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美少女クシナちゃんの雑貨屋~呪いしか鑑定できませんが、問題あります?~  作者: なすちー
第三章 呪物消失編

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46 クシナちゃん招待される2

「ふー」


 喉も潤ったことだし、本格的にここがどこなのかを調べなくてはいけない。


 私は立ち上がり、ローブの(すそ)を軽く払ってから、あらためて周囲を見回した。

床には、相変わらずいろいろな呪物が乱雑に置かれている。


 最近みんなが噂していた、呪物がなくなるという話。もしかして、それらはここに集められているのだろうか。

 私はゆっくりと歩きながら考える。


そもそも物理的に誰かに運ばれたのだとしたら、いくらなんでも途中で気づいて起きるはずなのだし。


「結局のとこ、よくわからないのよね」


 私はそう独り言をこぼしながら、ゆっくりとした足取りでまわりの様子を眺めた。

すると、部屋の隅の方にひとつの扉があるのが目に入った。


 私はその扉の前まで歩み寄ると、そっと手をかけて軽く押してみる。

「うん、鍵はかかってなさそうね」


 指先に伝わる手応えで、施錠されていないことを確信した。私はわずかに開いた扉の隙間から向こう側をうかがいつつ、そのまま中へと足を踏み入れることにした。


 扉を開けると、そこには通路のような空間がまっすぐ伸びていた。


 先ほどの部屋よりはいくぶん明るく、壁にはランタンのような明かりが一定の間隔で灯っている。

床も壁も、自然にできたものとは思えないほど平らで、明らかに人の手で作られたもののようだった。私は壁の質感にそっと指先で触れながら、その人工的な造りを確認する。


「どこかの建物の中なのかしら」


 私はそう考え、ゆっくりと注意深く周りを見ながら歩みを進めた。自分の足音が静かな通路に響くのを耳にしながら、通路の端までたどり着き、そっと角を曲がる。


「え?」


 角を曲がった先で目に飛び込んできた光景に、私は思わず足を止め、息を呑んだ。


 視線の先には、二足歩行ではあるものの、背丈は子供ほどしかない、髪はないし、顔はのっぺらぼうみたいで、目と口は付いているように見えるが、どう見ても人間ではない生き物がいた。

 そいつは壁を見つめたまま、なにやらぶつぶつと独り言をこぼしている。


「まったく、誰が維持してると思ってるんデスカ」


 私は対話をしてみるべきか迷い、一度壁の陰に身を潜めて様子をうかがった。けれど、ここがどこなのかを知るためには、こいつに聞くのが一番早そうだ。

 私は意を決して角から一歩踏み出し、相手を刺激しないように控えめに声をかけた。


「ちょっと、いいかしら?」


 私の言葉を聞いて、その謎の生き物は首をかしげながら、ゆっくりとこちらを振り返った。


「何で人間がここにいるのデスカ」

「それは私も聞きたいわよ」


 思わずつっこみながら、私はその生き物の方へ一歩詰め寄った。


「そもそも、ここどこなのよ? 気づいたらここにいたのよ。それに、あなたは誰なの?」


 立て続けに質問を投げかける私に対し、その生き物は興味がなさそうに視線を壁へと戻した。


「ワタシは忙しいのデス。ココは迷宮、ワタシはステラン。アナタがなぜココにいたかは知りません」


え? ここ迷宮なの?


 どうして呪物が迷宮に集められているの。いや、私まで一緒に集められちゃっているのだけれど。

 そもそも迷宮だとしたら、ここは一体何階層なのよ。私は一階層の、あの草原みたいな場所しか知らないわよ。


 私は信じられないといった様子で頭を振ると、ステランを指さしてまくしたてた。


「いい? 私はあの呪物が集まっている場所に、無理やり転移か何かで連れてこられたの。あなたが責任を持って、地上の迷宮都市まで送り届けるのが義務でしょ」


 無茶苦茶な理屈だとは分かっているけれど、言うだけならタダだ。私はさらに一歩詰め寄り、謎の生物に強気に言い放った。


「アナタの言ってることは意味不明デス。ワタシがアナタを地上へ返す義務はアリマセン。呪物を集めたのは私ではないデスシ、それに呪物を迷宮が回収しなくてはいけない原因を作ったのは、アナタ方人間デスヨ」


 ステランは作業していた手を止め、めんどくさそうにこちらを振り返った。

聞きたいこと……というより、分からないことがまた増えてしまったわね。


「迷宮が呪物を回収しないといけないって、どういうことよ? それに、その原因が人間だっていうのもさっぱり分からないわ」


 私は腕を組んで、相手の反応をうかがいながらさらに問いかけた。


「ハー……。イイデショウ。ソレを教えたら、帰ってクダサイネ、ワタシは忙しいノデ」


 ステランは深く肩を落として、わざとらしいほど盛大なため息をついた。 目の前でこれ見よがしにそんな態度を取られても、こっちだって困るのだけれど。


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