42話 デンジャラスなドルチェ4 閑話 舞台脚本『二人のknight』
舞台『二人のknight』
幼馴染の貴族二人が同じ女性を愛してしまった物語
出演者
騎士キラ・ハイドランジア(悪の組織に潜入捜査するスパイ活動をする貴族) 帝 嶺
騎士マルク・ジーニアス(警察関係で悪を取り締まる貴族) 冷泉 太刀人
レディ アスター・ミランジェット(二人の幼馴染 二人が愛する女性)鳳 なぎさ
物語は悪の貴族 ジャスティン・オットーランドの屋敷から始まる。
そこには拉致拘束されたレディ アスター・ミランジェットが盗賊団の手に寄ってジャスティンの前に放り出された。
ごろんと転がるミランダの目には恐怖の色が濃く怯え切っている。
その他多数の美少女が拉致され、手に手錠を付けられ目に絶望を浮かべてその場に存在していた。
ジャスティン「ほほお、これはこれは、ミランジェット家のアスター嬢ではないか。このような姿でお目にかかるとは。何と。社交界きっての美しさを誇る国の薔薇とも呼ばれたその美貌を間近に拝見できて光栄至極でございます。
もっともその花を散らすのも遠くない未来ですがな。」ジャスティンが鷹揚に話しかける。
転がるアスターを上から見下ろして慇懃無礼に語りかける。
アスターの口には猿ぐつわが噛まされ、こもごったうめき声しか聞こえない。
アスターが反抗的な目でジャスティンを睨む。
「まあまあレディ、あなたのような有名人となれば、オークションにかけるのもいささかリスクがある。
このような上玉をオークションにかけられないのは少し勿体ないが、ここはかねてから頑張ってくれていたキラ殿に褒美として取らそうと思うが。此度は大変な活躍であったからの。
こうしてたくさんの上玉の美少女を集めることが出来たのもキラ殿の尽力のおかげだし。
もっとも、キラ殿がそなたを所望せず、他の少女を褒美に欲しいと言えばそなたをオークションにかけることになるが。私も欲しいくらいだが。どうかな。キラ殿。褒美はレディアスターで良いかの?」
ブクブクと太った腹を豪快に揺らしていやらしい眼差しをキラに向ける。
うんうんと苦悶の色を見せながら顔を動かし、アスターがキラを睨んだ。
アスターはキラに騙されてこの場に拉致されているのだから、その抗議の眼差しは当然の事である。
キラはすっとした騎士服に身を包み、優雅に微笑んで騎士礼をひとつして、
「レディアスターでいいですよ。私は。レディアスターを褒美に取らせていただきたく思います。」
ジャスティン「おお、それでは決まりでよろしいかな。」
しかしここで言葉を切り、意味深な笑みを浮かべてから
ジャスティン「しかし、貴殿の忠誠の証がもう少し欲しいのでな。
褒美としてレディアスターを取らせるが、この場で自分のものにしたまえ。」
キラの片眉が上がる。
「と言われると?」
キラの質問に答えて
ジャスティン「この場で犯すのだ。キラ・ハイドランジア。レディアスターをそなたのものにするにはこの衆人環視の元レディアスターをそなたのものにすることを命ずる。」
その場には拉致された少女たち、及び盗賊団の面々もずらりといた。
「レディアスターをはじめ、この娘たちには洗脳魔法が掛けてある。身体を犯したものを犯された瞬間に愛してしまうという洗脳魔法をな。」
レディアスターの顔色が変わる。
いやいやと首を横に振るレディアスター。
ジャスティン「私の温情というものだな。この娘たちもオークションで落札した買主を憎みながら生きていくのも辛かろうて。洗脳魔法をかけてあるのだ。愛しているのだと思ったほうが楽しかろう。なんて優しいのだ私は。この洗脳魔法が付いているから私のこの商売はバレずに上手くいっていると言っても過言ではない。そしてオークションの人気もまたここにあるな。しかし、この洗脳魔法が本当にうまくいっているのかこの目で確かめてみたいというのもある。
だからキラ、この褒美の娘レディアスターをこの場で私の目の前で犯せ。」
そのとき、一人の騎士がその場に飛び込んできた。
騎士マルク・ジーニアスである。
「キラ!お前なんてことを。」
騎士マルクはキラが潜入捜査をしているのは知らなかった。
本当に悪の貴族ジャスティンの手先となって悪行を働いているのだと思ったのである。
この場に待機させられていたが、潜入捜査を誰がやっているかまでは知らされていなかった。レディアスターは騎士マルクの親同士が決めた幼少のおりからの許嫁であり、マルクはアスターを愛していた。
そして、キラもマルクとアスターの幼馴染であり、いつも3人で遊んでいたので、マルクの許嫁と知りながらいつしかアスターを愛していたのである。
そしてアスターのことを秘かに愛していたがマルクの婚約者と知りながら諦めきれず辛い日々を送っていた。
騎士マルクはキラに切りかかる。
そしてキラに返り討ちにされてしまう。
キラはマルクを切り、マルクは絶命する。
ジャスティンはそれを確認。
にんまりと笑い、部下に命じて城の外に放り出した。
騎士マルクの殺害される現場を目の当たりに見てしまったレディアスターは呆然として、声なき悲鳴を上げる。
ジャスティン「フッ、とんだ邪魔が入ったものだ。虫けらごときが。興がさめるわ。」
「だが、むしろ、面白いか。婚約者を殺した男に犯されるというのはどういう気持ちかな。しかもそんな男を愛してしまうという魔法をかけられているのだ。レディアスター。」
ほっほっほと豪快に笑いアスターの顎を掴み、笑いながら話しかけるジャスティン。
それからアスターから離れ体制を立て直し、改めてキラに向かって命じた。
「レディアスターを犯すのだ。今ここで。出来るな。」
ジャスティンがキラにアスターの手錠の鍵を渡す。
鍵を受けったキラは
「はい。御意のままに。」
騎士礼をしてキラはズボンのベルトをカチャカチャと外す。
(舞台なので実際外すとか出すとかいうわけではないが、音を効果で静まり返った客席に聞こえよがしに大きく反響させる。)
アスターに近づき手錠の鍵を外す。
恐怖に怯えるアスター。しかし、逃げ場はないと観念したのか抵抗する様子はない。
猿ぐつわを外すキラ。
そして
キラ「愛していますよ。アスター。」
アスター「嘘。人でなし。こんな。こんな事。なんで。」
キラ「あなたの事をずっと好きでした。あなたはもう私のものです。」
アスター「嫌です。やめてください。」
そして「いやっつ。」
嫌がるアスターの悲鳴。
悲鳴をあげるアスター。
舞台ではキラがアスターに覆いかぶさって蠢いている様子。
(それらしい動きをすること。しているように見えるように。アスターは嫌がって抵抗する様子。)
キラが力を入れて、ぐっと挿入した感触の効果音(それらしい決定的な感じの音をわざとらしく演出)
それとともに
アスター「あ、ああん。」「うっん。ん」
と喘ぐ。
アスター「ああ、気持ち、いい。キラ。好き。好き。大好き。」
キラ「ああ、私も大好きですよ。」
アスター「ああ、気持ちいい。愛してる。キラ。愛してる。ん。ああ、もっと、もっと、キラ。」
キラ「いいですよ。いっぱいあげます。私も愛しています。アスター。」
頷くジャスティン
「おお、なんと、素晴らしい。洗脳魔法の効果がここまでとは。しかも本当にいきなりはっきりと、あんなに嫌がっていたのに求めてくるとは。」
行為が終わり脱力するキラとアスター。
そして、突入隊が城に乱入。
ジャスティンを取り囲み捕まえる。
ドタバタと争う盗賊団と突入隊。
その騒ぎに乗じて
サッとアスターを抱きかかえ、窓から身を投げ姿を消すキラ。
そして舞台暗転。
********
第二幕
森の中 質素な一軒家
キラと静かに暮らすアスター。
キラに拉致され、悪の貴族ジャスティンが騎士団により捕まり、誘拐された少女たちが解放された後も、森の中に逃げ延びたキラと生活を共にしている。
森からウサギを捕まえて帰ってきたキラを笑顔で出迎える。
アスター「まあ、キラ。今日はウサギを捕まえてこられたのですね。」
キラ「ええ、今日はあなたの好きなウサギのシチューですよ。私が調理しますからあなたはゆっくりしていてください。」
アスター「でも今まで狩りに行ってお疲れでしょうから私が料理いたします。」
キラ「だめですよ。ウサギは調理が難しい。私に任せてください。私が採った獲物は私が調理するって前から言っているでしょう?」
アスター「そうでしたね。折角捕まえたのにお料理失敗してしまったらキラに申し訳ありません。お任せしますわ。」
キラ「うふふ。いい子ですね。分かってきたようで良かったです。ウサギは血抜きが難しいのです。臭みが出ないように調理しないと美味しくないですから。おとなしく待っていてくださいね。」
そう言って台所で料理をするキラの傍で楽しそうに寄り添うアスター。
アスター「私にも出来るといいのですけれど、なかなか上手く出来なくて。」
キラ「あなたはこんなことできなくていいのですよ。気持ち悪いでしょう。あちらに行って休んでいてください。」
アスター「キラがいなくて淋しかったのですもの近くに居させてくださいませ。
キラは意地悪です。いつも私を子供扱いして。」
にこにこと楽しそうな二人。イチャイチャしている感じ。
キラ「さあ、後は煮込むだけ。こうして煮込んでおけば美味しいシチューが食べられる。」
「ここは危ないからあっちに行きましょう。」
キラはアスターの身体を抱き上げて台所から奥の寝室に運ぶ。
アスターはちょっと慌てて
アスター「キラ、ちょっと、あの、」
キラ「どうしたのです?私を一緒に居たいとそう言ったのはあなたでしょう?
台所では危ないからこちらの方があなたを可愛がるのにちょうどいいと思ったから移動しただけですよ。」
アスター「だって、まだ明るいです。そんな、こんなこと。」
キラ「何か勘違いしていないですか?アスター。それともおねだりですか?」
アスター「違います。」
キラ「いいでしょう。ちょうど私もあなたが欲しくなったところですよ。奇遇ですね。一緒です。」
怪しく笑ってアスターの服の胸元に手を入れる。
アスター「違います。」
キラ「違わないでしょう。」
そして激しいリップ音をさせてキスする二人。
キラがアスターのことを押し倒して行為に及んでいる。
(シルエットと音で演出)
そこに、突然家のドアが開く。
(簡素な住宅なので鍵などない。人里遠く離れた森の奥なので。)
突然の来客に驚く二人。
ドアの開いたところには、死んだはずの騎士マルクの姿があった。
アスター「マルク!どうして?あなたは亡くなったのでは?」
衣服の乱れた姿にシーツを巻きつけ半身を起こし突然現れた死んだはずの婚約者に驚きを隠せず話しかける。
マルク「私は死んでなどいない。」
アスター「だって、キラに斬られて、あの時、死んでしまったのでは?もしかして幽霊なのですか?」
マルク「アスター、何をおかしなことを言っているのです。そんなわけないでしょう。この世に幽霊など存在するわけがない。そう前から言っていたはずだが。あなたは怖がりでいつも幽霊を見ただの怖いなどと言うから。」
アスター「だって、そんな。」
慌ててキラの顔を見る。
キラは動ずることもなく、
キラ「久しぶりだな。マルク。」
ベッドの中から声を掛ける。
マルク「お前、なんで姿を消した。それにどうしてこんなところにいるのだ。それもアスターを連れてどういったつもりだ。」
キラ「どうって、見ての通りだよ。俺は今は森の狩人さ。ただの狩人で可愛い妻と一緒に暮らしている。」
マルク「どういうことだって訊いてるんだ。随分探したんだぞ、お前のことを。なぜ任務が成功したのに姿を消した。国王に報告もせず。」
キラ「だから見ての通りだって言っているだろう。
俺はもう昔のキラじゃない。もう潜入捜査だのスパイだのは嫌なのだ。
貴族社会のしがらみもうんざりだ。
それに人殺しも好きじゃない。殺していいのはこういった死んで人の役に立つ獣だけだ。」
ウサギの肉のシチュー鍋を差して叫ぶ。
アスター「あの、どうしてマルクが、生きて。それに潜入捜査って。」
マルク「ああ、こいつはスパイだ。国王陛下の為にスパイして貴族社会の膿みを探して処分する仕事、スパイを業とする貴族様なのさ。こいつの家ハイドランジア家は代々な。
スパイが俺を殺すわけがない。殺したように見えただけさ。仮死状態にさせて、後で蘇生する魔法をかけてあった。」
キラ「そう仮死状態にさせて後で蘇生できるようにする魔法はハイドランジア独特の魔法、他にない門外不出のものだから普通は騙される。君も騙されたのですよ。アスター。」
口をあんぐりと開けてマルクとキラを見つめるアスター。
アスター「どうして教えて下さらなかったのですか?マルクが生きている事。それにあなたが悪行をしていたのではないということ。スパイだったのだから潜入捜査をしていたのだという事。」
キラ「だって、それを知ったら君はどうしました?マルクの元に帰ったのでは?君といたかったからですよ。」
マルク「お前最低だな。本当に最低だ。俺はお前とアスターがてっきり亡くなったものだと。アスターを返してもらおう。アスター、さあ、こちらへ。」
キラに後ろからベッドの上でしっかりと抱きしめられているアスター。
キラ「アスターは渡しません。」
マルク「ふざけるな。アスター。俺はお前を助けに来たのだ。このような森の中でさぞや不便な生活を強いられていたのではないのか?」
アスターは首を横にフルフルと振った。
マルク「ああ、そうか、洗脳されているのだったな。洗脳魔法を掛けられていたのか。それでこんな奴とこんなところに。おいでアスターお前は洗脳されているのだ。宮廷魔術師に洗脳を解いてもらおう。そうすれば、また以前のように。
俺たちは婚約者だ。覚えていないのか?」
アスター「私は洗脳なんかされていません。洗脳魔法は私には効きませんでしたから、」
その言葉に驚くマルクとキラの二人ににこりと笑ってアスターは続ける。
アスター「マルク様が殺されたのを見た私はショックで洗脳魔法が解けてしまったのだと思います。
あの時、私は気持ちよくなんかなってないし、怖かったし、だけど、演技しないと殺されるかもしれないと反射的に思って洗脳されている演技をしたのです。凄く痛かったから気持ちいいなんて事なかったけど、そういう風にいうものなのではないかと想像して演技していました。」
キラ「なんと!」
マルク「お前女の演技にも気付かずやってるとはさすが間抜けなキラ殿だな。」
そして驚くのはキラの番だった。
キラ「それではどうして逃げようとしなかったのです?
私は君を拘束とかもせずにいた。私が狩りに行っているときなどいつでも逃げることは出来たはずだ。」
アスター「もちろん、ここが人里離れた深い森の中だろうことは私にもわかります。だから迂闊にここから離れて逃げようとしても、どんな危ない獣がいるかもしれない。人里にたどり着けるかも分からない。
それに人里に着いたとして、私が貴族の令嬢だとしても、このまえのような盗賊団や人さらいにさらわれるかも知れない。そのような危ない事をするくらいなら、ここに居たほうが安全だと思うのが当然だと思います。どんな危険があるか分からないのですから。森で迷って食べ物を調達できず餓死する可能性だって。」
マルク「それでもお前は誇りを持って逃げるべきだったのではないか?こんな奴に抱かれてどういう了見なんだ。洗脳されていると思ったから仕方ないと思ったがそれでは何という破廉恥な。俺の婚約者だというのに。こんな男に抱かれるなど。」
アスター「だって、初めは嫌だと酷いと思っていたのですが、キラ様の事を段々好きになってしまったのです。私に優しくしてくれるキラ様に惹かれていってしまったので。
私も本当は貴族社会のいやらしさに辟易していたのだなあと思いました。
ここならダンスのレッスンもしなくていいし、お行儀よくお食事をとることもしなくていいし、好きな時に水浴びしたり、それに、誹謗中傷ややっかみとかに怯える必要もございません。
ただただ楽しかった。それだけですわ。」
キラ「私の事を本当に好きだと。洗脳されているのではなく。」
アスター「ええ、そうですわ。私はキラ様が好きになったのです。だから一緒に居たかった。だからにげたりしなかった。それだけのことです。」
マルク「俺の事は?
助けに来た俺の事は?婚約者なのだぞ。お前は俺の。」
アスター「マルク様の事ももちろん好きですわ。でも、どうしていいか分からないのです。いきなり助けに来たからこっちに来いとか言われても。どうしたらよいのか。」
そう言って可愛らしく口元に指を一本持って行って考える。これは小さいときからアスターが考え事をするときの仕草で二人がアスターを可愛いと思っている要因でもあった。
アスター「マルクさまは婚約者とかおっしゃっても一度も抱いてもらった事とかないのですし、キラ様のことが好きなのは仕方がないような気がいたしますわ。」
マルクは動揺した。
確かにマルクとアスターは清い関係のままなのだ。婚約者とは言っても身体を繋げたことは一度もない。
痛くて嫌だったと言っていたジャスティンの城での行為がアスターにとっても初めてだったのだろうことを思うとキラを恨む気持ちが抑えられない。しかもこうして二人でのうのうと愛を育んでいたなど。
実施マルクは死んだと思ってあきらめきれない二人の事をずっと探していたのだから。
探してくれてありがとうとお礼を言われることはあっても、あなたとは寝ていないからだから、好きかw狩らないわのようなことを言われる筋合いはないのだ。二人ともこの場で刺し殺したいくらいの気分だった。
やっと見つけた愛する婚約者と長年の友人を前にして、マルクはいやがおうにも辛い気持ちを味わうしかなかった。
キラ「でもこれでは公正でないな。お前も来い。
ここで二人、どちらがアスターを気持ちよくできるか勝負してアスターに選んでもらえばよいではないか。お前とは寝てないから分からないとアスターがいうのなら致し方あるまい。きちんとどちらが良いか決着をつけたほうが俺もすっきりする。お前からだまし取ったような気持ちにならないで済むからな。」
アスター「え? 今ここでですか?」
キラ「ちょうどいいだろう。こうしてどうせしようとしていたのだし。」
マルク「いいのか?」
アスター「仕方ありませんわ。ここでしなかったら、私たちを斬り殺すくらいのことしそうですもの。マルク様、そういうお顔してらっしゃいますし。私もこうしてまたお会いしたら分からない気持ちになってまいりましたもの。」
キラ「それは困る。私のことを好きでいてもらわないと。まあ、どうせ私の勝ちでしょうから心配はしていませんが。マルク、勝負です。」
マルク「あい分かった。今から勝負しよう。騎士たるものいつでも臨戦態勢でないととは良く言ったものだな。そう言えばあのときのお前も良くできたな。ジャスティンの城でのことだが。」
キラ「アスターを前にしたら私はいつでも男になれますよ。ふふふ。」
アスター「フフフじゃないです。あのとき恥ずかしくて嫌だったんですから。もう。本当にキラ様の馬鹿っ。」
マルク「本当に二人は仲良しなのだな。妬けるな。よーし、俺も負けていられない。いくぞ、アスター。」
ベッドに殴り込みをかけるように飛び込むマルク。
そして、
ああ。やーん。などと色っぽい声の嬌声が響き、
シルエットで3人がイチャイチャしているような形を映し、幕が下りる。
FIN
********
嶺「この台本だが、読んだか?俺とお前のダブル主演の今度の舞台だが。」
嶺の手には『二人のknight』の台本が握られていた。
嶺「これ、ちょっと目を通してみたんだが、この役に入り込むためにも今回の瑠璃を気持ちよくする勝負はやるだけの価値があると思う。
仕事にも活かせる。だから、その、今更やめにしようなどと言うのは無しだ。
いいな。冷泉仕事の一つだと思って受けてくれ。頼む。」
太刀人「ああ、そうだな。確かに、そうかもしれん。」
台本を見ながら、返事をする。
そして、この舞台は、この後アスターがどちらの騎士を選ぶのかは書いていない。
舞台を観た観客の好きなように想像して物語を完結して欲しいという作者の意図があるそうなのだ。
多分、観た人たちは自分の好きな推しのほうと添い遂げる未来を想像して楽しむのだろう。嶺のファンは嶺の役のキラと。太刀人のファンは太刀人が演じる役のマルクをアスターが選ぶ未来を選べるように企画されているのだ。
さて、アスターがどちらを選ぶのか、瑠璃が二人のうちどちらを選ぶのか
【負けられないな】
と二人は思いながら台本を見つめていた。




