41 自由時間
昼食を楽しんだ私たちは、それぞれメイドに連れられ、個室に案内された。 今日、私たちがそれぞれ泊まる部屋のようだ。
私についたメイドは、いつものリズさんではなく、新しい子だった。栗色のショートカットで、毛先がふわっとくねった可愛らしい子だ。
「はじめまして、クシナ様。メイドのアエラと申します。以後、お見知りおきください」
「はーい、よろしくね」
私は気さくにそう答える。 リズさんとはまた違った雰囲気の子で、なんだか新鮮な感じがするわね。
アエラはこれからの予定を丁寧に説明してくれた。
「このあとの予定ですが、夕方に入浴をご案内させていただきたいと思います。それまでは自由にお過ごしください。私は外で待機させていただきますので、何かあればそちらの呼び鈴でお知らせください」
彼女はそう言って一礼すると、部屋を出ていった。
まさに最高の待遇ね。案内された部屋を見ても、ひとりで使うには広すぎるくらいだ。
軽めのお菓子や紅茶まで準備されていて、毎日ここに泊まりたいと思えるくらいだわ。
さて、夕方まで何をしようかしら。
せっかくだし、アエラちゃんに何かないか聞いてみることにする。
私はさっそく、手元にある呼び鈴を鳴らした。
チリンチリンと軽めの爽やかな音が響く。すると、すぐに扉がノックされた。
「クシナ様、お呼びでしょうか?」
先ほど案内してくれたメイドのアエラちゃんが、部屋に入ってきた。
「すぐに鳴らしてごめんなさいね。入浴までの時間をどうしようかと思って。どこか時間を潰せるところとかある?」
私が尋ねると、アエラちゃんはにこやかに答えてくれた。
「でしたら、庭園はいかがですか? 我が館自慢の花々が咲きほこり、とても風情のある場所になっています。そこでお茶をするのも格別ですよ」
彼女はそう提案してくれた。
お庭でお茶を楽しむなんて、いかにもお貴族様って感じで素敵じゃないの。
綺麗な花を眺めながらのんびりするのも、たまには悪くないわね。
「ええ、いいわね。案内してもらってもいい?」
アエラちゃんにそう尋ねると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「はい、もちろんです。では、こちらへお願いいたします」
私たちは部屋を出て、庭園へと向かった。
伯爵が自慢するくらいなんだから、きっと見応えがあるに違いないわね。いったいどんな綺麗な景色が見られるのか、今から楽しみだわ。
庭園についた私とメイドのアエラちゃん。
そこは色とりどりの花に囲まれ、足を踏み入れると、ほのかに甘い香りがふわりと漂う場所だった。
手入れの行き届いた道なりには、赤や黄色、それに見たこともないような鮮やかな青い花が咲き誇っている。
日の光を浴びてキラキラと輝くその光景は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだみたい。
庭園の中央には、真っ白で丸いテーブルと、大きな日よけのパラソルが用意されていた。
周囲の賑やかな花々とは対照的に、そこだけがゆったりとした時間が流れているようで、確かにお茶をするのには最高の場所のようね。
こんなに素敵な場所を独り占めできるなんて、やっぱりお貴族様のおもてなしは格が違うわね。
「ここを独占できるなんて最高よね」
と思いきや、すでに先客がいた。
ついさっきまで一緒に昼食を取っていた司祭ちゃん、シエルちゃん、アニマちゃん。そして、彼女たちそれぞれに付き添っているメイドたちの姿があったのだ。
「はあ……みんな、考えることは一緒なのね」
私は三人に近づきながら、そう話しかけた。 せっかくの自由時間だもの。みんな、この素敵な庭園でお茶を楽しもうと考えたみたいだわ。
「あはは、そうですね」
司祭ちゃんが、和やかにそう答えた。
「まあ、そう言わずにみんなで楽しみましょうよ」
シエルちゃんも笑顔でそう言った。
「ちなみに、私が一番乗りだったよー!」
アニマちゃんは、なぜか得意げにそう胸を張っている。
私たちはたわいもない会話をしながら、色とりどりの花を楽しんだ。 穏やかで贅沢な時間がゆっくりと流れていく。
そして、それぞれの部屋に戻る頃には、ちょうど入浴の時間になっていた。




