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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第七話 ニヴルヘイムとの戦争

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7−16 ウィッカーマンとの戦闘 1

 戦場が一望出来る城壁の上に連れて来られ、ニヴルヘイム軍がいる方向に向けて眺めて見ると、魔術師達がいくつかの集団に分かれ何やら作業している様子が確認出来た。

 なるほど、ジャスパーさんはあの姿を見て、魔術師達が集団詠唱をしていると思った訳だね。


「敵は今回もウィッカーマンを使用して来ると思われます。前回同様、丸太を満載した荷馬車も確認出来ました」

「……了解した。ノエル団長、あの魔術を止める事は可能でしょうか?我々の戦力ではウィッカーマンが五体も現れると対処のしようがありません」


 ノエルは私に耳打ちをする様にボソボソと話し始めた。


「……し、し、し、し、師匠、私に対処法を求められても何にもわかりません。助けて下さい!」

「……ギュンターさんはノエルの言葉を期待しているみたいだから、あなたの仕事をしなさいよ」

「お願いですから助けて下さいよー!わかりました、今度のおやつ代は私が出しますから!」

「……あなたが買って来る訳じゃないのね……。まあいいわ、下手をすると戦争に負けちゃいそうだし……、でも、今回だけだからね」


 私はノエルの耳打ちに時折頷きながら、いかにもノエル自身が私に作戦を与えてくれている様なフリをした。


「ふむふむ、なるほど……、さすが先生。ギュンター総司令様、ノエル先生のお言葉をお話ししますね。魔術というのは基本的に呪文を中断させようが、魔術師の集中を途切れさせようが魔術を止める事は難しいとお考えください。魔術師がいて、呪文の詠唱が始まったら、魔術の99パーセントは完成していると思って下さい」

「つまり、ジャスパー殿が提唱していた通り、魔術師を始末する事しかウィッカーマンには対抗出来ないという事ですか?」

「いえ、私は……いえ先生は今の戦力でも十分にあのウィッカーマンに対抗できると考えておられます。前回の戦闘で投石機によって一体のウィッカーマンを倒したと聞いていますが」

「トレビュシェットの攻撃ではウィッカーマンが城壁にたどり着く前に全てを倒す事は困難です」

「トレビュシェット……でしたっけ?それの攻撃はウィッカーマンに対して何発の攻撃で倒したのでしょうか?」

「……正確には把握していませんが、十発前後だったと思います」

「ざっと見た所、この砦には十機以上のトレビュシェットが存在しますよね。その全ての攻撃が一体のウィッカーマンに命中すれば簡単に倒せるのではないですか?」

「……それは現実的には不可能です。トレビュシェットは精密射撃には向いていませんので」

「不可能を可能にするのが魔術の真骨頂ですよ。ギュンター団長、試しにウィッカーマンが出現したら一番中央の一体に向かって攻撃して下さい。私が魔術でトレビュシェットの攻撃を補助してみせますので」

「あの……、アリア嬢がやるのですか?ノエル団長ではなくて?」

「この程度の事で先生の手を煩わせる訳には参りません。……よろしいですよね、先生?」


 ノエルは黙って頷いた。

 ギュンターは半信半疑といった模様で部下に向かってトレビュシェットの攻撃準備を指示していた。

 暫くすると、ニヴルヘイムの陣地に五体のウィッカーマンと思わしき木組の巨人が姿をあらわし、自らを炎で纏った。


「……自分を燃やす理由は何なんですかね?意味がないと思いませんか?」

「やはり、ウィッカーマンの故事に倣ってといった所なのでしょうか?」

「ウィッカーマンはケルト王国でも既に廃れている儀式ですよ。ニヴルヘイムの魔術師がわざわざケルトの儀式を模倣する必要はないと思いますが?」

「……それはそうですが、ウィッカーマンはケルト国民にとっては恐怖の象徴ですし」

「そんな事のために、わざわざ燃やしますかね?確か、前回の戦闘ではウィッカーマンの全てが最後には燃え尽きてしまったと聞いていますが?」

「はい、その通りです。あそこに残っている炭の山がウィッカーマンの成れの果てです」

「……不効率極まりないですね。わざわざ燃やさなくても、普通にウッドゴーレムとして使用したら今回の戦闘にも再利用出来るのに、本当に勿体無いと思いませんか?」


 そんなどうでもいい様な会話をしている間に投石機の準備が整った様だ。

 私は魔術師メイガスの杖を創り、投石機の攻撃をしてもらう様に頼んだ。

 大きな騒音を撒き散らしながら投石機から一斉に巨石が投げ出されていった。

 どの石も中央のウィッカーマンに向かってはいるが、どの石もウィッカーマンには当たりそうにない。

 私は空を飛んでいる石に目掛けて魔術を使用しコントロールしていく。……ついでにスピードも上げて破壊力を増すか。

 投石機から放たれた石はまるでミサイルの様に空中で進行方向を変化させて、中央を我が物顔で歩いているウィッカーマンに向かってぶつかり、破壊した。


「まずは一体、撃破ですね」


 私は普通に話していたが、ギュンターさんは目が点になっているみたいだった。

 ……そんなに驚く事かな?


「…………はっ!トレビシュット、次弾を準備しろ!」

「ギュンターさん、次は別の方法でウィッカーマンを倒しますから、まあ見ていて下さいな」

「……別の方法ですか?」

「ええ、とりあえず、五体全て違う方法で壊していきましょう。その方が魔術の素晴らしさが実感出来ると思いますから」


 私はギュンターに向かってにっこりと微笑んで見せたのだが、ギュンターさんは恐ろしい物を見ているかの様な表情をしている。

 ……あれ?私の顔って、そんなに怖かったのかな?

 自分では可愛らしい顔だと思っていたが、どうやら自意識過剰だったみたいだ。

 考えを改めないといけないな。

アリアとウィッカーマンの直接対決が始まりました。


残るウィッカーマンは四体。アリアはどの様にしてウィッカーマンを撃破するのでしょうか?

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