28話 月明かりのディスティニー5
冷泉家の向かいの車に乗り、
月光亭を後にして、ドキLOVE城に戻ってきた私たちを
もはや全員のお出迎えだった。
正直あまりみんなに会いたくないというか、気まずいというか。
だって、その。
特に聖也と顔を合わせたくないなあという気持ちがあった。
いくら
この世界には貞操観念とかないから。
と言われても、自分的にきまずい。
それに、多分こういったときって、聖也は目を合わせてくれないから。
なんか無言の圧を感じて
ちょっと怖い。
「お帰りなさい。」
穏やかな顔で、聖也が迎えてくれた。
「無事、済みましたか?」
「多分、多分ですけど成功したかと思います。実のところ、記憶がないので分からないのです。」
私の答えに続けるように太刀人さまが話を続けた。
「成功したと思うのだが。
一応先立って訊いておいた辛い前世とやらの記憶らしき悪夢を呼ぶようなものは、今の瑠璃の記憶にはないと思う。なにぶん、このスキルは使う機会が今までなかったゆえ、うまくいくかも分からなかったし、発動条件も古文書で調べてはあるが、不安な点もあったので。」
「悪夢みそうな記憶とかありますか?」聖也が訊いてきたので
考えてみるけど、
うーん、思い出せない。
思い出せないから、多分
大丈夫なのかと思った。
「悪夢見るほど辛いのはないような気がします。だから成功したのだと思います。
太刀人さま、ありがとうございます。
皆さん、ご心配をおかけしました。」
「やったじゃん。」
「でかしたな。」
「凄いな。」
「良かったあ。」
口々に喜んでくれて
ホッとした。
「取り敢えずは安心ですね。もううなされたりしないというだけでもかなりの進歩ですから。」
聖也の顔は優しい。本当に心配してくれて喜んでくれている。
と思った。
「瑠璃ちゃん疲れたんじゃない?長旅だったし、月光亭凄く遠いもんね。ずっと車移動じゃ疲れたでしょう。お茶淹れようか?」
そう聞くと、身体の芯からぐらっと来るような疲れを感じて、そういえば、夜通しだったような。
もはや頭の中が真っ白になるくらい責め立てられたような気がする。
だから、眠い。
部屋に帰ってゆっくり休みたい。
というかもうすぐにでも寝たい。
なんでこんなに眠いんだろう。
スキルとやらのせいなのかも。
「なんか凄く眠いから、部屋に帰って眠ります。ごめんなさい。お茶はいいです。ありがとうございます。」
「そう?それならいいけど、なんか凄く疲れてるみたいだね。お大事に。ゆっくり休んでね。」




