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寧々がいなくなってから3ヶ月が経っていた。
最後の電話で流産したと言っていたが俺は信じていなかった。
寧々は元気しているだろうか?
お腹も大きくなっていると思う。
しんどい思いをしていないだろうか?
後藤華蓮はあの後、色々罪が暴かれていって、警察に逮捕された。
やっと……
後藤華蓮の事は片付いたが、株は下落していた。
今、その後始末に追われている。
寧々の居場所は分からなかった。
義兄達も分からないとの事だった。
本当に俺と別れるつもりなんだろうか?
毎日冷たくなった寝室の空気が俺に突き刺さる様だった。
ベットに寝転がり寧々が残したワンピースを抱きしめる。
「寧々……帰ってきてくれ」
涙が頬を濡らしていく。
寧々がいない生活なんて耐えられなかった。
それから何週間か経った頃、颯が急いで部屋に入ってきた。
「取締役、高崎グループの高崎会長がお会いしたいそうです。」
高崎グループ?
北の地域で幅をきかせている、大きな財閥だった。
なんなら佐川グループ、宇月グループよりも大きな会社だ。
「なんで?高崎会長が?」
「取締役指名で、話があるそうです。」
「分かった。応接室へお通ししてくれ」
「承知しました。」
応接室で持っていると高崎会長が入ってきた。
「お忙しい所、すみません。佐川取締役」
「いえ、こちらこそわざわざありがとうございます。」
「今日、お会いしたのは下落している株を買い取らせて貰いたくて来ました。そして上場しているうちの株をそちらに買って貰いたい。」
「こちらはありがたいですが……面識なかったのにどうしてですか?」
「娘のためです。」
娘?
高崎グループの娘といえば俺と同い年の高崎百々さんだったか?
特に知り合いでもないのだが?
「間違っていたらすみません。娘さんとは面識ないと思うんですが……」
「長女ではありませんよ!次女とです。」
次女?
確か赤ん坊の時に行方不明になっていたはずだが……
え?
もしかして……
俺は頭の中である人物の顔が浮かんだ……
その人物は……
俺の愛する寧々だった。
「もしかして……寧々の事ですか?」
「さすが小さい頃から神童と呼ばれていた佐川紫苑くんだね。そう、君の大切な奥さんは私にとっても大切な娘なんだ。」
「寧々は元気してますか?子供は?」
俺は食い入るように聞いていた。
「どちらも元気だよ。今は北の海にかこまれた地域で住んでいるよ」
俺は安堵の気持ちでいっぱいだった。
寧々も子供も元気で良かった。
「紫苑くんと呼んでもいいかな?」
「はい!僕もお義父さんと呼んでもいいでしょうか?」
「もちろんだよ。ここからは紫苑くんにお願いがあるんだ」
お義父さんが険しい顔をした。
「高崎会長とは、どんなに話をしたんだ?」
颯が話しかけてきた。
俺の顔色を見て心配の顔をしていた。
「春川社長と春川本部長にアポをとってくれないか?」
「わかった。もしかして奥さんの事か?」
「ああ」
落ち着いた料亭で2人と待ち合わせした。
「お義兄さん、どうしたんだ?」
湊くんが聞いてきた。
「実は……」
俺は今日の事を話した。
お義兄さんも険しい顔をした。
「高崎グループの令嬢だったとは……」
「俺の一存では決めれないのでお2人を呼びました。」
「俺は寧々が変えたいなら構わない」
「俺も兄さんと同意見だ」
2人とも俺と同じ意見だった。
「寧々が変えるなら紫苑くんも苗字が変わってしまうけどいいのか?」
「それに関してはおじい様に尋ねたんだ。おじい様は俺が後継者として佐川グループに残るなら苗字が変わっても構わないそうだ」
久しぶりに3人で飲んだ。
家に帰り、寧々と撮った写真を眺めながら写真の寧々にキスをした。
早く会いたい。
今度の休みに会いに行くつもりだ。
寧々は喜んでくれるだろうか?
なんで来たの?って言われないだろうか?
酒も入っているからか弱気な気持ちでいっぱいだった。
泊まる用意をして、車で出発した。
寧々に会いたい気持ちがいっぱいだった。
でも胸の高鳴りも凄かった。
お義父さんから聞いた寧々の住所に着いた。
可愛い丸みのある家だった。
寧々らしい……
チャイムを鳴らそうかどうしようか悩んでいたら中から妊婦さんが出てきた。
久しぶりに見る愛しい奥さんだった。
20年ぶりに会った時と同じく胸がはげしくドキドキ鳴った。
掠れた声で言う。
「……寧々」
寧々がこちらを向いて大きな可愛い目から涙が零れた。
「紫苑くん……」
両手で顔を抑えている。
「会いたかったよ」
俺が言うと頭をコクコクと上下に動かしながら言った。
「わ……わたしも……会いたかった。とっても…不安で寂しかった」
俺は寧々を抱きしめていた。
「これからはもう離さない、いい?」
「うん……」
今にも消えそうな声で寧々が言った。
涙が流れる目尻にキスをする。
そして唇にもキスをした。
寧々だ。
ずっと会いたかった寧々がここにいる。
それだれで幸せに満たされていた。
「ごめんね、勝手に出ていって」
「あの時はこれが1番よかったんだよ!あのままあそこにいたら後藤華蓮が寧々とこの子を傷つけてたかもしれない」
「うん」
寧々はまだ泣いていた。
「もう泣かないで、俺の可愛い奥さん♡」
甘い雰囲気にしてみた。
キスをする。
とびっきり甘いキスを……
「すき♡大好き紫苑くん……」
「俺も大好きだよ♡」
「あの……」
「どうした?」
寧々が上目遣いでチラチラ見てくる。
「私って今でも紫苑くんの奥さん?」
離婚届を書いたからそれを心配してるのかな?
「勿論だよ!俺の奥さんは未来永劫、寧々だけだよ」
「わかった。後、お父さん?から聞いたと思うんだけど……」
「寧々が高崎グループの次女だったなんてびっくりだね」
「うん、私もびっくりした。で……名前なんだけど……」
言いにくそうにしている。
優しい寧々は俺の事を心配しているんだと思う。
「俺は高崎の姓になっても構わないよ」
「でも……佐川グループは?」
「おじい様にも了承得たよ。おじい様は俺が今後も佐川グループの取締役やら苗字が変わっても問題無いらしいよ」
「そっか」
やっと寧々から安堵の色が見えた。
月曜日にでも変更しに行こう。
「うん。」
久しぶりに抱きしめ合ってねた。
休み明けに俺と寧々は苗字の変更に行った。
今日から俺たちは高崎紫苑、寧々になった。
高崎の本邸へ行った。
お義父さんと寧々にそっくりなお義母さんとお義姉さんが迎えてくれた。
「紫苑くん、ありがとう」
お義母さんは泣いていた。
寧々から子供の時から大好きだった人と俺の事を聞いていたらしく、凄い歓迎してくれた。
「苗字の方、高崎に変更しました。ただ住むのは今までの所が良いのですがよろしいですか?」
「もちろうだよ!こちらも我儘を聞いて貰ってありがとう」
「後、寧々さんと話し合ったんですがこの子が産まれたらもう一度結婚式をあげようと思います。お義父さん、お義母さん、お義姉さん、新婦の家族として出席お願いします。」
「勿論だよ」
3人とも嬉しそうだった。
寧々も笑顔だった。
帰り道にキラキラ輝く美しい海を二人で眺めた。
「紫苑くん」
「うん?」
「この美しい大きな海の様にこの子の人生も果てしなく可能性に満ちて欲しいね」
美しい寧々の横顔をみながら俺は後ろから抱きしめた。
「うん。そうだね……俺たちの子供は可能性でいっぱいだよ」
俺は寧々にこの家を残しておこうと提案した。
元執事長だった要の祖父にここを管理してもらう様にお願いした。
我が家に戻ってきた。
「やっぱりここが私の家だね」
嬉しそうな事を言ってくれる。
俺も笑顔でいっぱいだった。
数週間後、家の近くにある一家が引っ越してきた。
挨拶にきた人を見て驚く。
「紫苑!久しぶりだな?え?!百々ちゃんの妹って紫苑の奥さんだったのか?」
大学の同級生で仲の良かった小川潤平と奥さんの美沙さん、息子の潤也
くんだった。
「潤平!久しぶりだな!俺も驚きだよ」
「小川さん、お久しぶりです」
「寧々さんまた会えて嬉しいです。」
「私もです!美沙さん、潤也くん」
「赤ちゃんー早くあしょぼー」
潤也くんに皆で癒された。
「潤也くん、この子女の子なんだ、産まれたら ナイトになってくれる?」
俺は聞いてみた。
「うん!ぼく、ないちゅに、なりゅよ」
可愛いナイトに癒されながら皆でほっこりした時間を過ごした。




