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17話 不老不死の意味 

「ねえ、不老不死の意味って知ってる?」修二くんが蒼ざめた顔で私に訊いた。


「ああ、その通りです。私たちはもうそういう関係の間柄ですね、」

聖也がヤッたとかやりましたとは言わずでもそういう行為をしましたという事は否定せずに肯定した。

その後に

訊いてきたのだ。


「あなたにこの世界が不老不死だという事が説明していますか?彼は。」


「あ、一応不老不死だから、だから私、この姿に戻って。」


「多分何も考えてないよ、このレディは。」帝様が言う。

酷い。こんなこと言う人じゃなかった気がするけど凄く馬鹿にされてるような感じ。

しかも溜息をついてる。


「説明してないのですね。それでは僕から説明してもいいかな?多分聖也は言っていないんでしょう?あなたに。」


「ああ、そうだと思うぜ。」修二君が腕組をしながら答えた。


私は不安な気持ちになって聖也の顔を見た。

けど、そこには相変わらず無表情なだけの顔しかなくて

にっこり笑って安心してくださいとか言って欲しかったのに、そんな言葉も微塵もなくて


ただ、めちゃくちゃ場の空気が悪くて、


逃げ出したいくらいな緊迫した空気があった。

張りつめているというか。

 

「誰もこのことを説明したくないと思うので僕が言うよ。みんなそれでいい?」

大和君が周りを見回す。


みんな無言でうなずいた。


冷泉様が無言でしかもぴくりともしない。


「それじゃ言うね。君に聖也がしたことは、この世界に監禁してまったのと同じこと。

この世界から君は逃れられない。ずっとこの世界で生き続ける。不老不死なのだから。

身体の関係を持つという事がこの世界から逃れられないキーになっている。

それは前回こちらの世界に来た時に説明しているから知っていると思うけど、

前回が結局未遂というか、そういう事がなかったとから君は元の世界に帰ることが出来た。

聖也が君を元の世界に送還して。そうだね?」


私は問いかけに答えた。

「はい。元の世界に帰ってやらなくてはいけないことをやりなさいって、寿命を全うしなさいって言われました。だから、元世界で寿命を全うして


そしてこちらに戻ってきたみたいです。」


わたしは息をついでつづけた。

「多分もう元の世界の私の身体は焼かれて火葬されていると思うので、のうあちらに戻ることは出来ないと思ったので。それで、えっと、あの、何かまずかったのでしょうか?」


もう向こうに戻れない。だから問題ないのではないのではないかと

私はそう思ったのだ。


けど、


考えてもいなかった、予想だにしない返答が返ってきた。


「違うね。問題ありなんだ。」


そして大和君が

「本当は君の魂はこちらに来ても元の世界に戻れるはずだった。聖也が無責任なことをしなければね。」


「だってもう身体はないのに。」

それにおばあちゃんだし、不老不死のほうがいいし、と頭の中で思ったんだけど。


「おばあちゃんだし、とか火葬されてとかは関係ない。」


ビシッと大和君が言い放った。


「本来なら君の魂はその90歳まで生きた寿命が尽きた後は、また生まれ変わり輪廻転生の輪の中でまた新たな人生を始める。そしてまた次の人生を生きる。


こちらの世界から抜け出すことが出来ず元の世界に戻れないという事は君のその輪廻転生の輪に戻れないということだ。次の人生でも今回結婚ていた相手、また生んで育てた子供孫などと出会うことが出来た。そうして運命の輪の中で人とのつながりがあったはず。


彼のしたことはもう二度と彼らと君が会えない、会うはずだった未来を消し去ったという事だ。」


しばらくみんな黙っていた。私も黙っていた。


「それに、人の寿命がある程度決まっているのは

魂が未来永劫死ぬことがないことに耐えられないから。」


「君は不老不死が素晴らしいものだと思うのかい?」


「絶対に死ぬことがない。死という逃げ場もない。それが素晴らしいことだとでも。」


「もう絶対死ぬことがない。僕たちは


僕たちの魂は慣れてる。

もう十分に負荷に耐えられる。


でも、君の魂がそれに耐えられるか


僕たちも誰にも分からないんだ。

永遠とは残酷なもの。


それを説明もせず、

勝手なことをしたから


僕たち全員


怒ってる。」


「呆れてるんだけどね。僕は。」


「今更言っても遅いけど、なんでそんなことしちゃったの?断れたでしょ。

無理やりだったの?」


「だって70年も待ったっていうから。」


「は?70年なんて、君の元いた世界の3日くらいの感覚だよ、俺たちにとっては。そんな恩着せがましいこと言ったの?最低だな聖也。」


「3日は言い過ぎかも知れんがまあ、一週間ってとこかな。いちいち言うほどのことでもあるまい。」


口々に避難する声が。


そうか。

本来なら生まれ変わり輪廻転生の輪。

その輪から外された魂。


「実は以前に同じことがあった。これを言うべきだったけどあまりにも残酷な話だから言えなかった。

謝らなくてはならないのは俺たちの方かも知れない。聖也がこんなにあなたに執着してるとは知らなかった。それにこんな大胆な事するなんて。」


「元世界から輪廻転生の輪から外されこの世界で不老不死になった魂が不老不死

に耐えられなくて壊れてしまったんだ。可哀想に生まれ変わることも出来ずそのまま壊れて消失した。


だから俺たちは迷い込んだ魂は元の世界に返すようにしていた。そもそも迷い込んでくる魂もほとんどない世界だから、忘れていたんだけどね。


こんなことまた繰り返すなんて。」


そして聖也を睨んだ。

誰もが黙って重苦しい空気に包まれていた。

そうか。本当は有り得たはずの新しい人生がなくなったんだ。


でも。


私はちらりと聖也の顔を見た。

気が付くと聖也の服の袖を引っ張っていた。


なんか言って欲しい。


何か


確かに私には不老不死とか未来永劫の約束の意味が分かっていなかった。

でも

確か


はい、と返事をしたような。

ずっと一緒にいてくださいと言われて。それがこんなに大変なことだとは


知らなかったとは言え、

ちょっと考えればわかったような気もする。


不老不死なのだから。

少なくても不老不死のことを隠されたりはしていなかった。


だけど


そっか。

本当にこの世界に監禁されてしまったんだ。


ずっとここにいるのか。


そっか。


なんか急に気が抜けたような


そんな気がした。


でも



でも、それでも


そうか。

聖也が黙っているのだから

私が言わなくては。

私のことなのだから。


「私は聖也さんが好きです。

不老不死の事甘く見ていたのは事実で、考え無しにこんなことになったって言われても仕方ありません。

だけど、ずっと一緒に居てくれるって聖也さんが言ってくれて、


私はずっと会いたかった。

それに向こうの世界で辛かった時聖也さんの笑顔に癒されていました。

ずっと会いたいなって思っていたし。


だから、

結果的に良かったのか分からないけど、

私は不老不死を受け入れます。

むしろそうしてもらって良かったと思うように生きていきたいと思います。


だから私を皆さんの仲間に入れてください。

前に来た時のようにまた

歌の歌詞を作らせてください。


お願いします。」


いっきにいうと頭を下げた。


これでいいんだ。

そう思った。


でも本当は怖い。

不老不死に耐えきれず壊れた魂の話とか知りたくなかったし。

でも多分ずっと知りえないで済むという事はなく知った時のショックを思ったら早い段階で知りなんとか対処法を考えたりしたほうがいいと思っての話だったのだと思う。


怖いし、気が付くとちょっと震えてる自分の手が見えた。


そして下を向いたままちょっと涙が出てきてる私の身体を


後ろから強く抱きしめられた。


聖也くん?


「ありがとう。ずっと一緒にいましょう。ずっと。」


多分大丈夫。聖也も


そしてみんなも居てくれる。私は一人じゃないんだから。きっと大丈夫。


そんな気がした。


「分かったよ。二人がそれでいいならそれでいいよ、

それにまた歌詞を書いてもらえるのは助かる。あの歌めちゃくちゃ評判が良くてミリオンになったんだよ。また書いてもらえるならそんないいことないよ。」

「っていうか、しみったれた話はここまでにして歓迎パーティーしようぜ。」


「そうだよ。お帰り。」


「うん、お帰り。」

「お帰りなさい。」


「俺たちの世界にようこそ。」


「皆さん!ありがとうございます。

よろしくお願いします。」


「ああ、人が増えることあまりないんだ。嬉しいぜ。」

「よろしくな。」


私は幸せだ。

ずっとこの世界で生きていこう。

監禁されたのは不本意な気もするけど。


でも


きっと私ならうまくやれる。

聖也と一緒なら


だって聖也が私に言ってくれた。

「あなたの魂が壊れるようなことには絶対にしません。

ずっとあなたを守ります。

だから


ずっと私と一緒に居てください。」


「はい。」


ちゃんと返事できた。分かって覚悟したうえでの返事を。


ありがとう。世界。





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