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第二話

 第二話 

 

 

 手紙の返事を書くや否や、入学試験の内容が書かれた案内が届いた。

 

 レインは案内を握りしめ、屋敷の父の書斎で悩んでいた。

 

 机に座り肩肘をつき入学試験の内容を眺めながら呟く。

「貴族ながらに畑仕事に針仕事、家の補強、頼まれたらなんでもやってきたけど、これは難しいなあ。はあー。」

 

 大きなため息を吐いた後、レインはもう一度読み返す。

 そこにはこう書かれていた。

 

 竜帝国 竜騎士学校入学試験案内

 

 入学条件

 身分は問わず、十六から二十二の男子もしくは女子のみ。

 

 試験は実技と筆記を実施

 一実技 模擬刀を使用した実践および水晶を用いた魔力測定

 二筆記 竜帝国の歴史および竜の知識について


 ここまで読んでさらに深いため息をつく。

 

「はああーー。筆記試験は勉強すればなんとかなるとして、剣なんて扱ったことないのに、どうしよう」

 

 幸い、この家にはレインが勉強できるだけの本がある。問題は実技だ。

 

 腕を組み片手を顎に当てながら、考えるレイン。

「とりあえず、村の人たちに剣が扱える人がいるか聞きに行こうかな」

 

 レインは考えるより先に行動する性格だ。貴族にしては質素な服装の上にコートを羽織り、愛用の革の鞄を肩にかけ、屋敷を後にした。

 

 村へ行く道すがら黄金に輝く小麦畑を見て、レインは嬉しそうに呟いた。

「今年は無事に収穫できそうでよかった。」

 

 しばらくすると一軒の民家に辿り着く。

 

 家の扉は開いていたため覗くと1人の女性を見つける。

 レインは入口から明るい声で挨拶をする。

「マーゴさん。こんにちは!」

 

 マーゴという女は振り向き、少し驚いた様子だった、しかし、レインの顔を見るとたちまち笑顔になる。

「あら、どうしたんだい、レイン様。今日は人手は足りてますよ」

 

 レインは暇さえあれば、領民の仕事を手伝っていた。

「実は、聞きたいことがあってきたんです」

 レインは事情があって剣を教えてくれる人を探していることを説明する。


「そうねぇ、ここらに剣の使い手はいないけれど、、。最近村のはずれに越してきた男がいるんだけどね、レイン様に紹介するにはちょっと、、。」

 そう言いながら、眉を顰めて悩んでいる様子だった。

 

「どんな情報でもいいのよ。剣を教えてくれるなら。」

 

 マーゴは一瞬ためらう様に口を開けてまた閉じてしまう。

「お願いします。この領地を守るために必要なことなんです。」

 そう言い終えると、レインは胸に手を添え頭をさげる。

 

 それを見たマーゴは目を見開き、驚いた様子でレインを止める。

 

「やめておくれ!ちゃんと教えてあげるから。」

 レインは顔を綻ばせ、笑顔を見せる。

「ありがとう。」

 

「レイン様はほんと、人たらしだねぇ。」

 

「実はね最近、越してきた男がいるんだけど、どうにもちょっと怪しくてね…。帝都で騎士をやっていたって話しだが、顔半分と両腕に包帯を巻いているんだよ。」

 

 そう言って元騎士だという家を教えてくれる。

 心配している顔でマーゴは言う。

「気をつけて行くんだよ。何かあったら逃げて、助けを呼ぶんだ」

 

 それに対し、安心してもらえるようにレインは笑顔で返す。

「心配してくれてありがとう。行ってきます!」

 

 レインは民家を後にし、村のはずれにある家に向かった。

 

 元騎士を名乗ってはいるが、訳ありだとしたら危険かもしれない。

 

 そう考えてレインは無意識に鞄に手を伸ばす。中には護身用の短剣が入っているからだ。


「何も起こらない。話に行くだけ。」

 

 自分を安心させるように独り言を呟く。

 

 舗装された砂利道を通り過ぎ村を隔てる森まできた。

 

「ここら辺だと思うんだけどなあ」

 

 しばらく辺りを散策しながら元騎士だという者の家を探す。

 

 鬱蒼とした木々に囲まれた、小さな丸太小屋を見つけた。

 

 あたりには湿った土の匂いが立ち込め、時折、枯れ葉が擦れ合うカサカサという音だけが響いていた。

 

「ここかなぁ?」

 

 村のはずれに住んでいるとは聞いたが、ここで何かあったとしても叫んだところで誰も助けには来てくれまい。

 

 そう考えてからレインの背筋がひんやりしてきたのを感じた。

 

 しかし、ここまで来たからには引いてたまるか。

 そう決心して、気合を入れるため両頬を叩く。

 そして、お腹から声を出すレイン。

「よっしゃ!ごめんくださーい!どなたかいらっしゃいますかー!」

 レインはこの選択をすぐ後悔する事となった。 

 

「うちに何か用か」

 そういって声の方を振り向くと、首にヒヤリとした感覚で動きを止める。

 後ろにいる何者かが、レインの首に剣先を当てていた。

 レインはまずいと感じたが、出来る事が限られていた。

 

「あ、あのー話だけでも聞いてください!」

 上擦った声で必死に叫んだ。

 


 

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