沙さんと潤也くんの掛け合いを見ててほっこりする。
潤也くんはしっかりしてるがまだら行が言いにくいみたいで舌足らずな可愛らしい言い方だった。
「ねねちゃんも早く会いたいね~?」
「うん!ねねちゃんも早く会いたいよ!」
「しーくんも会いたいね~?」
「しーくんも会いたいよ!このこの!かわいい子め!」
紫苑くんも潤也くんが可愛いみたいで、よく二人で遊んでいる。
「おいおい!最近パパと遊んでくれないな~潤!」
「パパとはお家で遊べるから~しーくんはここだけだもん!」
ほっぺを膨らませてプンプンしてる潤也くんは本当に可愛い♡
私たちの子供は女の子だけど、男の子でも可愛い♡
とよく紫苑くんと話をしていた。
最近は大きくなったから胃を圧迫していて食欲が減少している。
美沙さんから産まれたらなかなか出来ない事、行けない所を聞いたので紫苑くんと行っている。
妊娠も35週に入り、いつでも出産しても大丈夫と言われたため、ウォーキングをしている。
後は中腰で拭き掃除もしている。
これで出産の時に楽になるらしい。
今日は紫苑くんと赤ちゃんの買い出しで足りてないものをチェックしていた。
「何か楽しみでドキドキしてきた。」
「紫苑くんも初めてだからドキドキするよね」
「沐浴は赤ちゃん教室でしたから俺がするからね」
紫苑くんは、産院で助産師さんがしていた赤ちゃん教室に必ず参加していた。
イケメンのパパだったので皆から人気だった。
いつも嫉妬していた。
どこに行っても紫苑くんは人気者…
嬉しい反面、私だけにして欲しくて拗ねていた。
「こらこら!俺は寧々だけだよ♡」
「分かってる!分かってるけど…」
抱きしめてキスされた。
「あ!今、ぽんぽこ蹴ってる」
「すごい!お腹ぐぬーって出てきたよ」
もう臨月に入ってるからお腹も凄く大きくなってきた。
これは足なのかな?
蹴る度にお腹の形も変わっていた。
毎日歩いているが産まれる気配がなかった。
とうとう出産予定日になってしまった。
陣痛も来ない…
ドキドキする。
紫苑くんも気にして電話をくれたが、予兆もなかった。
次の日も何もなく…
1日歩いたり、掃除したりした。
「まだママのお腹の中にいたいんだよ!」
紫苑くんが優しく頭を撫ぜてくれた。
「うん…そうだね!」
私は紫苑くんに抱きついた。
ミントのいい匂いが鼻をくすぐる。
「紫苑くんの匂い大好き♡」
「俺も寧々の甘い匂いだいすきだよ♡」
夜中の1時にお腹が規則的に痛みだした。
間隔をはかるけど30分に1回だった。
きっと気にしすぎかなと思っていると…
凄い回数のトイレへいった。
もしかして?
美沙さんも本陣痛が来るまでに何回もトイレに行っていたと聞いた。
私は念の為出産の時に付けるナプキンを大きくした物を付けた。
時計の針は3時をさした瞬間……奴は来た。
腰をバットで殴られたのでは?という位の痛みがはしる。
思わず私は声を出してしまった。
「いったーい!!!!」
私のあまりの大声に紫苑くんも目が覚めたらしい。
「陣痛きたの?大丈夫?寧々?産院に電話しようか?」
「いだ!間隔5分?いたーい」
紫苑くんが産院に電話をかけてくれた。
「寧々、助産師さんがすぐに来てくれって行ってるから行こうか!」
あらかじめ準備していた荷物を持って先に紫苑くんが車を玄関先に寄せた。
私は何とか階段を降りて車に乗り込む。
紫苑くんが運転してくれて産院へ向かった。
その間に兄と両親に連絡をしてくれた。
夜中だからまた産まれたら連絡すると伝えてくれた。
「寧々?大丈夫?」
「うん…」
せっかく紫苑くんが話しかけてくれたがなかなか返事出来ない。
産院について、何とか歩いて行く。
すぐに分娩台へ上がる。
子宮口はまだ7cmだった。
10cmまでまだまだだった。
助産師さんが子宮口の長さをはかるのが痛かった。
陣痛よりもそれの方が痛かった。
いきみ逃しをしたり、息を長くはいたり忙しかった。
紫苑くんが色々してくれた。
背中をさすってくれた。
「大丈夫だよ。俺がいるからね、一緒に頑張ろう」
その言葉だけでも嬉しい。
また助産師さんが子宮口の長さを測ったが、8cmだった。
初産は時間がかかると聞いていたが、1時間たったのにまだ8cmだった。
私に似てゆっくりなのかも…
初めはプラスに考えていたがなぜか悲しくなってきた。
紫苑くんに弱音を吐いてしまう。
「どうしよう…このまま産まれなかったら」
涙がぽろぽろこぼれる。
「きっと本当にママの事が大好きなんだよ。大丈夫だよ。でもどんどん気持ち言ってね。俺が受け止めるなら。ねぇ?」
「分かった。ありがとう…」
本当にいい旦那さんだなって思う。
涙が溢れてくる。
背中をさすってくれた。
「うーんーいたいよー」
息をはいていく。
9cmまで開いた。
大きく長く息を吐く。
中からズンズンと押してくる様な感じがした。
突然激痛がはしる。
「いたぁーい〰️」
助産師さんが来て言った。
「胎児の頭が出てきてます!次の陣痛の波が来たらきばって下さい。」
陣痛がきた。
うぅーんと気張る。
頭が抜けた。また気張ると右と左と順番に肩が出た。
最後にまた踏ん張る。
ズルっと何かが出てきた。
紫苑くんが「産まれたよ、寧々」と言った
「元気な女の子が産まれましたよ」と助産師さんが言うと「おぎゃー」と声が聞こえた。
私と紫苑くんは安堵の気持ちで満たされた。
沐浴をしてくれて、綺麗になった赤ちゃんが私の胸元にきた。
必死におっぱいを吸っていた。
教えて貰ってないのに生きようと頑張って吸おうとする事に感動してしまった。
紫苑くんも同じ気持ちだったみたいで、「生きるってすごいね」と言った。
後処理が終わってから病室に戻って来た。
「紫苑くん、付けたい名前があるんだけど…」
「寧々、実は俺も付けたい名前があるんだ。ふたりで一緒に言おう」
二人で一緒のタイミングで子供の名前の書かれた紙を出した。
お互いを見て笑顔になった。
【高崎美海】漢字まで一緒だった。
あの美しい大きな海のように色んな可能性に挑戦して行って欲しい。
そしていつか私が紫苑くんと出会えた様に本気で愛する人に出会えます様に…
「紫苑くん♡私、貴方に出会えて恋に落ちて愛し合えた事本当に幸せだよ。」
「俺もだよ♡これからも美海と一緒に幸せになっていこうね。愛してるよ寧々」
私たちはお互いを強く抱きしめた。
紫苑くん大好き。
ずっっと愛してる。
これからもずっと傍にいてね。
退院してからも紫苑くんは積極的に美海のお世話をしてくれた。
「美海ちゃん♡いい子だね!可愛いね」
私の兄弟達も美海にメロメロだった。
勿論、両親と姉もメロメロだった。
小川家、特に潤也くんが、よく面倒を見てくれた。
「美海ちゃん!歩ける様になったらもっと遊ぼうね」
皆の愛で美海はすくすく大きくなった。
そんな美海も私と紫苑くんが再開した25歳になった。
「パパ、ママ、私、潤くんにプロポーズされたの♡」
美海と潤也くんの結婚が決まった。
2人が挨拶に来てくれた。
「潤くん、ずっと美海を守ってくれてありがとう。幸せになってね」
「はい!幸せにします。」
幸せそうな2人をみてこっちまで嬉しい気持ちになる。
紫苑くんが抱きしめてきた。
「これかもよろしくね愛しい人」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
暖かい日差しの中いつまでも幸せな二人だった。
~寧々編 終わり~




