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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第七話 ニヴルヘイムとの戦争

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7−5 ノエルの育成方針

 ノエルが私の弟子になったのは良いものの、具体的にノエルをどんな風に育てていくか絶賛お悩み中である。


「……修行って言ってもさ、ノエルって、魔術師としてほぼ完成しているんだよね」

「えー、そんなに褒められると照れちゃいますよ」

「だから、あとは自主練という事で良くない?」

「し、師匠、見捨てないで……」


 ノエルが足元に縋り付いてきたので、仕方なく今後の方針を決める事になった。


「……姫様、ノエルに転移術を教えてみたらいかがでしょうか。人間は魔術具以外で転移術を使えないと聞きました。ノエルが転移術が使える様になりますと、ノエルの魔術の練習場所として姫様の闘技場コロッセオが使える様になりますので」

「……なるほど。確かにそれはナイスなアイデアね」


 闘技場は、現在、トゥルー教の枢機卿達との模擬戦の時に創り出した犬型のゴーレムである八犬士達のドッグランと化してしまっている。

 見ている分には微笑ましい光景なのだが、本来の闘技場の使用目的からは遠く離れてしまった由々しき問題だ。

 ……まあ、あの場所も最初はトゥルー教の枢機卿であるイタカを閉じ込めて遊ぶためだけに創った遊び場だしな。今更使用目的とかどうでも良いか。


「それと念話術も出来た方が何かと都合が良いのではないでしょうか」

「……転移術はわかったけど、念話術はどうして必要なの?」

「ノエルは人前ではコミュニケーションが上手くありません。ですが、ノエルの立場上、部下との意思疎通は必要不可欠です。そこでノエルと彼女の部下との間に第三者を置き、その第三者と念話を通じてノエルと部下とのコミュニケーションを仲介してもらうのです」

「……その第三者役に私がなれって事なの?それはちょっと……嫌なんだけど」

「し、師匠……」

「いえ、ノエルには転移術、念話術の他に眷属の作成の修行を提案いたします」

「眷属の作成か……」

「ノエルには早急に自分の眷属を創って貰わなければなりません。……何故なら、ノエルには壊滅的に生活能力が足りていません。現在、私の分身体がノエルの世話をやらせていますが、私のリソースをこの生活破綻者に使うのはうんざりです」

「……そんな、クリス様酷いです……」

「全く酷くありません。私の本来の業務は姫様のお世話だけです。貴方の服が汚れていても、着崩していたとしても、朝起きれなくても、髪を整えなくても、部屋が散らかしっぱなしでも私は一向にかまいませんが、そうなると姫様の評判に泥を塗る事になるので仕方なく世話をしてきただけです」

「……それは生活能力云々とかではなく、女の子としてどうなの?」


 ノエルも自覚はしていたみたいで、クリスの愚痴に身を縮こませながら恐縮している。


「ノエルは魔術伯なのに使用人は雇わなかったの?一応、伯爵待遇なのだから使用人の一人や二人、雇っても金銭的には余裕でしょうに」

「そ、そ、そ、そ、そんな知らない人と一緒に暮らすなんて……。師匠は私に死ねと言っているんですか!」

「……知らない人と一緒に暮らしても別に死なないわよ。暗殺者とかなら別かもしれないけど」

「……暗殺者って本当にいるんだ……。やっぱり、世間って怖い所なんだ」

「暗殺者が世の中にゴロゴロと潜んでいる訳ではないからね。それに、貴方だったら暗殺者位余裕で倒せるでしょう。怖がりすぎよ……」


 私の言葉に納得いっていないのか、それとも私の言葉に信用が無いのかはわからないが、ノエルはガタガタと震えている。


「……話が逸れちゃったけど、クリスが言いたいのはノエルに眷属を創って貰ってノエルの付き人兼、通訳になって貰うって事ね」

「……概ねその通りです」

「あのー、さっきから伝説級の魔術を私が会得する様な話になっていますが、私は半精霊人エルフとは言ってもただの人間の魔術師でしかありません。私にそんな魔術が使える様になるのでしょうか?」

「……うーん、今挙げた魔術……精霊的に言うと霊術か、それらは精霊なら誰もが当たり前に使える霊術だからね。ただ、人間の魔力で可能かどうかは未知数ね」

「いえ、私は可能だと考えます。まず転移術ですが、この世界には魔術具とはいえ転移を可能にする技術を人間の手によって作成済みです。おそらく、最初にこの転移門を作った人物は転移術の原理を理解していた筈です」

「確かにその可能性は高いわね。転移門を発明した人というと、自称錬金術師のセラフさんだったっけ……」


 セラフはこの前の会話で半精霊人の疑いを持たれた人物だ。

 もしセラフが半精霊人だとするなら、何らかのよしみでユピテルの精霊であるメーティスと出会い、その流れで転移術を教わった可能性はあるかもしれない。

 何たってメーティスは教えたがりという厄介な性格の持ち主だからな。


「セラフが転移術を理解しているというのは頷けるけど、使えたかどうかはわからないわね。転移門の開発と、転移術の習得は決してイコールではないから」

「はい、それは理解しております」

「……あのー。転移術なんですが、人間でも転移術は使えると思います。……これは国家機密扱いなので詳しくは言えませんが、転移術の研究は魔術師の塔のみならず各国でも行われていまして、ごく短距離の転移には成功した例もありますので」


 ノエルさんや……、今の言葉はほぼ国家機密を喋ってるのと同じだからね。


「……まあ、転移術は人間でも習得が可能という事が証明できたわね」

「はい、安心しました。そして念話術ですが、これはこの世界ではありませんが、他の物質界で既に人間が習得しております。ですので、ノエルにも念話術は習得可能な筈です」


 この術は通信機器……携帯電話やスマホなんかがあれば無用の長物なのだが、この世界でそれら機器の発明にはまだまだ時間がかかるだろう。

 この世界の通信手段は、手紙、伝令、立札、変わり種だと伝書鳩といった所だろうか。念話術が使える様になったら、軍事的、文化的にも大いに役立つ事に違いない。


「念話術は習得可能って事ね。でも、眷属の作成はかなり難しいわよ。これは術の難易度もあるけど、一番のネックはノエルの魔力そのものね」

「……あのー、自慢では無いのですが私の魔力量はかなり多いと自負していますけど」

「そりゃ半精霊人になる位だもの、人間としては桁違いの魔力を保有している事はわかっているわ。今問題になっているのは魔力量ではなくて、魔力の質の話ね」

「魔力の質……ですか?」

「貴方と初めて会った時、私達の魔力を見て一眼で違いがわかったでしょう。それは私とクリスが魔力ではなく神霊力を持っていたからなの」

「……神霊力、魔力とは違う物なのでしょうか?」

「本質的には同じものと考えてもいいわ。というか、神霊力の方が元祖というか本家というか、まあそういった感じなの。神霊力を持っているのは私と同じ神か、特別に創られた精霊である原初のみ。他の精霊達は神霊力から一つ質が劣っている霊力を持っていて、人間は更に劣った魔力を保有しているって考えたらいいかな」

「……じゃあ、私では頑張っても眷属は創れないって事ですか?」

「いえ、可能性はあります。何故なら、ノエルが半精霊人だからです」

「……確かに、人間の中でも特に強い魔力を持って生まれた半精霊人なら、もしかしたら肉体だけじゃなくて魔力も変質している可能性はあるかもしれないわね」

「はい、半精霊人の存在は貴重なので、その辺りの検証はなされておりません。本来ならフリン様も交えて研究された方が良いのですが、フリン様をお招きする事はできませんので、我々だけで検証をした方が良いでしょう」

「確かに、研究しがいがありそうなテーマね」

「……あのー、つまり私って実験動物扱いなんでしょうか?」

「……そんな事ないわよ。貴方は私の弟子に決まっているでしょう」

「師匠!私の目を見ていってくださいよー!!」

という訳でノエルの修行方針が決まりました。


次回はアリアの伯父であるウィリアム視点のお話となります。

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