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第26話 闇森の襲撃

王都アルディアの北方――


ノクス=ヴェルディアの森の夜の闇がすっかり深くなった。


冷たい風が、瘴気と一緒に木々を揺らしていた。


「……不気味なほど静かだな」


アルが呟く。


その横で、エリオスが杖を握っていた。


「静かすぎます」


緑色の短い髪が夜風に揺れる。


「フェルが言っていた“古い闇の気配”が潜んでいるのでしょうか?」


アルは肩をすくめた。


「さあな」


「早く魔道院の調査隊を探さないとだな」


エリオスの胸がざわつく。


「みんな無事だといいのですが」


その後ろで、リナとレオンが周囲を警戒している。


『死臭が強くなってきているな』


フェルが低く呟く。


前後で王都騎士団の小隊の騎士たちも警戒している


だが――空気が重い。


夜の闇だけでなく、瘴気を纏う不気味な闇で辺りの様子が見えない。


森の奥から、何かの気配が流れてくる。


その時ーー


ガサッ。


「!」


地面が揺れる。


次の瞬間――


森の闇から巨大な影が飛び出した。


「来た!」


騎士が叫ぶ。


姿を現したのは先ほどよりも巨大な蜘蛛。


全長三メートル。


骨のような白い脚。


赤く光る八つの目。


「な、なにあれ……!」


リナが声を漏らす。


エリオスが息を呑む。


「……骨蜘蛛」


「魔導院の資料で見たことがあります……」


「滅んだはずの魔物が……なぜ」


骨蜘蛛ボーンスパイダーーー


古代魔物ーー毒と糸で獲物を狩る、厄介な存在。


そして――


一匹ではなかった。


ガサガサガサガサ。


森の奥から次々と現れる。


「五匹……!」


「いや、もっとだ!」


騎士たちが剣を抜く。


レオンの声が響く。


「陣形!」


「リナを守れ!」


「はい!」


戦闘が始まった。


骨蜘蛛が一斉に跳ぶ。


「来るぞ!」


騎士の一人が斬りかかる。


だが――


カンッ!


剣が弾かれた。


「硬い!?」


骨の甲殻。


普通の剣では通らない。


次の瞬間。


ビュンッ!!


白い糸が飛ぶ。


「ぐっ!」


騎士の一人が絡め取られた。


「動けない!」


絡まれた騎士の顔が紫色を帯びてくる。


「毒です!」


エリオスが杖を掲げる。


「風よ……!」


「エアソル!」


風の刃が骨蜘蛛と騎士を繋ぐ糸を断ち切る。


だかーー


「多すぎる……!」


その時だった。


一匹の骨蜘蛛がリナへ飛びかかる。


「!」


距離が近すぎる。


エリオスが杖を構えるが、間に合わない。


「リナ!」


エリオスが叫ぶ。


骨の脚が振り下ろされる。


その瞬間、黒い影が前に出た。


レオンだった。


キィン――


剣が閃く。


次の瞬間ーー


骨蜘蛛の体が――


真っ二つに割れていた。


ズドン。


地面に崩れ落ちる。


レオンは剣を軽く振って血を払う。


「大丈夫か、リナ」


レオンがリナの前に立ち、まっすぐに前を向きながら、剣を構える。


「無茶はするな、俺が全部守る」


リナはほっと息を吐く。


「ありがとうレオン……」


そしてーー


次の瞬間、さらに三匹の骨蜘蛛が同時に飛びかかる。


普通なら避けられない。


だが――


レオンの体が高く舞った瞬間、消えた。


キィン!


キィン!


キィィン!!


三回の斬撃。


それだけだった。


三匹の骨蜘蛛が同時に崩れ落ちる。


騎士たちが息を呑む。


「団長……」


「強すぎる……」


深い闇にレオンの残像が舞っては消えていく。


だがーー森の奥、巨大な影が動く。


「……団長」


アルが言う。


レオンが頷く。


「ああ」


森の奥から現れたのは――


さらに巨大な魔物だった。


骨蜘蛛の親。


体長六メートル。


「母体……!」


エリオスの胸がざわつき大きくなる。


その時ーー重なる木々と瘴気の間。


月の光が差し込み、森の中の様子が明らかになる。


森の木々からぶら下げる奇妙な白い物体。


白い物体の中には、激しく損傷しているものがある。


「あれは……なに」


リナが震える。


そしてーーエリオスの胸が鼓動が激しく音を立てる。


胸がざわつく。


そしてーーこの戦いが、


1人の少女の運命を変わることを、


誰も知らなかった。


第26話 終わり

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも続きが気になったら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次回もぜひ読んでいただけたら嬉しいです!

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